栞

私たちの栞のネタバレレビュー・内容・結末

私たち(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

この類のドキュメンタリーは国(や世界)の悲惨な現状を映したものが多いけど、本作は違う。犯罪や暴動などのシーンはひとつもなくて、フランスの郊外で生きるさまざまな人たち(狩猟愛好家、訪問看護師?、夏を楽しむ青年たち、車の整備士など。移民が多い)の日常をひたむきに映している。人々を馬鹿にするわけでも否定するわけでもなく、ただ「こういう人もいる」それだけを淡々と伝えている。

そうした、同じ国に住んでるとはいえ多様な背景を持つ人々を映した作品に『私たち』という題をつけることにもすごく意味を感じる。フランスという国で一般的に想像される、美術や美食が集まる華やかな光景とはまるで異なる映像の連続だけど、映画のラストにフランスの国旗が掲げられるシーンを持ってきたり、(何の曲かはわからないけど)ザ・フランス!という感じの曲が流れたりしていて、この国にはさまざまな人が暮らしていて、みんなフランスの大切な民であることを、言葉にせずとも表しているように思う。映像としては淡々と暮らしの様子が流れるだけのシンプルなものだけど、細部から監督の意図がちゃんと伝わる。

こっち先に観ておきながらサントメールを観ていないという…すみません観ます…
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