映像、音楽、演技、ストーリーすべてにおいて文句なしの傑作。
徹底してオッペンハイマーの視点から描き、彼が思ったことがそのまま壮大な映像として見ることができ追体験できる。
一見危険な試みであるが、だからこそこの映画でしかできない体験ができる。
本当に素晴らしい。
また、もう一つの軸としての原爆の父としてのオッペンハイマーとオッペンハイマーにはなれなかった男としてのストローズの対比としての表現も面白い。(色々な所で言われているが、まるでモーツァルトとサリエリのような関係のよう)
前半は自身満々の科学者として、後半は少しずつ芽生える後悔の念。
そして、アインシュタインとの会話が最後に明かされ話の内容的には陰鬱でもあるが、エモーショナルな音楽と映像で終わる。
本当に素晴らしい映画だった。
個人的に大好きな宮崎駿監督の『風立ちぬ』と通じる所がある。
映画好きの中には、クリストファー・ノーランと聞くと鼻で笑う人が一定数いるが、流石にこれを出されたら少し見方は変わるのではないだろうか。