あさ

猫は逃げたのあさのレビュー・感想・評価

猫は逃げた(2021年製作の映画)
4.1
大人の“好き”や“愛”は複雑なんだニャー
「子はかすがい ならぬ猫はかすがい」

ある一組の夫婦とそれぞれの浮気相手、男女4人の二つの恋と飼い猫のカンタをめぐり描かれるラブコメディ。
「愛なのに」に続くR15指定作品第二弾、今回は今泉力哉監督がメガホンを。描き方によっては昼ドラのようなどろどろな展開になりそうなプロットを今泉力哉監督らしい温かい作品に仕上げている。そして実際劇中に出てくるように哲学的な要素も見られる。

猫が本作の主役でもある本作、猫が男女四人の色恋沙汰を和らげている。
恋など愛などの“あるある”を詰め込みながら最後は意外な展開へ。そして猫のカンタの名演にもあっぱれです。

週刊誌の記者とカメラマンの不倫
漫画家と編集者との不倫とかあるあるでリアル(笑)
四人の役者、自然な演技が良かった。特に真実子の広重に対する目線や表情(好きな人に対する女性の態度)とそれ以外の態度、ちょっとした二面性が女性のリアルな姿として表現されていた。一方であこ演じた山本さんは常に自然体!
町田夫婦が夫婦になる前のシーンや、猫がいなくなる回想を絶妙なタイミングで入れてくるところが心憎い。

※以下少しネタバレ含みます

最後の四人の会話劇のような長回しシーンには爆笑でした。だけどこのシーンは大人でないと理解できないだろうなぁ(結婚、もっと言えば浮気、不倫経験ある人ならより楽しめる会話劇かと)。流れ的には普通ならドロドロかつめちゃくちゃな展開になるはずなのに…。なぜか笑えて爽快な作品にしてしまうところに“今泉イズム”を感じずにいられない。

R15指定なので、ベッドシーンもありますが、実はそんなにエロくない。どちらかと言えばこういう大人の事情(不倫や遊びや本気や結婚とか)を理解できるかどうかといったことじゃないかな。
大人の“好き”や“愛”は複雑なのです。オズワルドの伊藤 俊介演じるノーパン監督が話すアガペー、フィリア、エロースにも深く関係するのかなと。
あさ

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