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アンを探してのodyssのレビュー・感想・評価

アンを探して(2009年製作の映画)
2.0
【ヒロインが幼い】

うーん、見ていて、すごく気恥ずかしくなる映画でした。

ヒロインは最初のところで、ジェフに「13歳か?」と訊かれます。実際には17歳で、旅をするにはいい年齢だと言われるのですが、この映画でのヒロインは13歳にしか見えません。外見もさることながら、行動様式がひどく幼いからです。

たしかに外国を旅行するのは大変です。言葉もよく分からないし、習慣だって違うし、物怖じしてしまうのは無理もないのです。だけどヒロインは大切な目的を持っている。大好きだった祖母の初恋の相手を探すという目的です。それを一定期間のうちに成し遂げなくてはならない。なのに、その目的を達成すべく起こす行動が非常に自閉的でひとりよがりで、結局まわりの人間にほぼ全面的におんぶしてようやく、といったところなのです。

途中、自転車がパンクして宿に帰れなくなるところがありますが、よく分からないのは、ヒロインはケータイを持っていたはずだということです。ケータイで宿に電話することがなぜできなかったのでしょう。或いは何らかの事情でケータイを使えなかったとしても、途中誰にも助けを求めることができなかったのか。

ヒロインを演じた穂のかさんは、作品サイトによると実際には英語が堪能だそうですから、問題は彼女の演技力ではなく、設定や脚本にあるのだと思います。この映画は、「17歳の日本の女の子はこんなに幼く、判断力もなく、周囲の人間に頼り切らないと何もできないんですよ」と宣伝しているみたいなものじゃないでしょうか。あんまりこういうことは言いたくないけど、国辱物という気がしますね。

そこにいくと、途中同じ宿に滞在する日本人姉妹の方がまだしもです。姉は仕事に自分なりの考えをしっかり持っている。会社の企画と衝突してしまうにせよ、自分というものがある人なのだと分かります。『赤毛のアン』に対しても批判的です。妹の方は姉とは反対にちゃらちゃらしていて男の子を見つけて遊びまくるなどしますが、言ってしまえば自己責任でやっているわけで、それはそれでいいじゃん、と思えてくる。少なくともまるで幼児のようなヒロインと比べればね。

なお、カナダには英国系住民とフランス系住民がいることは周知の事実ですが、『赤毛のアン』の、そしてこの映画の舞台であるプリンス・エドワード島にもフランス系住民の組織があることを初めて知りました。
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