男

名付けようのない踊りの男のレビュー・感想・評価

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)
4.5
その場で踊る 場踊り

踊りは言葉より先に大事なコミュニケーションのツールとしてあったと思う

場所や時間を約束して踊ることは踊り手からしたらきついこと

始まりはいやいや 終わりはふと終わる

衣装は貰い物

ダンスのための体で踊りたくない

身体が引き締まってて綺麗だった

言葉だけでダンスの説明を受けた
実際にやってみせない

歌は 声は踊りと同じく自然と出てくる
胸につっかえた気を外に出してる

作品内でめちゃくちゃわかりやすく感覚について考え方について言語化して話してくれたので自分自身の作品作りで、もやもやしていた自分の心に光が差した

この作品を観る前にあらかじめ決めて歌うんじゃなくて、その場で歌いたいんだという田中泯と同じような感覚を持った友達と話をしていたので鑑賞のタイミングが良かった

虫の速度を選んでもいいしアメーバの速度を選んでもいい 無数の選択肢がある

自分と観客の間にダンスがある

目隠しをした状態の視覚以外の研ぎ澄まされた感覚を持っていたい

山梨での暮らしが楽しそうだった
猫や羊を飼って
畑を耕して 自然の中での暮らし

これは僕の踊りじゃなくて監督の踊り
監督が面白いと思ってくれたところを
映画にまとめてくれた

踊り始めたら2時間くらい
踊り続けることもある

踊り終わった後、本人がめちゃくちゃ楽しそうに頭がくらくらするくらいに没頭しているのが伝わってとても幸せそうだった

映画出演時の衣装は、スタッフが自分のために熟考して似合うように用意してくれたはずなので似合うはずだ、と自分から意見したりせず、舞台設営前の挨拶でも自分たちは素人ですのでなんでも言ってください、とすごい謙虚な挨拶をされておりカッコいいなと思った

自分もいつまでも没頭し続ける賢く謙虚な大人になりたいと思えた
男