えび

恋い焦れ歌えのえびのネタバレレビュー・内容・結末

恋い焦れ歌え(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

最後はそうなっちゃうか〜というのはひとまず置いておいて(おいておくな)、稲葉友さんの演技が凄くてずっと「やばすぎる…」と驚き続けていた。
ちょっと影のある役どころが本当に似合うし、激しい感情を死んだ目のままでドンッと出すのが…良いな……
今回特にすごいぞ!と思ったのは追悼ラップのシーン。間伸びしてしまいそうな尺なのに全然そんなことはなかった。
松尾芭蕉もすげーよ❗️
遠藤さんの「加害者の笑みか?なんの笑なんだ?」みたいな表情のバランスも好き。

今回は舞台挨拶にもお邪魔したのだが、稲葉さんが「この作品はラップが浮くことなく劇中に流れている」というようなことをおっしゃっていた。本当にその通りで、さまざまなところでラップが流れていたけど環境音として捉えることができた。カイが生きている世界の音だな〜

全編通してずっと薄暗く辛いのだが、妻のために嘘をつくシーンはかなりつらくてすごい好き。
小学生の「法律がなければ先生は私と付き合ってくれたの?」という問いのアンサーが、妻の「法律では愛は守れないね」だったのも良い。
この作品は答えが返ってこなかった小さな疑問に全然違う人から答えが返ってくるシーンがあるのが良い。

別のBL作品でほないこかさんが男性とキャットファイトしているシーンがあり、それがかなり好きだったので今回の妻役がさとうほなみさんでニコニコした。
男性と男性の強い感情に巻き込まれ続けてほしい。

カイがやっていたことがちゃんと治療だったことに気づくシーンが好き。
カイはずっと先生が好きだし、でもそれを伝えるにはいろんなことが足りてないんだろうけど、カイが遠回しに投げてくれてた優しさに仁はちゃんと救われてて嬉しい。
詩を書けと言われて、最後はちゃんと一曲作り上げちゃう仁が真面目で愛おしいな。
風俗に足を運んでしまった仁を担ぎ上げて速攻ジムに放り込むの、見ている最中は「ストーカーとかなんですか?」と思っていたけど、事情を知ったら本当に優しくて泣いてしまう。優しいね…カイ……

終盤、「触れてほしくないのは自分が汚いと思っているから」という前提がある状態で、カイの手を引っ張っていく仁…
そしてしっかり触れられそうになった途端に拒絶するカイ……
数分前に目の前で人を殺した仁を見てもなお、「先生はまだ引き返せる」と仁を拒むのがあまりにも悲しい。
仁が何をしようと、やっぱり先生は美しいし自分は汚いと思ってしまっているんだろうな……

途中から仁があおいメッシュ入れてるな〜と思っていたのだが、森の中で抱き合っているシーンでそれがちゃんと見えていて、仁とカイはもう当初の加害者と被害者という図ではないんだなとしっかりわかってかなりよかった。
そしてカイに触れる時の仁の表情があまりにも穏やかかつ幸せそう。はやく大きくて暖かい布団の中でそれを……行ってほしかったな………

(追記:これ、全然メッシュじゃなくてただの白髪でしたね。最初の方のひとみさんの「なんか白くない?」の時点で白髪があったんだろうけど、それは顔色のことだと思ってました。)


全体的にガチャガチャしている印象が中盤まではあったけど、そういった部分を正してくれるシーンが細かくありすっきりした印象。
最後についてはもうちょっと考えてから追記したい。
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