「琵琶法師」という本で存在を知り、気になっていた山鹿良之。
フオロイーさんのクリップで上映中なのを知った。連日トークショー付きで本日は監督が登壇。生誕120年記念の上映を全国で予定されているそう。
琵琶法師というと平家物語を弾く今井勉検校の動画を見たことがあるが、流派やスタイルがいろいろあるらしい。
今井勉の動画はキチンと整えられた舞台に座り、整えられた抑揚で詠じる。その特有の抑揚に魅了された。
この映画の山鹿良之は舞台に上がる姿より、自宅の椅子に腰掛けたり、隣村の行事にて平場で観客のすぐ横にいたり、生活に密着した姿が多く映し出される。
さらに多くの時間は彼の日常生活や人々との交流の様子を見せる事に当てられている。
周囲の人々に敬愛され、同時にとても距離の近い関係性を築いている姿をうつくしく感じる。
それは芸人としてだけでなく、生活人として人生を全うしてきた山鹿良之だからこそ、と思える描写があるからだ。
熊本の村で生まれ、琵琶法師としてさまざまな場所を巡ったのち、いま(91歳当時。1992年)生まれ故郷で一人暮らしをしている山鹿良之のことばは、強い方言により意味を聞きとるのが難しく、時に字幕入りになるのだが、力強く飾らずあかるい調子に魅了された。
芸人として人としての人生を極めた生き様、忘れられないものを見せてもらった。