ひよこまめ

デリシュ!のひよこまめのレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
4.0
とっても素敵な映画だった。
まず、全編通しての、18世紀ごろの西洋絵画を意識したのかなと思うような美しさが心地よく。

時代はフランス革命前夜、パリは不穏な空気に満ち満ちているはずだけど、田舎はまだ平和。
物語の発端が、貴族の館で料理人が不当に罵倒されるところから、というのが象徴的だと思った。
社会に新しい風が少しずつ吹き込んできてることが、息子を中心とした場面でなにげなーく描かれ。
貴族社会にも貴族社会の不条理があることがルイーズを通して描かれ。
貴族に依存することが平民である料理人の成功の道、と信じていたマンスロンの意識も変わっていく。

レストランという場が、社会に対して窓を開けたような場所になっていることも興味深かった。

多くの場合、貴族側から血みどろの争乱と描かれる革命が、田舎を舞台にすることで人間社会においては希望であり進化への過程であることが伝わってきた。
いくつかの困難を越えながら最後は結ばれるマンスロンとルイーズの物語は、革命を別のかたちで描いたものに見えて、なるほどねー、すごく上手い作りだなーと思った。

無骨だけど真面目で優しいマンスロンがいい。
真面目で勉強熱心で都会の(社会の)動きにも敏感で、普通に父や祖父を慕っていて、時々少年ぽさが見えるマンスロンの息子くんも、この親にしてこの子ありという感じでとても良い。
(変に反抗的な、問題アリな息子としなかったのがとても良かった)
かくしきれない気品を湛えたルイーズが美しい。シワまでもが美しくて感動。
ラストシーンの、いい歳した二人のじゃれ合いがめっちゃハッピーな気持ちにさせてくれた😍

何気なく選んだ一本だったけど、見れて良かった❣️
ひよこまめ

ひよこまめ