れん

デューン 砂の惑星PART2のれんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0
砂漠の春。実世界と映画世界との境界線が霞むどころかきっぱり打ち消され全てを飲み込んでいく世界観構築力の凄み。前作から引継がれる端正な画作り、荘厳な風格、それらが更に鋭く研ぎ澄まされていく高解像度な洗練さには驚くばかり。純然たるスペクタクルを目の前に浴び、映画を見る、映画を体感することの喜びが有無を言わさず更新されていく。宗教、信仰、政治、血統、争い。抗うことのできない巨大で邪悪なシステムが無造作に健やかな心を蝕む。可能性の記憶たちが希望と絶望、生と死の道を迷わし悩ます。どんな運命も自分で選び取ることが出来る。英雄譚であり復讐譚、苦味のある幕引きを噛み締める。ハンス・ジマーの生み出す音楽は前作より抑制が効きつつも壮大、ポールとチャニの関係性を紡いでいくスコアがなんとも美しい。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が作品に刻み込むように持ち込む頻出モチーフの数々に心踊りながら原作への愛、引いては映画への愛が力強く伝わってくる。まだまだ物語のその先をたまらなく見ていたい。大傑作。
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