さしすせ

私は貝になりたいのさしすせのネタバレレビュー・内容・結末

私は貝になりたい(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

第2次世界大戦で過酷な任務に従事した一介の兵士の悲劇を描いた作品。
同名の「私は貝になりたい(1959)」のリメイク版。

1944年。高知の漁港町。
妻の房江と共に理髪店を営む清水豊松は、戦時下の物資難に困窮しながらも息子の健一と家族3人で慎ましく生活していた。
戦況が悪化し、足の悪い豊松にも召集令状が。
中将 矢野率いる本土防衛部隊に配属された豊松は、ある日、すでに虫の息だったB-29搭乗員の刺殺を命じられる。
この命令のせいで、豊松は終戦後、横浜 第八軍軍事法廷にて軍事裁判にかけられ、絞首刑を宣告されることになったのだ。

当時、国中に蔓延していた狂気。
その最前線にいた彼らにとって、"天皇"という存在は自身の行動の正統性を担保する免罪符のようなものだったのかもしれない。
喧騒の世から離れ、海底にひっそりと沈む貝になりたい、そう思い残す豊松の悔しさたるや。

金網越しの面会と、吹雪の中で嘆願書集めに奔走する房江の姿は、「もう観たくない」と思わせる厳しさがあった。
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