…昔ね、「哀しい気分でジョーク」って映画があったんですよ。
主人公は人気コメディアンなんですけど、幼い一人息子に脳腫瘍が見つかると。
余命いくばくもないと。
シングルファーザーなんですけど仕事にかまけてロクに子育てしてこなかったもんだから慌てて子供の面倒を見始めるんですよ。
なんとか埋め合わせしようとするんですけど、何しろ嫁さんに逃げられるくらい、いい加減な男なもんで、やる事なす事全部裏目に出ちゃうんですね。
全然親子関係良くならないんですよ。
いやまぁ若干救いはあるんですけどまぁなんやかんやあって努力の甲斐なく息子は亡くなってしまうんですね。
もう主人公は泣いて泣いて。
だけどね。
主人公はね。
コメディアンだから。
そんな状態でもステージの上ではおどけて歌を歌ったりなんかするんですよ。
そーゆー映画だったんですけどね。
僕ね、これ観てショービズの何たるかを学んだ気がしたんですよ。
エンタメとは何か?プロとは何か?
僕が音楽に賭ける意気込みってここが原点なんですよ。
そーゆー事をね。
改めてね。
思い出させてくれたんですよ。
この「KAPPEI」が。
ほら僕ってオサレポップなミュージシャンじゃないですか。
こんなキワモノ映画見る訳ないじゃないですか。
だけどまぁ付き合いとゆーか断れない事情とゆーかヤムニヤマレズ観ちゃったんですけど、まさかね。まさかですよ。
あの時の感情が甦るなんてね。
プロ根性ですよ。出演者達の。アレのおかげですよ。
だってフツーどー考えたって出たくないでしょあんなキワモノ映画。
なのになんですかあの全身全霊の演技は。
何の迷いもない。振り切ってる。
ポリシーに反するかもしれないのに。
この先の仕事に影響が出るかもしれないのに。
昨日彼女とケンカしてメンタルへこんでるかもしれないのに。
薄毛が進行しててもうオモテに出たくないかもしれないのに。
なのにあの迫真の演技。
スゴい。語彙力。いやスゴい。
演技だけじゃない。作品のテーマに合わせてきっちり体も仕上げてきてる。
伊藤さんの逞しい上腕二頭筋。
大貫さんの広い広背筋。
山本さんのふくよかな大胸筋。
そして小澤さんのあの腹筋。
スゴい。語彙力。いやホントにスゴい。
プロですよ。本物の。
でまた脇を固める女優陣も素晴らしい。
上白石さんもプロですよ。あんな風態のキワモノ連中相手に迫真の演技。重厚な人間ドラマ並の演技。上手い。語彙力。いや上手い。
上手いと言えばかなでさんのダンス。
上手い。語以下略。
あ、すいませんアップルミントティーください。
すいません、熱くなりすぎて注文するの忘れてました。
熱いと言えばあの告白シーン。
アレを実写で観れる日が来ようとは夢にも思いませんでしたよ。
アレはね、アレを観る為だけでも十分値打ちありますね。
そしてそこからのラスト。
やられた。
原作と違うんだもん。
違うけどスゴく良いんだもん。
やられましたよアレには。
最後タイトルが出た瞬間「ファルコン&ウィンターソルジャー」思い出しちゃったもん。
アレはね。アレを観る為だけでも十分値打ちありますね。
あ、念の為言っときますけど好きで原作読んでた訳じゃないですからね。
まぁ付き合いとゆーか断れない事情とゆーかヤムニヤマレズ読んじゃったんですけど、まさかね。まさかですよ。
まさかの改変。でまたそれが良いんだ。
制作スタッフもプロですね。
この漫画を実写化しようとするだけでもチャレンジなのに更に結末を変えるなんて。
子供が夜の校舎窓ガラス壊して回ってるかもしれないのに。
盗んだバイクで走り出してるかもしれないのに。
負け戦と知りながら毅然と立ち向かうその心意気たるや。プロですね。プロですよ。
僕はね、まさかこんなにも胸が震えるとは思ってもみなくって、是非社長にも観て頂きたくって…
…社長?しゃ…寝てるっ!!!え?いつから!
え、ちょ、社長!起きてくださいよ!
聞いてました?僕の話!
スゴい大事な…って爆睡?!
え?全然起きない!社長!社長てば!!!
…お…おのれ…
この昂る想いを…
俺の情念を…
無視するとは…
…良い度胸だ…
覚悟は出来てるって事だな…
良かろう。
お望み通り、貴様は…
SATSUGAIだあぁぁぁっっっ!!!!!
おわり。