センター分けのましゅちゃん

ノースマン 導かれし復讐者のセンター分けのましゅちゃんのレビュー・感想・評価

4.1
国王の父と王妃の母を失い、
奴隷に身を堕とした王子の壮絶な復讐劇。

北欧を舞台にした野生的で泥臭い復讐劇に
ロバートエガース節炸裂の
不気味、怪奇的かつスペクタクルな演出が交わり、
唯一無二の世界観を構築している。

美しく綺麗な復讐劇ではなく、
北欧の奴隷による泥と血に塗れた
猟奇的で血生臭い復讐劇が良い。
そんな泥臭さと血生臭さの中でこそ
きらりと光るのは
ロバートエガース監督の手腕。

目が合っただけで
息の根を止められそうな
復讐に燃えるアレクサンダースカルスガルドの表現力には、息を呑む。
復讐に落ちた彼の目が、
やがてとある出会いにより
わずかに変化してゆく。
心情表現をセリフではなく、
目で訴るアレクサンダースカルスガルドの表現力の高さを思い知った。

また登場シーンは少ないながら
脇を固めたウィレムデフォーとビョークの
表現力が作品の世界観にさらなる奥行きを与えていた。

復讐譚というシンプルなストーリーラインの中に、様々な引用や仕掛け、演出を施し、唯一無二の世界観を構築してゆく。
さすがはロバートエガース監督。
天晴れ。