破壊さんの映画レビュー・感想・評価

破壊

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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.0


映画の冒頭に、「映画は全て嘘だ」というセリフが出てくるがこれは映画を愛する者にとっては当たり前のことで、疑いの余地はない。
しかしスペイン内戦によるフランコ政権の下で行われた検閲に対しては痛烈なアイ
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

3.4


冷戦の頃に比べると、核の脅威はやや遠ざかっている。しかし核がなくとも人々は環境を破壊し、身分や宗教を理由に人を殺す。この世界は争いをやめない。そんな時代に必要なものは、見えない神でいいのだろうか。そ
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スモーク(1995年製作の映画)

4.4


煙と言葉。どんな銘柄の煙草を吸おうとも同じ煙が出るように、口から出た言葉はそれが例え嘘であったとしても言葉には変わりなくて、まるで残り香のように人の心に留まり続ける。煙の重さは、魂の重さだ。どちらも
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憧れを超えた侍たち 世界一への記録(2023年製作の映画)

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日付を今日にしたくて あとで書く
大谷選手結婚おめでとうございます🥰

アンテベラム(2020年製作の映画)

3.4


Antebellum=南北戦争以前
Ante=逆行
Ant(e)bellumのeが逆になっているタイトルロゴは、そのままこの映画の構造を示しているようだ。「新しい価値観を持って今を生きよう」と主張す
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.6


「世界(他者)を信じる=自分を信じる事で物語が完成する(人生に意味を見出す)」という、シャマランのシャマラン性だけを純化させたような特濃のビリーバ一向け作品だった。テーマ性は濃密だがそこ以外に面白み
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.5


「奇跡」の真偽について絶妙にぼかしつつ、本質的には「本当か嘘か」はどうでも良いというのは物凄く現実味がある。結局人間は自分に都合の良い部分を主観的、社会的に選択して捉えているんだ。
ベネデッタが人格
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ジョーカー(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます


時代とシンクロし過ぎていて逆に「いやもうこれ現実で起きてることですやん」となってしまい衝撃度は低かった。危険な映画だと言われているが、思ったよりもクリーンな映画だし、もっと攻めて欲しい気もする。JO
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無垢の祈り(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます


いじめ、性的虐待、DV、貧困という地獄の中で極限まで絶望が高まった時に「無垢の祈り」がどのように捧げられ、叶えられるのか。神のいない世界で無垢の祈りは連続殺人鬼に捧げられた。あまりに陰鬱な現実に途中
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あまくない砂糖の話(2015年製作の映画)

3.9


健康食品のみ、ジャンクフード無しで1日スプーン40杯の砂糖摂取になることに驚く。興味深かったのは、実験を始める前と後でカロリー摂取量に違いが無いにもかかわらず体重増加をはじめとして健康を損なっていた
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.3


「お父さんはなりたいものになれた?」に対する阿部寛の「なりたいものを目指す気持ちが大事なんだよ」「本当だよ。本当、本当」というくだりと対になるような樹木希林の「幸せというのは何かを諦めないと手にでき
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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

3.7


「新しいところに来たのに
 何もかも同じに見える」
どこに行っても殺風景、上滑りする会話と奇妙な間が生み出す滑稽で虚しくふわふわした雰囲気、ジャームッシュすぎてニヤニヤしながら観てた。キショいね。

ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.2


KVの雰囲気から多少の娯楽性があるかと思ってたのに皆無でウケる。劇中の描写が並外れて残酷という訳では無いが、道徳や倫理を軽んじたり、あるいはその意義を見い出せないような不公平がまかり通る世の中におい
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.3


シン・ウルトラマンでは秀逸なキャラデザと巨大生物という非現実感、樋口監督による超絶天才構図と演出により、なんとかなってた我が国特有のチープなCGは今回はただチープなだけに見えてしまっていて悲しい。ス
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ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.0


メディア批判という単純なものではなくその受信者も享楽的な主体として描いている。更にはそれを利用しようとしたものも破壊する制御不能な力としてのビデオドロームは40年前もそうだったのかもしれないが、そこ
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.6


未だゼノフォビア色濃い70年代の西ドイツで剥き出しすぎる差別を受ける掃除婦と出稼ぎ労働者の恋愛ドラマ。常に他者からの冷たい視線に晒される辛さに耐えきれず「あなたと二人きりならよかったのに」と泣くエミ
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.7


冒頭から文脈無しの大量殺戮をするマッコール。悪党を血祭りにあげるカタルシス、つまり悪党による悪行と痛めつけられるマッコール周辺の善人たちのシークエンスにしっかり時間をかけてくれるのだが、マッコールが
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ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.1


ねえ、死んでるのも悪くないね。
白黒ゆえに全ての映像とストーリーの力強さが鮮明に伝わってくる。映画を観るにあたって音楽の重要さは明確だとは思うけど、今作は流れる音楽を物語り内だけで発生した言わばアン
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母性(2022年製作の映画)

1.8


湊かなえアレルギーがまた発症してしまった。全員がテーマの為に生成されたロボットみたいでクソ気持ち悪い。全部口で言うの辞めてくれ。人間の感情を扱う話なのに登場人物もれなく全員人間味が無いのは致命的では
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.6


認知症の老人を介護施設にブチ込み強制的に自分が後継人になるという、詐欺まがいのビジネスで巨万の富を得ようとする主人公🆚主人公に母親を介護施設にブチ込まれ怒りに燃えるロシアンマフィア(笑) 主人公は確
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ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

3.4


序盤が良すぎて「これはストーリーの背景に現実に即した恐怖がある深い読み解きが出来るタイプの作品かも」とワクワクした結果、シンプルな不条理ホラーでひっくり返った。でも死ってそういう物なのかも。如何に愛
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.0


頭の中でなら一回くらいは人を殺したことがあるよね、みんな。誰にも言えないストレスや闇を誰しもが抱えて生きている。心の許容量は他人からは推し量れないし、ほんの些細な事がきっかけで溢れてしまうかもしれな
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縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます


実際は更に過酷な環境で数えきれないほどのユダヤ人が虐殺されていた。子供といえどドイツ人ひとりの命となにが違うのか。この映画をみてこんな感想がでてくる自分が嫌で仕方ないが、正直どの立場で観ればいいのか
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます


自分の傷をえぐるために観た。
人から嫌われるのはまじでどうでもいい。人から好かれるのはまあ嬉しい。でも誰かと一緒に居過ぎるのはしんどくてすぐに逃げたくなる。大事な人やものを大事にするのが苦手だとずっ
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クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

4.1


世界の全てに怯えてる統合失調症患者をピーターグリーンが見事に演じていて釘付けになる。彼の世界を体験しているようなノイズやら不快な音の演出も気持ち悪くて良い。断片的に切り替わるショットが彼の忙しない脳
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます


あまりにも美しいショットが続くもんだからため息がでる。幼少期のトラウマから熱狂的なファシストになったマルチェロ、冷たい色彩で余白のあるショット、ブラインドから入る日差しや揺れ動くランプの光と影はマル
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トラベラー(1974年製作の映画)

3.3


キアロスタミの映画にはちょっとずる賢いけど純粋でまっすぐな少年たちが等身大で映されている。まるで本当の生活を覗いてるような、彼らの世界にダイヴしているかのような感覚。対して彼らを厳しく躾け容赦なく突
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バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

2.9


グレンたんが生きてて嬉しい。
何がどうなったのか分かんないまま終わってしまうけど、それで良かった。ただジョンスがだんだんと不安を募らせて、彼の中の疑惑が確信に変わる様子を見ているだけ。ベンが女の話を
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

4.5


「そんな辛いこと、なんで僕なんですか?」「理由はないわ、その運命があなただったってだけ」
シンジはいつだって不憫だ。かわいい。
使徒が死ぬ度に綺麗な虹が出るの大好き。アメリカの友達とエヴァの話をする
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バビロン(2021年製作の映画)

3.4


ジャックが記者から言われた「あなたの時代は終わったけれど、あなたのフィルムを100年後の誰かが映写機にかければあなたは蘇る」ってセリフが好き。わたしも100年くらい前の作品を見て感動することがたくさ
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.2


やっとみれたキンザザ、旧ソ連時代のSF。惑星ブリュクは地球より科学技術は発展しているのにそれ以外が全部遅れてる。特に差別や階級がめちゃくちゃあるというのがこの作品の面白さでもある。砂漠の中にぽつんと
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.6


トリップ中に強盗されるシーン、Vanilla FudgeのYou Keep Me Hangin'Onが流れ始めてワロタ。なんでカバーの方にしたん?でもVanilla Fudgeのカバー好きだし嬉しい
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

3.6


船の上で左目右目交互に閉じて人差し指の位置がちが一うみたいな遊びしてたの、自分すぎて笑った。ポランスキーは本当に不穏が好きなんだな。逃げ場のない場所、なんてことのないただのナイフが嫌な緊張感を漂わせ
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エンター・ザ・ボイド(2009年製作の映画)

3.7


いきなりチベット死者の書がでてきてアツい。射殺されたオスカーの魂が東京を彷徨う。空撮やまばたきでのショット切り替え、POVが若干酔うけど斬新で興奮する。色が多く混沌とした歌舞伎町の景色と作品のテーマ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.8


ペトラが振り向いた瞬間に去っていく。自分を奴隷のように扱い支配しているあなたが好きだったとでも言うように全ての荷物をバッグに放り込んで出ていく姿が刺さりまくる。結局人間は愛する人に理想を求めてるしそ
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