木村Qさんの映画レビュー・感想・評価

木村Q

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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

4.0

アラビアンナイト関係ないんかい。

劇映画は物語をある程度は必要とするけど、別に物語が面白くなくても面白い映画はある。問題はその物語から何を汲み出して何を記述していくかだ。
例えば二人の人間が緊張関係
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ面白い! 何を今さらだけどめちゃくちゃ面白い!

漠然と「サメが来て怖い映画」だと思ってたけど、全然そんなことなくて、あらゆるものをごった煮したエンタテイメント。
どんどんジャンルが切り替
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バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.0

ひねくれ西部劇、って感じ。

西部劇という枠組みにより、人間の価値が軽く扱われている時代を取り出してみせる。そしてその軽さを用いて、笑いや感動や悲しみ、恐怖など様々なエモーションを作ってみせる。
例え
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.0

シャツの色までビシッと決まってていいね。

タイムループものってなんかもはや「なんでタイムループするの?」みたいな話がなくても許される域に達してるほどたくさんある。実際この短編もそうだし。
ただそれだ
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ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

4.0

デヴィッド・リンチ本当にすごい。この短い映像でもめちゃくちゃデヴィッド・リンチだ。

デヴィッド・リンチを観るときに思うのは、最も面白いパズルってすごく解けそうなのに永久に解けてくれない、しかも見てて
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

4.0

まさか劇場で観れるとは思わなかった!

いや、なんてデカい話なんだ。神話的なスタイルを推進力にして、矢継ぎ早の見せ場に見事なアイデアが次々と放り込まれ、それがまた画としての感動に向かってひた走っていて
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

ほら、これで退屈しないだろ?

明らかに喜劇として書かれた脚本を、悲劇としての演技で描きながら、それを見せる演出はそれが一つのお話なのであると語る。
すごいのは、そのどれもがハイレベルなものだから、ず
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.0

1ミリも共感できない。なのに目を離せない。

前作『ライトハウス』が、灯台に閉じ込められて異常な精神状態になっていく過程とその帰結を描くのだとしたら、今作は前回一作分使ってたどり着いた異常な精神状態か
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.0

怖……。

物語が入り込む余地のない容赦ない状況の進行が凄まじい。「なぜ?」と問うたところで誰も答えてはくれない。状況を進行させるのは個別的な物語ではなく格差という構造だからだ。
だからそこにいる人間
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犬王(2021年製作の映画)

4.0

アヴちゃんすげーピッタリ!

『美女と野獣』の最大の欠点は、映画の着地点が野獣が人間に戻ることにあるのに、観ている人間にとって野獣の姿が愛おし過ぎて、人間に戻るのがとても残念に思えてしまうことだと思う
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.0

水に身を浸して見上げる、青空に浮かぶ昼の満月。月から見ると水の中に浮かぶ顔も同じように見える。更紗も文もそうして月を見る。月もそうして更紗と文を見る。

青の使い方が美しい映画でした。青い空や世界が青
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.0

山本耕史すばらしかった!

論理的には正しいのだけれど全く違う価値観を持っている人と話すときの怖さ。これが直接的に描写されるだけでなく、戦闘の立ち振る舞いにも反映されている。しかもそれが現れる禍威獣や
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.0

いいホラーだった。鳥よりも母親の方が怪物だったけど。

間に立っていた「いい子」を殺してしまったわけだから、愛を求めるのに手段を選ばない「悪い子」にこれから立ち向かうのは、母親ということになる。大変だ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

北海道に入ったとき不意に「音」が消える。

訳の分からない女の訳の分からなさを理解するため訳の分からない男を制御しようとして失敗し世界の訳の分からなさを突きつけられ答えを求めて赤い車は暗闇を疾走する。
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.0

嘘発見器にかけられる人の秘密を言い当てる男。

円形のモチーフを散りばめた美術と物語、赤が重要な役割を示す色彩設計、そしてなんといってもそれらを含めた細部の豊かさ。
これだけ変なものを愛する人が同時に
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

5.0

「何人いるのよ」のシーン大好き。

基本的な物語はわかりやすいしいろんな要素もちゃんとその物語を盛り立てていて収まりがすごくいいんだけど、それにしたって盛り立てるための要素がそんなの使う!?みたいなも
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

セブン、ゾディアック、パラサイト、それに天国と地獄。

向こうに何かがある、という感覚にシビれまくる映画。
ぐらつく一人称で始まり暗闇に怯え人混みの向こうを睨みつけスマホやディスプレイの向こうにわなな
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.0

サイクロプスとアッシュがやたら印象に残る。アッシュの人ってマネーショート出てなかったっけ? ニンジャローンのさ……

ヴェスパーに裏切られて始まったシリーズの終わりが、マドレーヌを信じることができない
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市民ケーン(1941年製作の映画)

4.0

笑ったら歯痛がなくなる。一人じゃなければ孤独じゃない。

画期的な技術が使われているからすごいんではなくて、画期的な技術が演出上必要に求められて使われているからすごいと思う。ケーンという一人の人間を描
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

4.0

ナイフで白い揺り籠を止めて、手で黒い揺り籠を揺らし始める。

現実の空間に徹底的に視覚的な異常を持ち込まないというのが本当にすごい。だからこそあの異様な幻想が際立って印象的だし、同時に最後の最後までロ
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オールド(2021年製作の映画)

4.0

こおり鬼を映してるときの気持ち悪い感じ。いいよねー。

カメラがもう本当に全然決定的なところを映さない! でもそうやって演出されているのは、全てを見れないなかでも確実に流れゆく「時間」というものの手触
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.0

海で顔を洗うカットが好き。朝の一杯を手際よく作るとこも良いな。

実験をするために酒を飲むんじゃなくて、酒に逃避したくて実験を言い訳にするという。そうやって感じていることを上手く話せない大人が、最後の
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

おばさんが急に道を挟んで叫ぶところがお気に入り。いろんなところが怖いけど、そもそも登場人物を突き放した視点が怖い。ミニチュアの人形のように登場人物を見るように強制されるけど、それって一家を見ていた祖母>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.0

めちゃくちゃ怖い。様子のおかしい香川照之が隣人という時点でもはや勝ってる映画。ヤバすぎ殺人部屋もあって素敵。犬がすごく良い使われ方をしてたね。最初から最後まで。そんで日常的な手触りがいい具合に怖さ増加>>続きを読む