LXさんの映画レビュー・感想・評価

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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

5.0

衝撃のモノクロシーンからの家族の崩れ方が見事過ぎて、笑うしかない程ブラックであっという間の108分。

西川美和監督はいつもキャスティングが異常に素晴らしいのだが、初監督作品となる本作に映画初主演の宮
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

母親的な愛情深さを持つトランスジェンダー女性の姿を通して、逆に様々な事情で子どもに対してうまく愛情を注げない母親をも容赦なく描く、優しさとブラックユーモアに長けた名作。
ある母親に取っては怨念にも取れ
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奇跡(2011年製作の映画)

5.0

『ポネット』『ミツバチのささやき』『禁じられた遊び』等ヨーロッパの映画には子どもの世界の美しさを描いた名作が沢山ある。
本作もまたこれらと並び評されるに値する作品といえよう。

ただ本作がより魅力的に
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アマンダと僕(2018年製作の映画)

5.0

自転車に乗るようにあっという間に魅入ってしまう良作。
おそらく心理描写やカメラワーク、脚本とかなり緻密に作り込まれているにも関わらず、子どもが観ても感動できるような王道の感動物語になっている。

マン
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わたしたち(2016年製作の映画)

5.0

処女作ながら、無駄なくシンプルに練られた脚本と子役達の演技に惹き込まれ、あっという間の90分だった。

興味深いのは、本作で描かれたスクールカーストのあり方やいじめの手法が日本と殆ど同じだったこと。
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嗤う分身(2013年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

悪魔的名作…!

光のない暗い世界観、不協和音の使い方、役者の演技と魅力に満ちた不条理スリラー。
主に主人公の束の間の幸せっぽい場面で使われる日本の音楽が、まさに自己主張できない主人公を象徴しているよ
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八甲田山(1977年製作の映画)

5.0

重い教訓とモノノアワレを見事に両立した、現代版『平家物語』ともいうべき名作映画。
撮影監督木村大作をはじめとする関係者達の熱意が、実際に起きてしまった八甲田雪中行軍遭難事件の恐ろしさを見事に伝えている
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天気の子(2019年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

『新海誠・野田洋次郎が言う「愛」とは?』

結論から雑に言うと、人類愛よりも自分の愛する人への「愛」を肯定する映画である。

主人公とヒロインからしてそうだが、若者は「若い」というだけの理由で、いつの
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

5.0

宮崎吾朗の成長がみられるジブリらしい青春映画の傑作。
個人的に好きなのは海が料理するシーン。
何気ない仕草、動きから「悲しいことがあった故に」ちゃんとしている海を繊細に表現している。
この子は礼節をわ
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日本沈没(1973年製作の映画)

5.0

もう40年以上前の作品なのに、今観ても古さを感じない特撮表現に圧倒される。
最初の地震の絶望感が凄くて、「これでまだ序盤かよ…」と疲れてしまうほど。

これだけでも十分素晴らしいが、本当に凄いのは人間
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斬、(2018年製作の映画)

5.0

日本の武士は、強いことと共に「もののあわれ」という人情がわかる人間であることが求められていた。
そういう人情のある人間でないと、命懸けで戦えないからであったし、人を殺すような極限状態で生きる武士がその
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バットマン(1989年製作の映画)

5.0

ゴッサムシティの造形美と、正義の味方なのにコソコソしているバットマン、そして悪者なのに堂々と楽しむジョーカーが観られる『バットマン』の原点にして頂点。

でも、この映画の圧倒的に優れている点を挙げるな
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地獄の逃避行(1973年製作の映画)

5.0

「逃避行」とあるが、そんなにハラハラドキドキの展開ではなく、むしろ淡々と進んでいく映画だと思ったほうが良い。
人によってはつまらないかも。

簡単に人を沢山殺せる男と、だんだん疲れてくる女性。

でも
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.5

アメリカのドキュメンタリー映画と比べると、娯楽性・映像表現等の面で片手落ち感が否めないが、望月衣塑子の記者魂が伝わるという点で評価できる。

映画として伝えたかったのは、政治批判というより、マスコミ
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ポネット(1996年製作の映画)

5.0

ポネット役のヴィクトワール・ティヴィソルの演技が凄すぎる。
ものすごくエモーショナルな演技をしているのに、作り物っぽさが全くない。
史上最年少でベネチア女優賞を取ったのも当然だ。
というか、子役にここ
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スーパーサイズ・ミー(2004年製作の映画)

5.0

「その食生活、ホントに自己責任?」

発想・構成共に非常に面白いドキュメンタリー映画。
最初特にセンセーショナルにする意図は感じられず、純粋な興味から始まったようにみえる実験がまさかの恐怖のドラマを生
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仁義(1970年製作の映画)

5.0

宝石強盗シーンは、監督の前科を疑うレベルで上手くて笑った。
個人的には『サムライ』の方がわかりやすくて好きだが、言葉の要らない日本的腹芸の感覚は今作の方がよく表れていると思う。
原題通り「運命の赤い輪
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

この映画は少ないものがあまりに多い。

セリフ。
音楽。
説明。
更に、主人公のアナが実は終始はっきりと大泣きしたり大笑いしたりしておらず、抑えられた感情表現だった。

にも関わらず、いやだからこそ圧
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

5.0

私は元来、登場人物が多く時系列が飛ぶ映画は苦手なのだが、この映画はとても面白かった。
音楽がノリノリで笑えるシーンが多く、意味のないのになぜか聴き入ってしまう会話劇が魅力的。
勿論有名なダンスシーン
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

5.0

単純に「おもしれー」とまでいかないのだが、なぜか惹きつけられる会話劇と、緻密に構成されたストーリー娯楽性の高さが痺れる任侠映画。
本当は日本語字幕でなく、英語をそのまま聴き取れる方ならもっと楽しめるか
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希望の灯り(2018年製作の映画)

5.0

東西統一したドイツ。
しかし、それが万人に幸せとは限らなかったー

静かで省略的な展開ながらも、決して難解ではなく、それぞれの登場人物の闇と繊細さ、そして優しさが見事に伝わる構成に痺れた。
日常的かつ
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縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)

5.0

「胸糞映画」の一つとして必ず挙げられる本作。
私もその評判は知っていたのでかなり覚悟して臨んだのだが、ラストが予想を超えて悲しく、見事に玉砕してしまった。

DVDのボーナストラックを観るとわかるのだ
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ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

5.0

暴力と芸術の融合というテーマやどこか視聴者に催眠術でもかけるような独白方式は『時計じかけのオレンジ』を思わせるが、個人的には『時計じかけのオレンジ』を大きく上回る怪作だと思っている。
だが、観る時には
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

5.0

去年劇場で衝撃を受けて以来約1年ぶりの鑑賞。

古来より人間は純粋に他者と助け合って生きてきた。
自分の良心に忠実に、肉体にとらわれず命をかけて生きてきた。
タンクレディ、イタリアはそれを騎士と呼び、
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.0

無駄のない構成と繊細な表現で、非常に才能のある監督だと思った。
特に子役の活かし方が是枝裕和を思わせる上手さで、将来の楽しみである。

主人公の信仰者としての在り方は、私に言わせればまだ初歩中の初歩と
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サムライ(1967年製作の映画)

5.0

この映画は三島由紀夫の解説が素晴らしいので、勝手ながら引用する。

「『サムライ』は、沈黙と直感と行為とを扱った、非フランス的な作品で、言葉は何ら重要ではなく、情感は久々の濡れたようなパリの街の描写を
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狼/男たちの挽歌・最終章(1989年製作の映画)

5.0

初めてみた香港映画。

誰よりも高貴な魂を持ちながら、それ故に時代に取り残されていく男達の物語。
コンセプトはジャン=ピエール・メルヴィルの『サムライ』にも通じるが、こちらの方が日本の古武士の情の熱さ
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

かの北野武はこう言ったことがある。
「究極の映画とは、10枚の写真だけで構成される映画であり、回ってるフィルムをピタッと止めたときに、2時間の映画の中の何十万というコマの中の任意の1コマが美しいのが理
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影の軍隊(1969年製作の映画)

5.0

戦争映画といえば、アクションも交えて娯楽として楽しめるようも作るのが普通に思える。あのダンケルク、ディアハンターですら多少はそうだった。

今作はド派手なシーンが殆どなく、退屈なまでに、裏切り者を殺し
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ゆれる(2006年製作の映画)

5.0

一見するとよくあるミステリー事件簿のような話にみえるが、要所要所に巧みな映像表現が炸裂するため、物理的にも精神的にも、そして価値観まで「ゆれている」ように感じる凄まじい映画。
兄弟が面会する場面とラス
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モラン神父(1961年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

私の好きなラストシーンは、無神論者だったバルニーが、数々の哲学問答の末恋するも実らなかったカトリック教徒のモラン神父に、最後の質問をするところから始まる。

「神は異教徒にも奇跡を起こすの?」

モラ
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ドッグマン(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「主体的に生きないという怠惰の罪を見事に描いたスピリチュアル映画」

まず主演のマルチェロ・フォンテの演技力がそれまで無名だったことが信じられない程神懸っている。
『ライフイズビューティフル』のロベル
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