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カッコーの巣の上でのTPのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.5
★1988年に続き、2回目の鑑賞★

 1962年発表の原作は舞台劇にもなり、そこで演じていた何人かの俳優がそのまま本作でも演じていて、主要な精神病患者10人や看護婦長などそれぞれが達者な役者なので見応えがある。
 ちなみに、クリストファー・ロイドとダニー・デヴィートは舞台で演じた役を本作で再度演じ、映画デビュー作となった。

 役者たちが達者なのに加え、中心となるマクマフィーはもちろんだが全員に見事に性格付けが行われていて、群像劇としても極めて抜きんでている。
 その結果として、半分正常人のマクマフィーの自由と享楽への渇望が鮮明で、かつ、ラストはなかなかセンセーショナルなこともあり、精神を病んでいる患者たちの心を少しづつ変えていく中で生きることの尊厳を見事に謳いあげている。ジャック・ニコルソンの最良の作品の一つ。

 一つ欠点を上げるなら、この精神病院の管理がかなり緩く、また、容易に脱走できてしまう構造であるところ。

 しかし、ジャック・ニコルソンは唯一無二の俳優だと思う。非常に顔立ちが個性的でアクも強いのに、演じた人間はニコルソンとしてではなく、役柄として記憶に残る。
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