息を切らす。森を駆ける足音は、一体誰のものだったか。
記憶の片隅にある。あの時消えた彼は、一体誰だったか。
わからない。この目に映り、この手に触れる世界の存在も。私が私でなくなったその瞬間も。
繰り返>>続きを読む
監視、好意、観客。向けられる視線は、一体どの世界の、誰のものなのだろう。
鏡に映る自分は、いつも無表情。それはこの世界が、退屈な現実だからか、誰かに作られた空想だからか。
事実は映画よりも退屈だと、こ>>続きを読む
この広い世界に、今日というこの長い夜を、共に過ごす誰かがいる。
決して深い関係ではない。それでも、寒空の下、この孤独を埋め合うことはできる。
待ち侘びた朝日が、この出会いに終わりを告げる。再び訪れる孤>>続きを読む
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ガタンゴトンと、線路を駆ける音がする。
喧騒と共にやって来る不思議な旅人達。今宵の出会いは、偶然で必然。
音楽と幽霊と拳銃と。眠らないこの街で、彼等は同じ一夜を過ごし、同じ朝を迎える。
遠くで聞こえる>>続きを読む
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見知らぬ誰かと、あの時の親友と、家族と。
誰かが隣に座って、ただ話をする。楽しくなんかなくても、気まずい雰囲気でも、乾杯してしまえば、そこは、煙たく閉ざされた彼等だけの世界。
まるでこの広い世界に、他>>続きを読む
無知であるが故の、美しさと残酷さ。
未知への探究心も、淡い恋心も。子供は知らぬ間に経験し、成長する。どこかでそれが、離れていくことさえ気付かぬ内に。
蝶の羽ばたきを美しいと思える心もあれば、誰かに石>>続きを読む
待てども待てども現れない彼を、それでも待ち続け、世界は今日も回り出す。
居なくなってから気付く。私達が、彼を愛していたことを。世界が、彼を中心に周っていたことを。
雪が降り、馬が駆ける。誰かが笑い、誰>>続きを読む
あの頃を良く憶えている。
寝そべった草むらの感触も、見上げた星空の美しさも、いつも隣にいたあなたの存在も。
記憶と共に実感する老いもあるけれど、それらも全て私達が生きてきた証。
家族の愛、別れの辛さ。>>続きを読む
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恐怖を抱えたまま生き長らえると、悪魔が死を呼んでくる。
しかし、冷静になると、その悪魔は天使に変わる。
死への恐怖と、薬の幻覚が混じって見た走馬灯のような夢。
その中で答えを見つけ、失った子供と出会>>続きを読む
“愛しい君へ
Film by Aldolfo Rollo”
贈り物はささやかで良い。
子守唄は下手で良い。
多くは望まない。
ただ、愛さえあれば。側にいてくれれば。
理不尽で残酷な大人の世界>>続きを読む
夢は誰しもが抱くものだけれど、それを追っている時が一番楽しいのだと、気付くことは難しい。
ヒッチコックオマージュのシーンが一番好き。
たとえこの出会いが偶然では無かったとしても、この友情は一生分の奇跡。
これは、信頼も出来ないし、喧嘩もたくさんする、大好きで大切なあなたに贈るラブストーリー。
ラストネームさえ知らないけれど。
時>>続きを読む
争いの引き金を引き、拍車をかけるのは、いつだって争い合う当事者達では無い。
そのことに気付きながらも、自身の才能に抗えず、底のない闇へと沈んでいく。金など、命など、どうとでもよいほどに。
「関係ない>>続きを読む
OPから序盤にかけての不穏な雰囲気がとんでもなく好き。EDに向けての絶望感も堪らなく良い。
改めて、ティム・ロスもナオミ・ワッツもめちゃくちゃ演技上手だな…って。あの憔悴し切った感じ素晴らし過ぎる。
朝から夜まで、絶え間なく喋り合う。孤独を恐れるように。足りない愛情を補うように。
盗みも暴力も、全ては愛情の代わりに教えられたもの。
あの時、誰かに愛してもらえたら。そう願っても、過ぎ去ってしまった時>>続きを読む