文乃綴さんの映画レビュー・感想・評価

文乃綴

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オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

3.5

オーソン・ウェルズの撮影テクニック全部詰め! な映画。
さりげないシーンでも背景でしっかりとモブが意味のある動きをとり、白黒であるにも関わらず影の濃いシーンを違和感なく、美しく撮影。とくに井戸の下での
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審判(1963年製作の映画)

4.0

オーソン・ウェルズファン”なら”必見の映画で、本人曰く自分の最高傑作(『市民ケーン』じゃなくて???)だと英語版Wikipediaには書いてある。フランツ・カフカの小説『審判』をベースにした映画で、当>>続きを読む

ガルシアの首(1974年製作の映画)

3.9

映画監督として色々あったサム・ペキンパーが最後まで自分自身が編集権を握ることができた数少ない作品であり、監督の色が強く出た作品。言ってしまえばオーソン・ウェルズにとっての『市民ケーン』に近い立ち位置で>>続きを読む

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

3.8

見たことあるアクション満載の映画。
古典的な傑作映画ではよくあることだが、ありとあらゆるアクションシーンに既視感が生じる。人が撃たれてくるっと一回転するように落ちていくところ、爆発で飛び込むように人が
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マクベス(1948年製作の映画)

4.5

そもそも、古典的なシェイクスピア作品であるマクベスであるからして面白くないわけがないのだが、監督も主演もオーソン・ウェルズで、彼が『市民ケーン』の時に描き出した人間の悲哀、その表情と表現のバリエーショ>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

3.8

面白いが、これは『市民ケーン』とは少し違うような気がする。
エンジニア特有の気を払えない、ともすればサイコパスとも言われかねない気質を持ったマーク・ザッカーバーグがその途上で友人も何もかも失いながらF
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メメント(2000年製作の映画)

2.5

物語が開始十分でほぼほぼ終わっていて、何をやるかがまあ理解可能で、作品自体2000年のものだから他の作品で同様の設定が散々擦られ続けて(掟上今日子の備忘録等)おり、エポックメイキングではあるがスゴいと>>続きを読む

キャッチ22(1970年製作の映画)

4.2

観ている時はなんだこの映画……となるが、観ていくと徐々に世界の平衡感覚が狂ってくるマジックリアリズムの作品。森見登美彦原作の『四畳半神話大系』にもオマージュされたであろう後半の描写は圧巻。惜しむらくは>>続きを読む

ハーモニー(2015年製作の映画)

4.0

初めて観た時にはとても驚かされた。フーコー的生権力、母性優越の世界で展開される女性同士の人間関係はそれ自体が反逆的である

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.5

妻役であるナタリヤ・ボンダルチュクの怪演と言うべき演技に注目。ハリウッドではここまで気持ちの悪い動きを女優にさせることは出来ないだろうと感じる。全体のシナリオ自体はロシア人が感じがちな原罪感(=『罪と>>続きを読む

レッドブル(1988年製作の映画)

4.1

アーノルド・シュワルツェネッガーがソ連のKGBとして米国に渡る話。本当にそれ以上でもそれ以下でもなく、アメリカン・アイコンそのものであるアーノルド・シュワルツェネッガーが安宿のテレビをつけて観たポルノ>>続きを読む

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.6

劇場で観た。
なぜ星野源なんて声優で使ってしまったのだろう? アニメ『四畳半神話大系』の面白さがスポイルされて、たんに映像だけ湯浅政明……みたいな作品になってしまった。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

3.7

私は常々思うのだが、逆シャアの評価は過大評価だと思う。映像的な美しさで言えば0083に敵わないし、世界観の壮大さは∀ガンダムに敵わず、せいぜいシャアとアムロの物語がここで一端クローズされた、ぐらいの価>>続きを読む

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

4.1

思えば人生で初めて観たドイツ映画がこれだった。展開の面白さから映像の美しさ、シナリオのシリアスさとバランスが良くとれた作品だと思う。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年製作の映画)

4.7

原作のイメージで観るべきではない。
原作は本当に無色透明で、ただ戦うことだけを運命付けられた人々が戦闘機に乗って戦闘機と空戦の話をし続けるだけの空戦虚無だが、押井守はそこに作られた戦争・作られた兵士と
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

3.6

私は攻殻機動隊自体がそんなに好きではないのだが、この作品の印象の一部にはこの作品のしょうもなさがやはりある。映像は美しい、アクションは美しい……でもそれだけじゃないか。スジはいつもの押井守だし、原作に>>続きを読む

劇場版総集編 後編 メイドインアビス 放浪する黄昏(2018年製作の映画)

3.8

この映画を初めて観た時、私は入院していて、両足の大怪我で歩けない状態だったのだが、本当にそういう状態で観るこの映画は絶望的で、いくら入院前は時間がなくて映像作品を視聴出来なかったからと積んでいたこの映>>続きを読む

ブルース・オールマイティ(2003年製作の映画)

3.7

一度観るとアイデアの面白さに目が惹かれるが、逆に言えばそれぐらいしかない。お茶濁す、みたいな映画であり、映画分からなそうな奴に無難な奴を観せてやろうと思う時には丁度よい。ついでだから宅配ピザでも頼んで>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

3.7

MLBに革命を齎した男、ビリー・ビーンGMの話。
まあまあ面白いし、手に入らないスター選手の一例としてイチローが表れるシーンはNPBファンとして感動的だが、今や指標が当然のものとなった現在においては新
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.4

とてもお洒落で闇が深い、映像美に溢れた作品。展開は静かな場面が多いので観ていると厳しい気持ちにもなるが、ぜひ最後まで観て欲しい。細かいところで人に話したい要素が表れる良作といえる。

チョコレート・ファイター(2008年製作の映画)

3.8

ジャッキー・チェン辺りのアクション映画をオマージュしたアクションもの。アクションシーンもしっかり見せてくれるし、意外と阿部寛に出番が多い。中身自体は通俗的なアクション映画なのだが、アクション映画にそれ>>続きを読む

男たちの挽歌(1986年製作の映画)

3.8

多分この映画を観る人は黒服のチョウ・ユンファが観たくて観ると思うのだが(私もそうだった)この映画で黒服のチョウ・ユンファが観られるシーンはほんの僅かだ。それが観たい奴はⅡを観るべきだ。
しかしそれを差
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

4.5

唾棄すべきヤクザの屑でありハリボテの男根主義者である大友勝利と哀憐に満ちた殺人鬼・山中正治の物語。この二人があくまでメインであり、主人公である広能は少し置いてけぼりだ。犬肉を食わされるシーンは面白いが>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.4

面白いよな……いつ観てもやはり感心するぐらい面白い。この映画シリーズはコッポラ『ゴッドファーザー』シリーズにインスピレーションを得たそうだが、何かとお洒落でイタリア人の気風を感じる『ゴッドファーザー』>>続きを読む

山口組三代目(1973年製作の映画)

3.4

当時この映画で色々と悪い意味で問題になり、ヤクザを美化しすぎ……と言われたらしいが、気持ちはわかる。話の筋がスッキリしすぎていて、実録ものにあったおどろおどろしさ、ああ……ヤクザってなっちゃ駄目なんだ>>続きを読む

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

3.3

稀代の名監督・黒澤明のヒューマニズムが悪い方向に作用した作品。
昭和の著名な表現者の中では手塚治虫辺りがそうだが、彼らは戦後の反戦左派空気を内包しているが故に物語を人間的にクローズしようとするところが
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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.2

初めて観たのは高校生の頃で、劇場で打ちひしがれる私を尻目に、名前も知らぬ女性ファンらが
「良く分かんなかったね……」
と呟いていたのを覚えている。
実は先月、とても久々にこの映画を視聴したのだが――や
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宇宙人ポール(2011年製作の映画)

3.9

1から10までファースト・コンタクトもののSF映画、或いはUFO伝説そのものをパロディし尽くした作品。パロディネタが理解出来れば面白いが、理解出来たところで偉ぶれるわけでもない。ビールとピザが一番似合>>続きを読む

フィフス・エレメント(1997年製作の映画)

3.6

若い頃のエッチなミラ・ジョボビッチが観られる。
勿論、SF考証……というか背景はとても美しいんだが、そこで何か神秘主義というか、古代の遺跡に宇宙人の何かがあって善と悪の対立が~……とか言い始めちゃうの
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

4.2

名作、名作と言われ過ぎていてちょっとうんざりする映画。実際面白いし、わかりやすい非の打ち所もない映画なのだが、その優等生的なところが気に食わない。考察の余地も複数あり、様々な娯楽作品でオマージュされる>>続きを読む

シャイニング(1980年製作の映画)

3.7

有名なシーンと映像美。
それだけの映画……でも映画ファンならキューブリックはしっかり抑えたいよね? じゃあ観るしかない。それぐらい、その程度の映画なのだが、それでも観たくなるのはキューブリックの魔力が
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Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

4.7

とても好きな映画。
ウォシャウスキー兄弟(姉妹)の傑作映画であり、オサレアクション・オサレ長台詞に清潔感あるディストピアが延々と描写され、非の打ち所がない。強いて言うなれば”魅せすぎ”でこれ見よがしに
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ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.3

なんでジョン・ウーに撮らせたんでしょうね?
ジョン・ウー監督作品なのだが、MIそれ自体がそもそも米国版007みたいな側面があるため、バイオレンス・アクションがウリのケレン味強めなジョン・ウーとはあまり
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

4.0

スタイリッシュ・アメリカン・アイコンとなったトム・クルーズの通俗娯楽作品。これを観ているとトム・クルーズがサイエントロジーのわりとガチな信者であるという事実を一瞬だけ忘れることができる。しかしこれは純>>続きを読む

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2011年製作の映画)

4.2

観た時代によって評価が変わる。やたらと印象に残る脚本で、久々に観てみると面白いので驚いてしまった。WW2を生き抜いたかつての名政治家が晩年ボケてしまって悲しいね… というだけの映画ではあるのだが、痴呆>>続きを読む

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