東京計画2022さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

東京計画2022

東京計画2022

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映画 太陽の子(2021年製作の映画)

3.0

海軍のF研究、陸軍の二号研究。アメリカのマンハッタン計画を追うように、日本の物理学界も「原子核爆弾」の研究に邁進していた。

“答えなど最初からないんだ。正しいか過ちかもなければ善悪もない。ただ真理が
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ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.0

これはこれで良いのかも(むしろ一本の映画によく収まったなと)。


風の歌を聴けもそうだけど、作品の筋や展開は表現できても、行間に漂う空気感は映すのは難しい。

なぜなら、それこそが小説の面白さだから
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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

大学の頃に所属していたボランティアサークルがまさに「正義の声」に似た活動で。

一番神経を使うのが電車やバスの移動。作中でジョゼフが橋を通る音に驚いて緊急停止ボタンを押すように、僕らの活動にも音がダメ
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ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)

2.5

“真実はすべて美しい”

というのは、監督の解釈に過ぎない。いろいろ調べてみたけどリヒター自身はそんな意味の発言も、文章も書いてはいなかった。むしろ彼の作品群からは真実とか、主張とか、そういう意図やイ
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(1985年製作の映画)

3.5

早稲田の演劇博物館にて。
シェイクスピアの『リア王』の戦国時代風アレンジ。
有名な「三本の矢」のエピソードが出てくるんだけど、捻くれ者の三郎が膝で矢を折るところで笑っちゃった。

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画冒頭、居酒屋でヘミは習っているというパントマイムをジョンスに見せる。慎重に皮をめくり、一粒ずつ大事にミカンを食べるヘミ。
けれどジョンスは多分、その意味が理解できていないのだろう。曖昧に「上手だ。
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父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

3.5

最初に見たのは高校生の頃。これがきっかけで防大受験をやめようと思った。結局、カネ、カネ、カネ。どこをとっても。

理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.0

1つ言えることは、悩んでいる人は「今」をどうにかしたいのであって。


宇宙の広さに比べたら、人間の悩みなんてとか、10年たったらそれがバカげてると分かるとか。

そういう気休めにもならないアドバイス
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.0

ハッピーエンド。とっても良かった。


もしミアがセブと一緒にツアーに出ていたら。おそらく最後のシーンでミアが思い描くのと同じことが、ミアにも起きていただろう。自分の夢をあきらめて、恋人の夢を追うとい
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

遺書を分割しそれぞれが記憶して、家族に届ける。

松田は自分の母と重ねながら、
新谷は自分の兄弟と重ねながら、
會澤は自分の妻子どもと重ねながら。

そして、山本を裏切った原は、その懺悔の念を込めなが
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.0

人間の奢りだと思うんです。自分たちの思い1つで天変地異をコントロールできるなんて。
どうにもできないからこそ、昔の人は人間と神様が住む空間を分離して敬っていたし、「恵み」として自然から物を分けてもらう
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ミス・シェパードをお手本に(2015年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ソーシャルワーカーが気を利かせて3着用意したコートも「3着もどこに置くの?」と突き返すし、近所の子どもが持ってきたクリスマスプレゼントにもありがとうの一言すら言わない。

車のキーを無くしかけたときも
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生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事(2021年製作の映画)

3.5

『失敗の本質』に沖縄戦の顛末が詳細に描かれているから、詳しい話はそちらを見るとして。

うーん。島田叡しかり、中川州男しかり、栗林忠道しかり。

彼らの高い精神性を見るたびに「もし違う場所・違うタイミ
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オン・ザ・ロード(2012年製作の映画)

4.0

止まることを知らない男、ディーン・モリアーティ。彼の目は常にここではない「どこか」に向いていて、ただひたすらにアメリカを右に左に、移動し続ける。

かたや主人公サル・パラダイスは、育ちの良い「インテリ
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メッセージ(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

物事を因果律的に解釈する人類と目的論的に解釈するヘプタポッド。


僕らにとって未来は、行動の結果として存在しているけれど、彼らにとってみれば現在も未来も、そして過去さえも同時に存在していて。

だと
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アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発(2015年製作の映画)

3.5

作中、たびたびこちらを見つめて語りかけるミルグラム。まるで僕らも被験者の1人かのように…。

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

3.5

600万人ものユダヤ人虐殺を指揮したアドルフ・アイヒマン。ハンナ・アーレントは法廷で話す彼の平凡な姿から「悪の凡庸さ」と名前をつけ、思考を止めた人間だと主張するけれど。


どうなんだろう。
むしろア
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ヒトラー(1977年製作の映画)

3.5

言葉巧みな話術に加え、制度上の盲点をつくことにも長けていたヒトラー。不況時代は強いリーダーシップを求めがちですけれど、それが英雄か、それとも独裁か。考えさせられます。

トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

3.5

移り変わる時代の中で、漫画に求められるものも変化していく。

少年少女向けから大人向けに、冒険活劇からSF、サスペンス、もっと過激で過剰なギャグに。

そのこと自体はもちろん、漫画のイチ発展形態とも言
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.0

この手の映画を観て「人間は愚かだ」とか「戦争はダメだ」と思うけれど。

自分がもし、彼らと同じような状況になったとして、戦争反対を言えるのだろうか。周りに流されて志願してしまうんじゃないのか。結局、権
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私は貝になりたい(1959年製作の映画)

4.0

巣鴨プリズンに響く、力なき歌声の「神共にいまして」。圧倒的現実の前に、神も仏も…。

八甲田山(1977年製作の映画)

3.0

小学校の頃に家族で行った十和田湖の、ロープウェイ乗り場のディスプレイで流れていた映画。

覚えているのは寒すぎるあまり体温調整がおかしくなって服を脱ぎ捨てる兵士と排泄しながら兵士が死ぬシーン。子供なが
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サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

4.0

そのルールを守ることに、どんな意味があるのか。目の前の人を幸せにできるのか。


現実は曖昧で、グレーで、正解が無いからこそ。他人ではなく、自分の良心に従ってルールを作る。

もちろん、それは簡単なこ
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

3.5

「死」をテーマにしつつも良い意味で深さを感じさせないところが、ショービジネスの熱気や怖さを出してるというか。

思ったんだけど、オープニングテーマ(『On broadway 』)で全部説明してるね、映
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FLIRT/フラート(1995年製作の映画)

3.5

言葉は単に文字通りに機能するのではなく、発せられた背景や伝える対象との関係性によって意味が変化する。


この映画は、セリフもシチュエーションもほとんど同じ短編を3つ重ねる。けれどそれぞれの文化圏が異
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

後味の悪さがとても良い。見方によって結末の意味が分かれるところも。


彼らを「中途半端」と上から語るのは簡単。でも人は皆、僕を含めて彼らと同じようなものだと思う。不満は無いけど不安はあるとか。変わり
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ゲド戦記(2006年製作の映画)

3.0

テーマはとっても良い。生きるうえで悩み苦しみは尽きないものだから。

原作は、特に1巻の『影との戦い』は、ハイタカ(ゲド)自身が自分の弱さゆえに生み出した影と向き合い、1つとなる物語。だからこそ、どう
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

4.0

ブルータリズム、スポメニックの禍々しさを堪能できる作品。このモニュメント群を見に旧ユーゴスラヴィアへ行きたくなる。

アポロ13(1995年製作の映画)

4.5

「想定しうるあらゆる事故」の範疇を超えた「想定外の事故」。それは、地球から32万キロ離れた、月まではあと6万キロという地点で生じた。


予想しえない事故、シミュレーション不足。
誰が悪い、何が悪い。
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ロニートとエスティ 彼女たちの選択(2017年製作の映画)

4.5

宗教コミュニティの永遠のテーマ「信仰と自由の選択」を、3人の複雑な関係で表現した作品。テーマがテーマだけに、人ごとという感じではいられなかった。

個人的には、ドヴィッドがラビの地位を放棄してまで伝え
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