ryoさんの映画レビュー・感想・評価

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鉄拳(1990年製作の映画)

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こんな映画もうないだろうなと見ている最中から思われて仕方なかった。隔世の感。若手監督の瑞々しい演出がヴェテラン俳優のこれまでにない表情を引き出す光景は美しい。現代のU30監督に足りないものはこれである>>続きを読む

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

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正直リヴェットとは毎回和解できずに終わってしまうのだが、これは屋外で50年代MGMミュージカルを目指すという志が高くて心に残った。踊るキャメラはやはり自然光の美しさが極まる『フォーエヴァー・モーツァル>>続きを読む

ひとつの歌(2011年製作の映画)

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頭10分は実に良い。古谷実あたりを読んでるのかと思った。がバンド演奏あたりから私の苦手とするところへ移行してしまい、この部分が後の作品に繋がっていくのかと了解された。

彼方のうた(2023年製作の映画)

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想像の余地のない余白だから画面は意味だらけ。

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

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緊張感不足。なにも起きていないのにカメラの軸が回っても気持ちが退いていってしまう。てかクローン云々より一度悪事を働いてしまったら抜け出させてくれないという意味では共感度ダントツか。もっとできるよアンタ>>続きを読む

笛吹川(1960年製作の映画)

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撮影は楠田浩之。似てる映画を考えたが『夢二』のボートのシークェンスしか出てこない(あれは絵の具をベタ塗りしたガラス板をレンズ前に置いていたはず)。それか寺山修司。この赤青黄色緑紫橙はどう現像しているん>>続きを読む

毒薬と老嬢(1944年製作の映画)

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特殊効果でバイロン・ハスキン&ロバート・バークスの名が見えた。手前の1Fリビングに叔母、奥の2階廊下にレイモンド・マッセイを配した仰角ショットがパンフォーカス風マット合成に思えたがこれか否か。それも含>>続きを読む

藍より青く(1973年製作の映画)

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撮影は竹村博。財津一郎の紙芝居を聞いた松坂慶子が、大和田伸也が戦地で死ぬ光景を幻視する。このとき画面は合成やらセピア(?)やら複雑な加工が施されていて興味深い。松竹キャメラマン妙なことしがち説を『影の>>続きを読む

あこがれ(1966年製作の映画)

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『女体』後実質干されていた恩地に木下惠介ものを撮らせる金子正且の嗅覚ってなんなのか。たしかに内藤洋子が無茶苦茶に可愛いので成功している。太陽族以後の若者像はかえって旧びたのかなと考えながら見ていた。

あらくれ(1957年製作の映画)

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映画中映画の金色夜叉が上映事故でフィルムが焼ける(?)。まったく覚えていなかったが成瀬って意外とキャリア通じて実験精神あふれる作り手だったんだと感じた。いま念頭にあるのは『女の中にいる他人』のネガポジ>>続きを読む

水の中のナイフ(1962年製作の映画)

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ガキが木場を去ってゆくショット、あまりにも良すぎる。ラストの、フリーズフレームとはまた別の持続も堪らない。加害者意識には晩年の成瀬作品も思い出す。

エヴァの匂い(1962年製作の映画)

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たとえば日本映画なら大島渚『悦楽』が65年。肉体の時代は70年代と教科書には書いてあるが60年代にもその感覚はある。説話とポルノの比重が両者の差だろう。いちばんグッときたショットは、水槽のアップ→スタ>>続きを読む

静かに燃えて(2022年製作の映画)

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それまで話には上っていた公私ともにパートナーであるらしい男が彼の前にようやく姿を現すと、カットバックが続くなか男が画面外に目をやり、彼も応じてふたり物陰へ……の流れが今どき珍しいほどスマートだった。ギ>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

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この人はチャート式アンビエント映画の感があってキツい(特に音楽)。全然ダメ。

Here(2023年製作の映画)

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場所が好きではない。都市と自然の狭間とかもう見飽きた。

ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

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「もう一周してもらえませんか?」で泣けた。なんで理解されてしまうんだろう、あんな経験したことないのに。罪悪感というのでもない。99%売春してると示してからお婆ちゃんからの愛情でしかない留守電。エグい脚>>続きを読む

ゴールキーパーの不安(1971年製作の映画)

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主人公は『アフリカの光』のように待機と遅延を強いられていると評したのは瀬々敬久(笑)。いやいや、本当にそう思う。瑞々しいんだが虚ろでもあるヘンな感触。

海がきこえる(1993年製作の映画)

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ホテルロビーでの金銭授受シーンで、ヒロインがふと天井を仰ぐとシャンデリアを赤い鳥が周っており、続くカットでぶわっと外へ飛んでゆく。こういう演出はアニメにのみ許されると思った。
フラッシュバックの導入と
>>続きを読む

長い灰色の線(1954年製作の映画)

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フォード初のスコープ。端が余り気味か、ただタイロンが横臥する人の横に居るショットは横長なのに奥にも人が抜けて新鮮。物語は、いおうとすればいくらでも悪くいえる。国家は犠牲の上に成り立つのかよ、結局家族か>>続きを読む

炎のアンダルシア(1997年製作の映画)

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金子冬実さんのアフタートークが滅法面白い。12世紀イベリア半島におけるセクトの跋扈を90年代におけるイスラーム主義者の台頭と並置したうえで、Al-mohager(1994)がイチャモンをつけられて公開>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

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監督脚本は『バッド・ティーチャー』のライター。プロデュースには主演JLも名を連ねる。キャメロンディアス→JLのラインは想定していなかったが場合によっては結構あり得る。やっぱりこの人巧いし仕事の作法に好>>続きを読む

階級関係 -カフカ「アメリカ」より-(1984年製作の映画)

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画面右へ進む船での入国が、画面左へ進む列車の移動で閉じられる。主人公は単独ショットではほぼずっと画面左を向いていたがこれは……。

ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)

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カラー版未見。モノクロのライティングではないので全篇ハイキー気味になり実写、特に人の肌はのっぺりしてしまう(逆に重油みたいな海面とかVFXは見応えあるが)。浜辺美波と出会った夜の玄関先での移動撮影、声>>続きを読む

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

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作家の主題は一貫して記憶と記録の均衡にあるが、ひとつのイメージを異なる角度から捉えなおすために、作劇上、複数の主体が帰納法的に導入される。しかしこの主体たちがどうにもホモジニアスな存在にしか見えない。>>続きを読む

泣き濡れた春の女よ(1933年製作の映画)

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今では失われたような清新さがここにはあって、ボーゼイギだけが共存に成功しえた情熱と技巧がここにはある。窓、夜、雪、光。

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