阿部和重さんもそうだが90年代頃がピークだった「記号、差異を消費する文化の限界」という印象。人の目なんか気にせず自分の好きなことをやる、といってもその自分も差異でしかない。
令和ともなると、そういう自>>続きを読む
泣けた。映画館で観れてよかった。全編を通してゆっくり時間が進むのが印象的な映画。国道を走る車のフロントガラスにライトがあたって小さい雨粒が光る。夜空のアナロジー。母親役のりょうと、傘がわりにコートをか>>続きを読む
一億総白痴化につながるらしいテレビと、重苦しいご近所の人間関係。大人がテレビに懐疑的であるように子どもはあいさつを否定する。すべては若い世代への手渡しで進んでいく。その不思議な輝きに胸が張り裂けそうに>>続きを読む
「作品は古ければ古いほど良い」というのは、時代を遡るほど、過去から現在に至るプロセスが「より偶然みたいに」見えるからだろう。日常はみな偶然だが、映画でも観ない限りそれに気づくことはない。
ただの画像が>>続きを読む
猿が二足歩行をはじめて武器を手にする時代から、宇宙の法則と人間の理性とがシンクロする時代まで、一瞬の出来事として描かれる。このぶっ飛んだ時間感覚は、木星でのボーマン博士とモノリスとの遭遇の伏線でもある>>続きを読む
上に行けば行くほど競争は熾烈だ。分けあうパイが小さいからだ…そんな競争はさっさと降りてwhat is truly important を見つけるべきだとかよく言われる。本当の自分。本当の価値。たとえば>>続きを読む
90年代の庵野監督はオタクとそれ以外のボーダーを破壊しようとアニメで蛮勇をふるっていたが、他人のセイラ・マスのフィギュアを笑いながらぶっ壊すヤンキー・リア充までもが、綾波やアスカのフィギュアを部屋に飾>>続きを読む
救いのない物語だったけど無限遡及しそうな映画についての映画(についての映画…)みたいになっていてもはやどうでもいい気分になった。
脚のない鳥の話と1分間の沈黙。ゴダール『はなればなれに』のオマージュになっていて脳天がしびれました。
外出前はあわただしくとっ散らかって忘れ物をすることもある。髪型もまとまらない。トニー・レオンよう>>続きを読む
ガラスの破片を芝生に並べてサーカスの真似をする主人公にヒヤヒヤした。
主人公が何を考えているのかわからない。
3人でチャリンコにまたがり坂を下り、タバコを吸い、女の子を追いかけるという微笑ましいショッ>>続きを読む
虚実の反転。スクリーンがなければ観客はなく、主題がなければ背景はない。
演出と自己言及の騙し絵といえるユスターシュの『豚』をさらに洗練した作品だと思う。
湯気のにおい立ちそうな洗いたてのブラウスのクロ>>続きを読む
すごい。豚の悲鳴がリアルだった。演出の欺瞞を八つ裂きにするような悲鳴だと思う。そして、どのカットを使うかという取捨選択によって生まれるこの映画もまた演出によるものだ。演出によって切り取られる現実と、そ>>続きを読む
とりとめのないシーンと美しいシーンが混在していた。カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞しているが、全体としてわからなすぎて草。批評の攻撃対象となる作者がいない(争いは、常に「主体」を呼び起こす)。ロラン・>>続きを読む
カメラが揺れたりするショットより、レトロでおしゃれな映像のほうがMIには合っていると思う派なのでかなり満足だった。
好みの問題だろうけど、アクションシーンでカメラが揺れたり、でかい効果音で煽られたり、>>続きを読む
近代的な知性をテーマにしたタイトルのわりには、まったく哲学しておらず、しかし世界のあらわれ方が哲学的で、なんだかすごかった。
物語構造はシンプルであり、それを分析したところで何かに気づくこともないだろ>>続きを読む
キャデラックを吹っ飛ばしてバッハの「マタイ受難曲」が流れる。ボスたちの《最後の晩餐》を意識した構図。荘重なイントロだった。マーティン・スコセッシの初期作品と比べると見劣りしてしまうけどおもしろかった。
抑圧された自我の救済、という『CURE』のテーマは人間心理を前提としている点で、近代的・民主主義的である。殺人でも、殺人教唆でも、加害者心理をくまなく記述してしまえば責任能力は明確になる。そして、その>>続きを読む
コメディだけど脚本が精密で、かなり引き込まれてしまう。
伏線もテンポも素晴らしい。デニーロはかっこいいなあ…
朗読シーンが『CURE』の青髭だった。
ロマンスもサスペンスも(劇中劇も)ショットは、何かの比喩に過ぎない。そしてその「何か」を考える行為は余計なのかもしれない。だからやはり(劇中劇も)黙って観るしか>>続きを読む
考えたこともなかったが親密さや共感は、物語の終わりによって生じるようだ。本作ではそのプロセスが、劇の内側、劇の外側(映画的な内側)、映画的な外側、の3層で構成されている。
((劇中劇)を演じるキャス>>続きを読む
冒頭に流れているのはBernard Herrmann のSax Raises Its Ugly Headという曲みたいだけどSpotifyに入ってなくてYouTubeで何度か聴いた。
Husbands>>続きを読む
2018年公開当時はシネフィルっぽい人たちも本作を熱く語っていたのに、メジャーになったらスッカリ語られなくなってしまった。これほど短期間で消費された作品は稀ではないだろうか。
いかにも低予算なカットが>>続きを読む