やっちんさんの映画レビュー・感想・評価

やっちん

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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

あまりにも切ない…

登場人物は3人。
語り口は穏やか。しかし、心揺さぶられる恋愛映画である。

アカデミー作品賞にノミネートされるのも
頷ける!
映画は随所に余白があり、3時代を隔てる12年間の空白
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

本作はオッペンハイマーの名声と汚名に包まれた生涯を綴る映画だが、彼の主観、何が彼の目に映り、耳に届いたかに焦点を絞るアプローチに目を引く。

彼の主導の元で秘密裏に製造された原子爆弾が広島と長崎に投下
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.9

落下の解剖学。
監督曰く
解剖されるのは遺体だけでなく夫婦関係のゆがみ。落下する夫は失墜する男性性の象徴。それで、こんな題名を付けたとの事。
鑑賞後思い起こすと何とも腑に落ちる。

人間同士の関係性は
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

ホアキンフェニックス演じる中年男の奇怪な旅。

不安症の男が恐る最悪がもっと最悪な現実となって襲ってくる。
何とも言えない不可思議な体感をスクリーン通じて200分余り味わう事になった。

見る者の感情
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

製作にも名を連ねるエマストーンの強い意志とメッセージが感じとれる作品である。

女性は男性から上から目線で指示されたりすることを当然嫌う。

政治的や性的、知的など自ら女性自身自然と身につけていく。
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

心に沁みた…

ビム ペンダースが企画、制作主体の日本側に招かれた作品ではあるが、彼の美学がこれほど迄に純粋に結実した作品は早々にないだろう出来栄えだと思う。

あらすじとしては、朝早く毎日起きて、仕
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(2023年製作の映画)

3.8

正に北野武版 本能寺の変!

そして豪華キャスト!

秀吉は、弟の秀長や黒田官兵衛らとともに光秀を謀略に走らせる策略家として描かれている。
3人の掛け合いがこれがまた面白い。

陰謀家秀吉はこの映画全
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正欲(2023年製作の映画)

3.9

原作既読の上鑑賞。

最近よく言われる多様性の欺瞞性、新たな  画一的に行ってしまうある種の危険性を群像劇に描いている。

新垣結衣が一人で回転寿司で夕食を取っている表情が何とも印象的であった。

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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

豊かで鷹揚な物腰の先住民たちに白人が、顔色を伺う。
正に上下関係の逆転に映るが史実に基づく映画と知りある種の驚きを感じた。

先住民たちの所有地に石油が発見され、オセージ族に莫大な富が流入、強欲な白人
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.7

まさか老インディの活躍が見られるとは!

インディジョーンズという人物像を自ら更新していく。
今やゲームのキャラクターとしても有名だが、リアルな加齢から醸し出される魅力は実写でなければ味わえない。
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怪物(2023年製作の映画)

4.1

一つの物語が3人の視点を介して本筋が変わっていく。
重層的な脚本構成である。

最初の物語は一人息子を育てるシングルマザーを中心とし、彼女の目に息子の言動が謎めいたものと映るようになる。
息子は担任教
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

永遠のような父との夏の出来事。

トルコのリゾート地で過ごす数日間。
ここに物語はない。
あるのはソフィにとってのきらびやかに見える現在そのものである。

プールやビリヤードなどに好じる父と娘の姿は観
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

男性優位が根強いオーケストラの世界で、女性で初めてベルリンフィルの指揮者に立ったリディアター。

音楽の真実には忠実で芸術至上主義者ながら、権威的な態度は傲慢でハラスメントと見分けがつかない。

映画
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

クジラのように膨れ上がった巨体。
まさにホエールである。

主演を演じたブレンダンフレイザー本作でのアカデミー賞主演男優賞は納得の演技であった。

鬼才アロノフスキー監督の中心的な主題は中毒、依存であ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

エア ジョーダン誕生秘話。

シカゴブルズに入団前から各シューズメーカーが凌ぎを削る契約獲得交渉の経緯は非常にスリリングであり見応え充分であった。

一時アディダスに出し抜かれそうになるシーンは結果は
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

一昨年庵野秀明展を観た上で鑑賞。

そして先日放映された撮影ドキュメントを観た上で鑑賞した。

アクションシーンをいかに映像化するのが難しいか良く分かった。
ドキュメントでは殺陣っぽくならないようなあ
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.9

原作未読の上鑑賞。

松山ケンイチ演じるバランスの取れた介護士が快活な女性と冷静な中年女性を束ねている仕事を眺めていると奇妙な感覚に襲われた。
どこか芝居じみているのだ。
あまりに模範的で儀礼的に映っ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

スピルバーグの自伝的映画。

初めて映画館で観た映画に魅せられる。
特に夢中になったのは列車と自動車の激突シーン。
後の彼の処女作と呼ばれる激突にシンパシーを感じた由来を匂わせてくれる。

些細なシー
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

アカデミー作品賞受賞作品でありながら、これだけ無邪気に下ネタが炸裂するしているのには思わず笑ってしまう。

A24配給なのでアジア系移民の話しであるのでミナリなどを連想するが、作風は遥かにぶっとんでい
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.9

贅沢な作品である。

監督が今や巨匠のサムメンデス。
映画愛を劇場従業員含めて劇場諸共見事に擬似化させ美しく表現している。

撮影も素晴らしくヒラリーとスティーブンが迎える新年の場面の情感など溜息が思
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.9

この映画はどんなジャンルに入るんだろうか?

メロドラマのようでもありサスペンスフルでありまたは官能的であり、コメディ的な要素もあるように見える。

なので観る方は幻惑してしまう感が漂ってしまった。
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

アイルランドの孤島での孤高の物語である。

大人二人の諍いをずうーっと見続ける。
子供のケンカじゃあるまいしとふと思いたくなってくる。

ただアカデミー賞にも多数ノミネートされて高評価でもある。
最果
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

暑い壁…

本名を上げて告発する事の難しさを現場記者はぶち当たる。
そして現場記者を支えるスタッフ、記者彼女達の家族。
ここからMeToo運動は広がっていく。

権力者ワインスタイン側の守備は固く証拠
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.9

二代スターの共演!

緊迫の連続で飽きさせない。
プロの仕事だと感じせずにはいられない。

仁川からハワイへ向かう飛行機でバイオテロが発生、謎のウィルスに乗客が次々に死に畿内は恐怖のるつぼと化す。
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

冒頭部分でジムから聴こえてくるボクシンググローブから漏れてくるパンチの音やシューズの擦れる音が響きわたる。

しかしケイコには本来なら聴こえていない。ただ映画の中では彼女にそれらの音が聴こえているよう
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ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(2022年製作の映画)

3.7

スーパースターの栄光と挫折。

ミュージシャンの伝記物では定型的ではあるもののそれを凌駕する圧倒的な歌唱力には文句無しである。

おおよその彼女の表と裏は知っていて鑑賞したものの、こうして映像化されて
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.7

カルト集団の教祖の如く君臨している超一流と目されるシェフをレイフファインズは好演している。

ただならぬレストランの雰囲気もいい。

自ら選ばれた富裕層達を辛辣に風刺し、実際の味や価値も分からない虚栄
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

今回新海誠は東日本大震災の現実の出来事を深く取り扱っているのが非常に興味深い思いをした。

今回相変わらず美しい風景の数々であったが負の仄暗い景色も可視化されていた。

これも東日本大震災を扱う上で切
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.8

評判が良いのでサクッと鑑賞。

人生タイムループそのものと感じる時が皆あると思うが、それをコミカルタッチに考えさせられる作りになっている。

コントタッチにあまり振りすぎない作風がお仕事映画として成り
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スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.6

エリザベス女王の国葬もテレビで見て王室に興味を惹かれて鑑賞。

主演のクリステン スチュワートは非常にダイアナ妃に似せており熱演している。

冒頭部コック長の号令下もと整然と調理が行われる様は軍隊その
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アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)

3.7

リメイク作品という事だが阿部サダヲの好演でそんな気をさせなかった。

日中の日比谷の映画館ほぼ満場であった。

どうしてあそこまで執着して孤独死の後始末を主人公はするのだろう。劇中その率直な疑問を頂き
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.6

B級感溢れる日本舞台にした作品である。

思いのほかありがちな日本の過剰なキワモノ感が影を潜めて楽しんで観ることが出来た。

今回走り続ける密室とも言うべき高速列車を密度の高いアクションシーンは見どこ
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.7

伝記映画なので尺の問題でかなり端折った事は否めない。

しかしエルヴィスの数々の楽曲いわゆるエルヴィスオンステージは何よりも圧倒し圧巻した。

大佐と蜜月だとばかり思っていたら決してそうでなかったのも
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.9

金曜日の昼下がりの日比谷の映画館。
8割方席は埋まっておりカンヌ効果は大きいと少々びっくりした。

疑似家族化された作品を作らせたら是枝監督の右に出る監督は今はいないと思わせる作品である。

最初は金
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

3.7

逃げた女以来のホンサンス監督作品。

長いアメリカ生活から突然韓国へ帰国した元女優サンオク。
帰国の理由を妹にはっきりと言わない。
それがある1日出演オファーを出している映画監督と酒を酌み交わして明ら
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.7

平日の昼下がりの銀座の映画館。
8割方の席の埋まり方。
それも圧倒的な平均年齢層の高さ…

現代版の楢山節考の姥捨山である。
75歳以上は自身の生死を選べる制度化。
プラン75

安楽死はいわば国家制
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