クロフネさんの映画レビュー・感想・評価

クロフネ

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銀座カンカン娘(1949年製作の映画)

2.8

まずはじめに、舞台となる新笑一家の家族構成がなかなか複雑です。恩人の娘だというお春とその友人のお秋、息子ではなくて甥の武助、一家の主をおじいちゃんと呼ぶ謎のヒヨ子(両親は?)など、ひとつ屋根の下で暮ら>>続きを読む

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)

2.3

脱出アクションとしては凡作。イランにパキスタン、タリバンやISIなど、敵と味方とスパイと俺とが入り乱れて、何がなにやら混乱しまくっているのは、なにかプラスなところがあったのだろうか。状況を複雑に設定し>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.3

「グラインドハウス」風味たっぷりな血みどろアクション。ちょ、おま、それ絶対死ぬやろという修羅場を何度もなんども生き延びてしまう(笑)不死身のおっさんのお話。

7つの章それぞれに趣向を凝らした対決シー
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

2.2

「ゴーストバスターズ」という映画に、10代少女のアイデンティティークライシスや、ありがちな家族の絆なんてものは、たぶん求めてないんですよ。それに気づきました。ひたすらバカバカしいオバケ退治。それだけで>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

4.0

前半の演劇パートはいらないのでは? という議論さえ吹き飛ぶくらいの、バカバカしくも皮肉に満ちた展開に唖然とさせられました。クソみたいなこの世界にほとほと嫌気がさしているひとなら、ぜひ、小一時間ほどの>>続きを読む

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

2.5

目隠しされてバスに乗せられて着いたところが海辺の貸別荘。新作舞台のオーディションで集められたというから、まったくの他人同士かと思ったら、6人はおなじ劇団の人間で、知り合いじゃないのは1人だけ。海沿いの>>続きを読む

あこがれ(1966年製作の映画)

3.0

若いふたりの青春映画というよりも、自分の足でしっかりと立つ昭和の女たちを描いた作品という印象が強かったです。新珠三千代演じる養護施設の教師を筆頭に、一郎の育ての親(賀原夏子)や実母(乙羽信子)、そして>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.3

花粉だの黄砂だのが舞い、ほこりっぽい春の訪れを身をもって感じるこの時季にこそ、まさにうってつけの作品といえるでしょう。全編にわたって薄茶色の砂の嵐が吹き荒れます。

「アラビアのロレンス」や「マッドマ
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

2.8

愛惜や哀悼を表す正直な気持ちに対して、つまらないケチをつけるなんてことは野暮ってもんです。ただそれとは別に、完成した1本の映画として野暮を承知でひと言付け加えるなら、群像劇にするのなら群像劇に、井上を>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.5

冒頭5分だけと思って見はじめたけど、結局最後まで見てしまいました。3回目。
つくづくいい作品だなあと思います。20年後、30年後にまた見て、むかしのことを懐かしみながらきっと同じようにそう思うのでしょ
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終わらない週末(2023年製作の映画)

2.5

ヒッチコック風カメラワークを多用して思わせぶりにサスペンスを盛り上げるところは、シャマラン的ではあります。でも、引っぱるだけ引っぱって、ラストまであんなに思わせぶらなくてもいいんじゃないでしょうか。製>>続きを読む

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

3.0

評価の高かった原作未読のため鑑賞。なるほど、そうくるか。

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.2

「どんでん返し」と言ってしまうとあれなので、「その先がある」児童ピカレスク映画(幼い純愛風味付き)ということにしておきます。
序盤から10人近い登場人物が現れ、予想外な出来事も連発するので、なかなか頭
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疱瘡譚(1975年製作の映画)

3.7

画像合成の手法を手に入れた寺山は、玩具を得た子供のように、嬉々として溢れ出るさまざまなイメージをコラージュのごとくつないでいったのだろうか。そんな姿が思い浮かぶのです。
なので、この時期に製作されたい
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審判(1975年製作の映画)

3.2

なんてみなさんメタファーがお好きなのだろう。
この映画の場合、釘は男性器、広くは原罪のメタファーであることは明らか。
終映後、スクリーンが白壁となり観客たちが壇上にあがって釘を打ちつける行為は、寺山が
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迷宮譚(1975年製作の映画)

3.2

異界(いま風に言えば異世界)へつづく「境界」としてのドアをめぐる物語。ドアは、いわば村上春樹における「井戸」のようなものか。

つねに「下降」のイメージが付きまとう村上の異界に対して、寺山の場合は、あ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.0

この地味な法廷劇からテーマみたいなものを無理やり探してくるなんてことはあまり意味がないのでやりませんが、夫と妻がそれぞれのやるべきことをめぐって互いを糾弾し合うシーンを見ていると、海の向こうでもおなじ>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

2.7

ただのホラーではなく、男子友情物語になっているのがいい。ピンク・フロイドの「On The Run」を原曲のまま使って、最大限の効果を発揮した映画を初めて見た。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.7

山田太一脚本のNHK銀河テレビ小説(ドラマ)でも見ているような気分になりました。そんなヴェンダースらしい、丁寧に作られたこぢんまりとした作品です。

この映画から受けた最初の印象は、距離的移動のない「
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白い牙(1960年製作の映画)

2.2

女性の心理をほとんどわかっていない自分からすると、いちばん理解がむずかしいタイプの映画。人生経験の少なさもあって、女性たちの心の動きが悲しいくらい読めません。そして主人公・沙夷子がクリスチャンというこ>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

2.2

ラストにもうひとひねりあるのかとエンドロール最後まで見ちゃったけど、なにもありませんでした。あっさりしすぎ。
でも、あれどうやって助けたんだろう。ヘリコプターならそのままどこかの病院まで直行するだろう
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.3

古くからある人造人間のお話を下敷きに描いた、フランケンシュタインであり鉄腕アトムであり、そしてアルジャーノンの物語。そういったオマージュの対象がさまざま思い浮かぶなかで、類似性を最も強く感じたのは、ま>>続きを読む

ダイアモンドは傷つかない(1982年製作の映画)

2.6

ちゃんと調べたわけではないですが、この映画が作られた時代って、新しい女性像を描くことをテーマにした作品が多かったような気がします。ウーマンリブや女性の社会進出が叫ばれはじめ、自立した、しっかりと自分の>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

幼いころから母親による虐待を受けてきた男が、強迫性障害や不安神経症から起こる幻覚に苛まれながら、ついには母親の手によって破滅に追い込まれてしまうという、とことん救いのないホラー(骨格としては)‥‥とし>>続きを読む

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

2.2

ホラーとしては完全な失敗作。大きな音でびっくりさせるシーン(いわゆるジャンプスケアってやつ)は何度かあったけど、それを怖いと感じることは一度もありませんでした。そもそも驚くことと恐怖を覚えることはまっ>>続きを読む

廃市(1984年製作の映画)

4.2

個人的には、数ある大林宣彦監督作品のなかでも群を抜いて好きな作品です。16ミリフィルムによる撮影ということもあって、たしかに「HOUSE」みたいな映像マジックは見られませんが、憂いと郷愁にあふれた大林>>続きを読む

怪盗ジゴマ 音楽篇(1988年製作の映画)

3.5

幸せいっぱいのミュージカルアニメーション。22分の上映時間が終わると、なんとも言いがたい多幸感に包まれました。
和田誠監督の面目躍如というべき一本。やっぱアニメーションでしょ。

快盗ルビイ(1988年製作の映画)

3.0

小泉今日子なくしてはありえない映画(真田広之もいちおう)。キュートで清潔な色気のある彼女ほど、こういった洒脱な犯罪映画にうってつけな女優はいないんじゃないかと思えるくらいです。
和田誠と同じ映画作りの
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恋の大冒険(1970年製作の映画)

3.0

鑑賞後1週間がたってから、なぜか愛着が募ってきたという不思議な映画。鑑賞中は、悪ふざけが空回りしているようで笑うにも笑えない気分だったのですが、子供だましにも等しい(失礼)昭和のコメディーのノリが、い>>続きを読む

無防備都市(1945年製作の映画)

2.3

タイトルの「無防備都市」とはなにを指しているのでしょう。ローマの街がナチに対して無防備だったということなのでしょうか。それがいちばんしっくりくる解釈のように思われましたが、しかし実際には、無防備どころ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.5

主要な登場人物のほとんどが、人生に意味なんか求めていないと思えてしまうのは、北野武監督本人がそう考えているからなのではないでしょうか。比較的常識人として描かれている明智光秀さえも、戦国武将という時代的>>続きを読む

華麗なる一族(1974年製作の映画)

3.2

ファスト映画でも見ているのではないかと錯覚してしまうほど、物語の奔流に飲まれる3時間30分。万俵大介を演じる佐分利信を筆頭に、多彩な登場人物すべてに主役を張るに十分な昭和の名優が揃い、それぞれがケレン>>続きを読む

うかうかと終焉(2023年製作の映画)

2.5

つまるところ学生寮に暮らす6人の学生たちが、取り壊しが決定している古い学生寮に自らの青春の終焉を重ねておセンチになっちゃいましたという、じつにシンプルな構成の映画。寮を離れる最後の1日を鍋を囲んでくだ>>続きを読む

夫婦百景(1958年製作の映画)

2.5

フランキー堺のナレーションをバックに、男女に関する世の箴言を散りばめながら、さまざまな夫婦の有り様を描いたコメディータッチの群像劇。いかにも獅子文六らしい軽妙なストーリーが、女性陣のテンポのいいセリフ>>続きを読む

三太頑張れッ!(1953年製作の映画)

3.0

セリフが聞き取りづらくて往生したが、三太の真っすぐで希望に満ちた生き方を見せられると、訳もなく爽やかな気分になれた。こんな感情を抱くことは最近の邦画にはとんとないだけに、これはこれで評価されるべきだと>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.7

良くも悪くも山崎貴の映画という印象。「シン・ゴジラ」のときに感じた何だこれは‥‥という驚きは一切なく、戦争で負った傷から立ち直るという極めて予定調和なヒューマンストーリーがただただ垂れ流されていく。ま>>続きを読む

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