SNOWさんの映画レビュー・感想・評価

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ディパーテッド(2006年製作の映画)

4.0

個人的には評価したいリメイク。基本プロットはオリジナルを踏襲しつつ、テーマや結末が変更されていて単なる焼き直しにはなっていない。タイパとやらを重視するならオリジナルの1作目、特にそうでもないなら本作を>>続きを読む

メディア(1988年製作の映画)

3.0

カール・T・ドライヤーが遺した脚本をもとにラース・フォン・トリアーが独自の解釈で映像化したエウリピデスの「メディア」。「メディア」の映像化にはパゾリーニの「王女メディア」があるが、トリアーはメディアと>>続きを読む

城市特警(1988年製作の映画)

3.0

ジョニー・トーの初期キャリア作品。元々トーの単独監督作になる予定だったが、ツイ・ハークの介入によってアンドリュー・カムとの共同監督作になったということ。そのせいかジョニー・トーというよりジョン・ウーの>>続きを読む

gerry ジェリー(2002年製作の映画)

3.0

タル・ベーラの「サタンタンゴ」に触発されたらしいガス・ヴァン・サントが実話をベースに撮った三部作のうちの初作。迷子になった男二人が途方もなく広がる荒野をひたすら彷徨うという地獄のロードムービー。のちに>>続きを読む

JSA(2000年製作の映画)

3.0

センシティブな題材をしっかりエンタメに昇華するパク・チャヌクの優れたバランス感覚を思い知らされる1本。これがもはやファンタジーになってしまう現実へのやり切れなさと、チャヌクのある種軽妙な筆致がマッチし>>続きを読む

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)

4.0

129分版。といっても他の版が現在見れるのかどうかは不明。何かと下世話な話題に終始しがちな本作だが、「暗殺の森」を撮った直後というまさにベルトルッチがバッキバキの頃の作品で、ヴィットリオ・ストラーロの>>続きを読む

インフェルノ 蹂躙(1997年製作の映画)

3.0

無論「サイコ」を想像しない人はいないのだろうけど、ほかにも色々渋滞していて面白い。なかでも、アントニオーニの「情事」を初めて観たときの薄ら寒さを感じた。今でもあの映画はホラー映画だと思っている。

お引越し(1993年製作の映画)

4.0

相米慎二の映画は見るたびに軽くベストを更新してくるので困る。前半もいいのだけど、田畑智子が祭りで彷徨する後半が素晴らしい。テレンス・マリック×ネストール・アルメンドロスの「天国の日々」以来の感動を覚え>>続きを読む

XX ダブルエックス 美しき獣(1995年製作の映画)

4.0

XXシリーズは初見。まあシリーズというよりは池田敏春作品として見たかった1本。脚本に高橋洋(一緒にクレジットされている竹橋民也は池田敏春のペンネーム)、撮影・仙元誠三、音楽・吉良知彦で面白くないわけが>>続きを読む

甘い抱擁(1968年製作の映画)

4.0

再見。

落ち目の女優が、番組を降ろされるかもしれないという強迫観念から酒に溺れて転落していくという話に、ファスビンダーの「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」あたりを思わせる女性同士の愛憎劇を絡めた内容
>>続きを読む

M/OTHER(1999年製作の映画)

4.0

脚本なしの即興芝居といっても、実はかなり綿密な人物設定がなされているらしく、実際は相当作り込まれた映画なんじゃなかろうか。リアルとアンリアルのせめぎ合いというか。「2/デュオ」も生々しさというよりそう>>続きを読む

ママと娼婦(1973年製作の映画)

3.0

ようやく観れた。この緩慢さこそが映画の主題であり、例えばジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」ですら大冒険に思えてくる「停滞」映画の最極北といったところであろうか。ところどころ爆寝しなが>>続きを読む

発禁・秘画のおんな(1983年製作の映画)

3.0

さすが「ズームイン暴行団地」の黒沢直輔監督とあって特異な演出にバキバキな撮影。日本家屋のバックでなぜかゴリゴリのシンベが鳴っているのも面白い。

ルージュ(1987年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

OBK映画としてはかなりガバガバなのだが、主演の二代スターが夭逝しているだけに単なるファンタジーに見えなくなってくるのが何とも。アニタ・ムイの妖美な表情と佇まいが格別なのは言わずもがな、終盤のレスリー>>続きを読む

ランユー 4Kリマスター版(2001年製作の映画)

3.0

「ブエノスアイレス」あたりをめちゃくちゃギュっとした感じの映画。演出もカーウァイの其れをかなり品良くした趣でクィア映画としては見易いのではなかろうか。イマジナリーライン寸前(越えてたかも)でアングルを>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

タイトルのタイポグラフィや自覚的なサウンドデザインはゴダールっぽいなと思っていたが、実際に濱口監督の意識下にはそれとなくあった的なことがパンフレットに書いてあった。そもそもの発端である石橋英子さんの音>>続きを読む

ヨーロッパ一九五一年(1952年製作の映画)

3.0

息子が自死したショックで自らを省みて貧しい人々への施しを始めるイングリッド・バーグマンの話で、最終的にはフーコーの「狂気の歴史」的論旨に収斂していく。政治的・宗教的な見方はいくらでもできるのだろうけど>>続きを読む

女の復讐(1989年製作の映画)

3.0

旦那をNTRれた妻が愛人にカマす(しかも旦那は死んでいるので欠席裁判というのがまた)という字面だけだと見たことがあり過ぎる内容なのだが、実際には2時間ぶっ通しでイザベル・ユペールが静かに鬼詰めしてくる>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

ノーランの十八番ともいえるノンリニアな展開も手伝ってかロスアラモスやトリニティ実験を知っている程度だと話についていけない。特に公聴会のくだりとかは予備知識を入れてから見た方がよかったと反省しつつパンフ>>続きを読む

本陣殺人事件(1975年製作の映画)

4.0

夢幻的なカット割やフレーミングがATG全開という感じでいい。以降のシリーズとは完全に別次元の妖気と禍々しさが漂う作品でとても好き。

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

4.0

太平洋戦争開戦前の上海租界を舞台に、リアルとフィクションが交錯するロウ・イエのスパイスリラー。モノクロでいわゆる劇伴も全くついていない上、本筋と劇中劇の境目が意図的にぼやかされていて蠱惑的な雰囲気で展>>続きを読む

二重生活(2012年製作の映画)

3.0

相変わらず三半規管を試される手持ち映像で人間関係の危機がスリリングに展開。「シャドウプレイ」と同じくミステリーという鋳型も作品の求心力になっている。表向きは二重生活を巡る痴情のもつれ的なメロドラマなの>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.0

ジャック・タチのスタッフとしてキャリアをスタートさせ、ジャン=クロード・カリエールとがっつりタッグを組んで映画を撮っていたのに長らく忘れられていたらしい不遇のマルチアーティスト、ピエール・エテックスの>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭は「プレイタイム」を参考にしたらしいという情報以外はすべて遮断して見に行ったが面白かった。全体的には病的な「トゥルーマン・ショー」という感じの映画だったが、釈然としないこともかなり多くて今後もスル>>続きを読む

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

3.0

冒頭の結婚披露宴のシーンから天才的に面白い。このシーンの推進力は「天国と地獄」の冒頭に匹敵するのでは。展開が進むにつれて活劇的になってくるので、題材の割にはどんよりならないのも黒澤映画という感じ。西村>>続きを読む

ザ・リッパー(1982年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

鋳型は「マーダロック」あたりと全く同じな後期フルチの純ジャーロ。ホシが割れてから心理学者があたかも横で見ていたかのように倍速で事の経緯を教えてくれるのだが、なんでそうなるのかさっぱり意味がわからずかな>>続きを読む

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)

4.0

「フレンチ・コネクション」とLAと80年代を閉じ込めて真空パックにしたような映画。やはりこの頃のフリードキンは神掛かってる感があるなぁ。金のために金を作っているわけでもなさそうなウィレム・デフォーのキ>>続きを読む

フリードキン・アンカット(2018年製作の映画)

3.0

リハーサルはアホがすることだとか、言いたい放題のフリードキン節が痛快なドキュメンタリー。今では絶対にあり得ないようなエピソードがわんさか聞ける。ルメットもワンテイク派っていう話が地味にビビった。タラン>>続きを読む

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.0

題材の割にはそこまでシリアスではなく、ホークスのコメディみたいな軽快なトーン。スキャンダル云々の話から完全に志村喬演じる老弁護士のエピソードにシフトしていくあたりもスクリューボール。この頃は千石規子が>>続きを読む

野良犬(1949年製作の映画)

3.0

再見。

アンソニー・マンの「Tメン」みたいなテイストのセミドキュメンタリー路線を狙ったと思われる黒澤作品。それだけに、詰められた淡路恵子がドレス着て回転するくだりとか、対位法のテキストとも言えるラス
>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.0

この頃はまだスタンダードだったんだなぁ。あまりにも有名なラストカットは言うまでもなく、ワンカットでウロウロする山田五十鈴が超絶怖い。

酔いどれ天使(1948年製作の映画)

3.0

ビリー・ワイルダーの「失われた週末」みたいな話かと勝手に思ってたら全然違った。ほぼ志村、三船のぶつかり稽古で、明らかに後続の黒澤(志村×三船)作品と熱量が違くてびっくりする。

白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

4.0

ドン・シーゲル×イーストウッドによる異色スリラー、というかホラー。ハーレムかと思ったら地獄でした案件を、職人ドンシーのアクション映画みたいな快速エディットで見せられるため、幸か不幸かめちゃくちゃ面白い>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.0

相当レーティングが落ちた阪元裕吾作品といった感じだけど面白かった。てっきり原作ものだと思ってたんだけど、そのまま逆輸出できそうなジャンプ感。アクションはもろ「ザ・レイド」に影響を受けている感じでいい。

その男を逃すな(1951年製作の映画)

3.0

強盗犯を匿う羽目になった家族と強盗の攻防というほぼワンシチュエーションのスリラー。これが遺作となったジョン・ガーフィールドの演技が見事。俺のチキンが食えねーってのか、と言ってブチギレているシーンが好き>>続きを読む

最前線(1957年製作の映画)

4.0

アンソニー・マンということで多分に西部劇ナイズされている感はあるものの、延長線上には確実に「プラトーン」あたりがある厭戦的な雰囲気に塗り込められた朝鮮戦争映画。脚本はフィリップ・ヨーダン、撮影は「理由>>続きを読む