日本人の私は、実験が成功して大喜びする彼らの姿を見て怒りや強い非難の感情が湧いてこなかった。それは彼らのことを「研究者」として見ていたからだと思う。
私には学者・研究者の知人が数名いるが、彼らの共通>>続きを読む
布袋さんは度量の広さの象徴なのに、魚の骨一本で米粒を撒き散らして喚く議員の娘は度量が狭かったなあ。ほんとうの豊かさとは何なのか、すみちゃんが不幸せになったのは果たして貧しさからなのだろうかと考えさせら>>続きを読む
愛とエゴのちがい、そこに絡んでくる資本主義。そういうことをここ最近考えていた自分にヒントを与えてくれるような映画だった。
ふたりのはじまりは、身体的なつながりだ。
白髪が生えはじめた浩輔にとって、パ>>続きを読む
もの凄くひさしぶりに、あの美しいジブリ映画の背景美術を大きなスクリーンで画面いっぱいに観られたのがすごく嬉しかった。それだけでいい気もしたが、やはり考えたくなる映画だった。もうエンタメに全振りはできな>>続きを読む
観客がこの映画をカラーではなくモノクロでしか観られないように、オルガにはオルガにしか見えない世界がある。
BGMのない世界の中で恐ろしいほど静かに、淡々と水滴がコップの中に溜まりつづけ、オルガの目の>>続きを読む
ニキータは世の中のあらゆる女性の心の機微をその身ひとつで体現しているのだと思う。女性の厄介さであり、魅力であり、強さそのものだ。微笑み方を誰に習ったのか、愛する男性に訊かれるような女性になりたい。
このレビューはネタバレを含みます
「結婚が所有欲のもとに生まれた制度であるとしたら、人は愛ではなく所有欲に基づいて婚姻関係を結んでいることになるが、それでよいのか?」という趣旨の卒業論文を大学で書いたのだけど、結論づける前にこの映画に>>続きを読む
It’s Finger Licking’ Good !!
トニーはシャーリーから知性と品性を、シャーリーはトニーから勇気と愛を学ぶことで、互いに無くてはならない存在になっていくのがすごくいい。
ふ>>続きを読む
一昨年の暑い日、境港の水木しげるロードを歩いたことを思い出して、冒頭じわっと涙が滲んだ。
終始あまり「鬼太郎」感は感じずに別の作品のような感覚で楽しんでいたのだけど、水木先生が見てきたものやその人生>>続きを読む
この映画を観ていて「同性愛」の3文字は一度たりとも頭の中に浮かんでこなかった。
「痛みを葬るな。感じた喜びも忘れずに」
この言葉を贈ってくれる大人がいつもそばにいて、残酷なくらい美しい自然の中で生き>>続きを読む
苦しい111分だった。傷つけられた者にとって相手を赦すことがいちばん難しいのに、赦さないと前に進めないのは神様の人間への挑戦だよね
この映画を観たあと何気なくきょうの占いを見たら「どんな関係?は禁句。心にゆとりを」と書いてあって笑ってしまった。牡羊座の女はヨディみたいな男はお断り!
8年暮らした東京を死に物狂いで飛び出して、地元に帰ってきた。故郷のあたたかさにホッとしつつ、ちょっとだけ東京への未練を残していた。
そんなタイミングで、この映画を観た。
東京がこんなにも美しい街だと>>続きを読む
「演技が飛び抜けて上手い役者の中には一定数中身が空っぽの人がいて、そういう人は監督の駒になれるんだよ」とかつて誰かが言っていた。
この誰かの言葉をばか正直に信じるのなら、小楼は本当に空っぽなまさに「>>続きを読む
痛くないキスのシーンよかったなぁ!この映画の中で唯一ちがう種類のドキドキを味わえちゃった
『ラ・ラ・ランド』と『バビロン』、そしてこの『セッション』。3作品の激動の旅を経て思ったことがある。
好きなことで生きていく!なんてレベルではなく「好きなことでしか生きていけない」人間が世の中には一>>続きを読む
たぶん、ウォン・カーウァイもこいつらクソだせえなと思いながら撮ってる。
アンディもジャッキーも大真面目な顔で兄弟愛を悟っているけれど、映画館のふかふかの椅子でチャイラテ啜りながら観察している私は新年>>続きを読む
前日に『生きる』を観たので尚のこと胸に響いた。
私もこの街の住人になって、オットーに毎朝挨拶したい。睨まれてもいいから。
社会貢献だとか安易に口にすると冷笑されるような世の中だけど、それでも、自分のために生きるより誰かのために生きたほうが周りも自分も救われるのだからよいと思う。
メメント・モリと言ってしまえば簡単だけれ>>続きを読む
いや〜気持ち悪いナポレオンが見られた。満足。
でも、映画フリークの知人男性は「ヒトラーもそうだけど矮小化しようという流れはあまりいただけない」と言っていた。それもそうなのかも。
ただこの気持ち悪さ、>>続きを読む
観ていて腹が立つくらいにイチャイチャベタベタ、周りの視線を物ともせずにバイクを乗り回す典型的なアベック、若き日のふたり。
最初はコレ何を見せられているんだ、と思っていたけれど、これが終盤の悲哀をいっそ>>続きを読む
※原作未読
生きることとは命を燃やすことに他ならない。終わりが見えたとき、その炎の輝きは奇跡をも起こさんとする勢いで増し、周りまで明るく照らし出すのだと思う。
「自分のために他人を利用する」この指>>続きを読む
一人ひとりが生きづらさを抱えている。
湊や依里はもちろん、その他の登場人物も総じて皆生きづらさを抱えている。
保利先生がただの「変人」や「二重人格」「サイコパス」であるなら、この映画の登場人物として>>続きを読む
映画的観点で観るのをやめましょう。私たちは今日、あの感動をもう一度味わうために劇場へ来たので。
大スクリーンで、しかもスタッフの視点から、侍たちの肉体と魂の戦いを拝むことができるのはこの3週間だけ。>>続きを読む
私は人間にできる行為の中で最も尊く、同時に最も難しいのが「赦す」ことだと思っている。
被害者家族の当事者でない私には「どうか赦してあげてほしい」なんて口が裂けても言えない。
ただ私は、主要登場人物がど>>続きを読む
相手に対しても、自分の生き方に対しても正直であること(それはある意味最後の瞬間まで利己を貫き通すことでもある)は、嘘偽りない愛になり得る。
ラストの演出だけかなりの違和感があり涙が引っ込みそうになっ>>続きを読む
学生時代「あの子たちと一緒にいる時間を自分の成長のために使いたい」と言って、不良グループと縁を切り受験勉強に専念した友人の女の子がいた。
案の定、そのグループから陰口を叩かれ嫌がらせをされるようになっ>>続きを読む
いろんなハラスメントが表面的には糾弾されているいまのこの世の中だけど、水面下では日常レベルで理不尽な問題はたくさん起こっていて。
それを逆手に取って己の性別を武器として存分に活用し、「目には目を」な>>続きを読む
誇らしげな顔でコソボ爆撃の報告をした直後、一転して悲痛な面持ちでコロンバインの悲報を告げる大統領。この悲劇の根底にある問題の根深さが濃縮されていた一本。
透くんの心のひだが丁寧に描かれていないから、彼がただの「いじめっ子な割にメンタル弱いやつ」でしかなかったな……実際そうなのかもしれないけど
タイトルの出方と横浜流星くんの演技は鳥肌もの。奥平大兼くん>>続きを読む
花様年華、人生でもっとも輝く瞬間のトリガーが両者を結びつける哀しみだなんてなんとも皮肉だし、結末まで読めてしまう儚い美しさはその哀しみという共通項から生まれるのだなと思った。トニーレオンは歳を重ねるご>>続きを読む
『ベネデッタ』がヴァーホーヴェン監督作品の初見だったので、すかさずこちらを鑑賞。
この監督の描く女性像が本当に好きだ。
おそらく私が性自認も肉体的にも女性であるから言えるのだけども、ふだんヴェール>>続きを読む
岡崎京子『pink』のユミちゃんを彷彿とさせるヤヤの哀しいまでの眩しさが時代の虚しさをより一層照らし出していた。
時代がそうさせた、という言葉、あながち間違っていないのかもと思ったし、そこに監督の優し>>続きを読む
かつて刹那的に生きていたとき、世界はこんな風に見えていた気がする。明日なんてなく、いまその瞬間を楽しむ人間の心の中をこんなにも鮮烈に映像化できるのがWKW作品の醍醐味だと思う。