Ark

ブラック・フォンのArkのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.4
2023-55
コロラド州デンバー北部の田舎町で、子供が“グラバー”と呼ばれる誘拐犯に連れ去られる連続失踪事件が発生。大人しい少年フィニーは、学校からの帰り道にマジシャンを名乗る男に誘拐され、地下に監禁される。そこにある断線した黒電話がひとりでに鳴り響き、グラバーの犠牲になった少年たちからメッセージが届く。少年たちはフィニーに何かをさせたい様子。一方、フィニーの妹グウェンは正夢を見ることが出来、その力を使って兄を見つけ出そうとする。


スティーヴン・キングの息子ジョー・ヒルの短編「黒電話」が原作。

イーサン・ホークが変態誘拐犯を演じている。2階でベルトを片手に、何故か上半身の露出多めで重鎮の如く鎮座して、少年が来るのを待っている姿がシュールで笑ってしまう。

以下ネタバレ↓



フィニーは気弱な少年で虐められることもある。ある日、黒ずくめで白塗りのマジシャンを名乗る男に誘拐される。監禁された先にある断線した黒電話から犠牲になった少年たちのメッセージが届く。これまで他の少年のときも黒電話は鳴っていたが、霊感がなくて気付かなかった。しかし霊感のあるフィニーには聞くことが出来た。少年たちの指示通り、部屋に細工を施すフィニー。「今日が最後だ」と話す少年たちの言葉通り、フィニーはグラバーを殺害し少年たちの無念を晴らし脱出する。「今日が最後だ」という言葉はグラバーに対する言葉なのであった。

問題は、グラバーの目的は何か?ということ。グラバーのモデルは、1970年代に実在した殺人ピエロと呼ばれるジョン・ウェイン・ゲイシーらしい。ゲイシーはパーティーなどで子供たちを喜ばせるためにピエロの格好をしていることが多かったため、殺人道化や殺人ピエロの異名を持つ。彼は33人の9〜20歳の少年や青年を自宅や車に誘い、強姦した後に絞殺する凶悪連続殺人鬼で、「私の中には4人のジャックがいる」と多重人格を主張していたらしい。最終的には1994年に薬物注射による死刑執行が下されている。

この殺人ピエロの異名を持つゲイシーと、本作のグラバーには共通点がある。
少年のみ誘拐する点、快楽殺人犯である点、複数の仮面を使用している点(=多重人格を表している?)。

これはもう、霊感の勝利って感じのホラー映画。フィニーに霊感がなければ、間違いなく他の少年と同様に死んでいただろう。

最後に見つけてくれたグラバーの弟マックスが斧で殺されたのは残念だった。
グラバーも簡単に死にすぎだ(笑)

グラバーを殺して脱出し、父親の元に戻り、父親は泣いているのにフィニーは無表情。暴行する父親の元に戻るのも、どうやら嬉しくない様子。事件後もフィニーがこれまで通り平凡な少年に戻り成長していけるのか、非常に不気味な終わり方だった。

本作の子役は2人とも上手だから安心して観れた。妹ちゃん可愛い。いや2人とも可愛い。
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