東京計画2022さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

東京計画2022

東京計画2022

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キリクと魔女(1998年製作の映画)

3.5

物事は必ずしも因果関係や二元論的な理解だけで説明はできないと思うけれど。
それでも、「なぜ?」と言って本質を追求しようとするキリクの姿は、村の誰よりも美しいと思った。

王と鳥(1980年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしく皮肉たっぷりな作品。

王への抵抗は、抑圧からの解放を象徴。しかし全てが終わった後、そこには輝かしい未来も、為政者のいない自由な空間もない。あるのは廃墟と化した元・王国があるのみ……。

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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

3.5

彼らと僕らは地続き。
考え方も、今と変わらない。

歴史の一コマとして見つつあった戦争。でも確かに、今も彼らは生き続けている。映像の力強さ。

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

人間は殴られれば痛いし、血も出る。そうして自分は生きていると実感する。

だからこそ彼にとってファイト・クラブは1つの「生の実感」が得られる場所だったんだろうね。


日常生活で「生の実感」を得るには
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

4.0

Say,it’s only a paper moon
Sailing over a cardboard sea
But it wouldn’t be make-believe
If you belie
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おいしいコーヒーの真実(2006年製作の映画)

4.0

この話に明確な「悪」は存在しない。

ポジティブに見れば輸出業者やバイヤーは様々な国においしいコーヒーを届ける役割を担っているし、彼らが大量に仕入れることで小規模焙煎業者は必要な分だけコーヒーを買うこ
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<片隅>たちと生きる 監督・片渕須直の仕事(2019年製作の映画)

3.0

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のプロモーションフィルムという感じ。

制作現場のリアルな様子を知りたかったんだけどね。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.5

何を食べて、何を着て、どんな暮らしをしていたのか。どんなふうに死んで、どんなふうに生きのびてきたのか。


それは今の僕らとほぼ変わらない、日常の営み。喜んだり怒ったり。哀しんだり、楽しんだりもする。
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ライ麦畑で出会ったら(2015年製作の映画)

4.0


人は誰しも何かに憧れ、その人になりたいと強く願うものかもしれない。それは実在する誰かの場合もあるし、ジェイミーのように物語の登場人物かもしれない。


確かに、彼らに触発されることは大切だ。けれど、
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シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

4.5

彼らの思いとは裏腹に、船を出した海は大荒れ。それはおそらく待ち受ける未来の姿かもしれない。

けれど、コナーが歌うようにこれは君の人生。何でもできるし、ときに間違えたっていい。そのまま、走り続けよう。
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否定と肯定(2016年製作の映画)

4.0

「表現の自由を妨げる判決という人もいる。そうではない。私が闘ったのは、悪用するものからそれを守るためです。なんでも述べる自由はあっても、嘘と説明責任の放棄だけは許されないのです」(デボラ・E・リップシ>>続きを読む

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

3.5

ウクライナは、ヨーロッパとロシアに挟まれた国。同国内には親ヨーロッパ系住民も、親ロシア系住民もいる。


このドキュメンタリーは、いわば親ヨーロッパ側から描かれた作品。「ベルクト(国家権力)」対「一般
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愛と闇の物語(2015年製作の映画)

3.0

昔の自分を見ているような映画。衰弱していく母と何もできない父。そして自分のことで迷惑をかけちゃいけないと自制的に振る舞う子どもたち。


当たり前だけど、どの時代でも光が当たらない場所は必ずある。その
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

「Blue」という言葉には、色彩的に青いというだけでなく「憂鬱」とか「陰気な」という意味もある。


誰にも憂鬱で、陰気な、できることなら隠しておきたいし忘れたい痛みがある。

悲しいことに、そうした
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ブレードランナー(1982年製作の映画)

3.5

「実存は本質に先立つ」のか。

レプリカントは、オフワールドの開拓や戦闘を目的に作られた人造人間。ナイフやハサミのように本質が備わっている存在。

しかし、レプリカントは人間と同じような見た目で怒りも
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靴ひも(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

僕の2つ年上の兄も靴紐が長いこと結べなかった。だから僕と兄の2人で玄関に座り、訓練したことがある。一番難しいのは、左手に持った輪っかに、右手で持った紐を前から後ろに渡すところ。何度やっても、うまくいか>>続きを読む

わたしを離さないで(2010年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作とは違うラスト。これはこれで良いのかもと思いつつ、徹底的に非情な、救いのない世界を作り出したカズオイシグロの思いとは多分、相容れないような気がするけども。


特にタイトルが「私を離さないで。(N
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チェ 28歳の革命(2008年製作の映画)

3.5

暴力の形を知りたくて。どこまで正当性が認められるべきかと。

風の歌を聴け(1981年製作の映画)

4.5

「あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。

僕たちはそんな風にして生きている。」


それでも、風向きは変わるさ。いつかきっと。

ローズ島共和国 ~小さな島の大波乱~(2020年製作の映画)

3.5

システムの構造的課題にどうやって取り組むか。迎合するか、それとも反抗するか。

この映画はそのどちらでもなく「全く新しいシステム」を作り上げる話。

出オチだなんだって言われてるけど、自分たちで枠を作
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オペレーション・フィナーレ(2018年製作の映画)

3.0

「ホロコーストの残忍性」と「軍における指揮命令系統の正当性」、そして「犯罪人引き渡しにおける国際法の有効性」などなど、いろんなものがごちゃ混ぜになっていて分かりにくい構造の映画だった。

おそらくこの
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ビルマの竪琴(1985年製作の映画)

3.0

ご都合主義というと言い過ぎだけど、あの戦争に対し贖罪意識を持つ日本人の心を救うためにでっちあげたファンタジー……。

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)

4.0

レマルクの原作と合わせて観るとより味わい深くなる作品。

1人の命が失われようとも、戦線からの報告内容は「西部戦線異常なし、報告すべき件なし」…。

世界で一番ゴッホを描いた男(2016年製作の映画)

4.0

20年間ゴッホを描き続けた男の巡礼紀行。

「偽物は本物であろうとする分、本物よりも本物だ」

彼は本物になれるだろうか?それは分からないけれど……。

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

別々の人生を歩き出し、それぞれ幸せそうに見えるラストシーン。
けれどあの2人はずっと、心の奥底でつながっていた。その証拠が、彼らの子どもの名前に。

ジェヌヴィエーヴとギイ。悲しいけれど、あの別れ方は
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いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜(2012年製作の映画)

4.0

母親がいわさきちひろの絵が好きで小さい頃からよく見ていたけど、そういえばあまり作者自身を知らなかったなと。

「昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか。」

どこか不安げなあの絵の理由が、少し分かったよ
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太陽の塔(2018年製作の映画)

3.5

目の前に納得のいかない現状があるとして、僕らの中に語るに相応しい「表現」「思想」がどれほどあるか。

岡本太郎は大阪万博の太陽の塔で、当時の進歩だ、調和だという人間の「驕り」を表現した。

では21世
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.5

晴れの日があれば雨の日もあるように、人の心と心は「喜び」や「愉しみ」だけでなく「傷」の結びつきも必要。痛みや脆さも、すべて。

回るメリーゴーランドを見ながら、そんなことをふと思う晴れの日曜日。

死ぬまでにしたい10のこと(2003年製作の映画)

4.0

God only knows what I’d be without you.

ビーチボーイズの「God Only Knows」が切なく響く。

エセルとアーネスト ふたりの物語(2016年製作の映画)

3.0

この映画の良さは「周辺」に詰まっている。いわゆるイギリス特有の階級社会。住環境からファッション、政治思想などなど。

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

4.5

大切な人のために「自分を変える」。簡単なようでいちばん難しいことをやってのけたフーシ。

大丈夫、人生はまだまだこれから。君が言うように「すべて、うまくいくよ」。おそらく。

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

3.5

繰り返される差別の歴史。皮肉にも主人公ソロモンの名前の意味は「平和(シャローム)」。

箱入り息子の恋(2013年製作の映画)

3.0

不器用な男の恋。そう言ってしまえばそれだけだけど……。似たテーマに『好きにならずにいられない』があってこちらは好きなんだけど……。うむ。

地の塩 山室軍平(2016年製作の映画)

3.0

地の塩たらんと言わしめた彼を突き動かすものは何か。明治のキリスト者の、純粋で少し危うい姿を見る。

es [エス](2001年製作の映画)

3.5

人間を人間たらしめている要素は、何か。性悪説?性善説? 僕は……。