破壊

不安は魂を食いつくす/不安と魂の破壊のレビュー・感想・評価

3.6

未だゼノフォビア色濃い70年代の西ドイツで剥き出しすぎる差別を受ける掃除婦と出稼ぎ労働者の恋愛ドラマ。常に他者からの冷たい視線に晒される辛さに耐えきれず「あなたと二人きりならよかったのに」と泣くエミは外的な差別に苦しむ被害者のように見えるが、エミの内面化された差別問題に対するある種の無頓着さ(ヒトラーの通っていたレストラン、前から行きたかったの!等)を忍び込ませてきたり、前半はエミに感情移入させておきながら後半はひとたび多数派に同化すれば簡単に差別者となり得ることをもバッチリ描き、観客を義憤に駆られた正しい人の立場に居させることを妨害する。ドイツ、オーストリアの映画にはこのような容赦の無さを感じるものが比較的多い気がする。教養がないので"気がする"だけかも。
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