ごー

浮かぶのごーのレビュー・感想・評価

浮かぶ(2020年製作の映画)
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本作の吉田奈津美監督、出演の芋生悠さん、前田弘二監督トークショーの回を鑑賞。
セリフが少ないので想像力が求められるし解説があると尚良い。トークショーの回で良かった。
見るものと見られるものという構図だが、それよりも選ばれたものと選ばれなかった者、という対比の方が気になった。どういう者が天狗に選ばれるかは作中の文献に書かれていたけど、目立っているとか存在感があるとか、そんなけっこう直接的な表現だった。芋生悠さんはまさしくそういう存在で、ハマり役だったと思う。なんとなくミステリアスで存在感のある感じ、だけどトークの際の本人は笑顔が多く、もっと普通に人間的な方だった。選ばれる者、存在感、について、芋生さんに聞いてみたかったけど聞きそびれてしまった。
姉妹の表情が対照的で、心が動いているはずの姉が表情が殆ど無く、何を考えてるのか分からない妹のほうはよく微笑んでいた。
セリフが少ないのは監督が説明的にしたくなく、敢えてそうしていたそう。姉が忘れていたことは、もしかしたら妹はずっと覚えていたのかも知れないと思った。だとしたら成長してから被写体になる気持ちはどんなだろうか、、、あまりポジティブなものだとは思えないんだけど、モデルになる道を選んだ。ということはやっぱり妹も覚えてないのか、、、わからん。
1番理解しやすいのは見守るものの進なんだけど、そもそも監督にとって進が1番理解できる存在だったらしい。幼い頃の記憶、男性の加虐性、加害者になり得る自分の欲求。これ、自分が高校生のときに大江健三郎の「静かな生活」を読んだときに感じた事そのものだったので、女性の監督がそれが分かるのがすごいと思った。想像力とか共感力とかそういうものだろう。
監督の次回作でクラウドファウンディングしているそうなので協力しようかと思った。
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