ボギーパパ

ラーゲリより愛を込めてのボギーパパのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.8
劇場2022-64 TCサクラマチ

あまり観る気にならなかったものながら、日に日に観たくなってきた作品。

辺見じゅんさんの原作未読。購入したが未読のまま実家の本棚に置いたままか、、、
私が社会人になって間もない頃刊行された原作が33年後の今になっての映画化。

撮影時はもちろんコロナ禍であったろう。様々な障害があったことと推察される。アップの画面が多く、製作陣の規模感隠すためのご苦心が至るところに見える。またどう見ても国内での撮影なのだが、シベリア感を出そうとするご苦労も、、、粗探しするのが目的ではないが、ロケが存分にできる環境に早く戻らないものだろうか、、、ご苦心はよくわかるのだが、スケール感の出し方がうまく行ってはいないのが残念。キャストもメインキャストとモブの扱いの差が激しすぎるため際立ってしまうのかな、、、

このシベリア抑留を扱うとなると、壮絶な自然との戦いを表すのとともに、ソ連側の理不尽な体制、収容所の惨さや苛烈さが、質・量的に不可欠なのだが、この部分がかなりあっさり扱われている。ソ連側の役者の演技の下手さも目立つが、これは本作のテーマの主なる部分が愛と希望と友情なので、ウェイト比率としては添え物としてで良いのだろう。

結果、粗探しのようになってしまったがラストは凄く良かった!もう号泣。

伏線回収もしっかり生きており、二宮和也さん演ずる幡男の無念と感謝と託す気持ちが、あの手法により、北川景子さん演ずるモジミの慟哭へしっかり繋がり受け止められることによりクライマックスを迎える流れは、息を呑み、ぐっと来て、滂沱の涙を誘う。

ここを描きたかったのだから、他の要素は伏線として(製作予算や社会的制限により回避できなかったのも)許容できる。
このラストに持ってこられたため、鑑賞した時のモヤモヤした気持ちにも大逆転が生じた。

二宮和也さんの戦争映画と言えば「硫黄島からの手紙』もあるが、正直今回はあまり上手いとは思えなかった、、、
相葉くんのあの作品に懲りたせいかもしれない、、、残念。
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