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オッペンハイマーの焂のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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モントリオールで観た。
オッペンハイマー側のストーリーだということは承知で、人物像や当時の心情をもっと知れるかと思ってたけど、密着動画みたいに淡々と話し合いの様子や事実が3時間映し出されていた。せめて爆発時の映像表現のなかに一瞬くらい焼けただれて死んだ人を連想させるものがあったら、うしろの「はだしのゲン」すら知らない誰かが放映中にポップコーンをぼりぼり食べる音や平気でおしゃべりをする声に腹が立ったりはしなかったと思う。映画館は満席で、日本と比べると相変わらずのうるささで、そこに日本人は私しかいなかった。この映画を観た時だけは、気持ちが異常に張り詰めていて、日本人であるという意識が気持ち悪いくらいに私の中で膨らんでいくのを感じていた。意思に反して殺伐としていく自分に戸惑っていた。この映画を北米で観たことがいい経験だった。
家に帰ってからすぐ、私の良き理解者でジブリファンであるカナダ人ルームメイトに「火垂るの墓」をおすすめしたら翌週くらいにわざわざ買ってひとりで観て、泣いていた。ありがとうと思った
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