私の祖父が、題材となったシベリア抑留の生還者のひとりでした。
厳しくつらい10年にも渡るシベリアでの労働から生きて戻り、99歳で亡くなるまで幸せに暮らして、葬儀の際はもうこれは大往生でお祝いだから、と、葬儀のお返しは紅白饅頭でした。
晩年ボケてしまった祖父が、息子である父の話を父本人にしていても、それでも忘れなかったのがラーゲリ(収容所)での話でした。
深呼吸をしたら肺がやられるから止められたり、
鼻水や涙など水分は全部凍ってたという話、
食べ物が足りてなかったので凍ったキャベツを見つけてかじってたという話。
全て冬のエピソードなのはやはり厳しい寒さがこたえたのだろうと思います。
そんな状況でも忘れずに話をするのは、強烈すぎる経験であり、祖父にとっては「青春のひとつ」だったんだろう、とよく家族で話してました。
なので、この映画で少し和んだシーンを観たときは、こんな心安らぐこともあったんだとしたらよかったなぁ、と思えました。
以前は誰かに話したとしてもピントが合わなかったシベリアでの話。
この作品のおかげで伝えやすくなったなぁ、と。
エンタメ性も出しつつ、実話も大事にして、
それを若手からベテランまで、人気も実力も兼ね備えた素晴らしい俳優陣で再現してくれたこと、これだけでもうとてつもないこと。
皆さんの演技がすごすぎて、ただただ圧巻でした。
ニノをはじめ皆さん圧倒的な実力。
演技がすごすぎて個性が消えたのか、個性を消して演技をしたのか、どちらが先かはわかりませんが、そのエネルギーでたびたび泣かされました。
特にニノという武器のおかげでより伝わりやすくなったのではないかと感じます。
帰国前の演技が本当に魂で演じている、と思わせるような素晴らしいものでした。
そして祖父が生きて帰れたことは本当に奇跡だ。
聞いていたエピソードとこの映画で痛感しました。
以前からたまに祖父のことは発信してましたが、これからも祖父の思い出と共に思い出して、またそんなタイミングで発信していけたらいいなぁ。
そして今度からはそのとき、この映画のことも思い出すはずです。
素晴らしい作品をありがとうございました!