ヘラルドスクエアさんの映画レビュー・感想・評価

ヘラルドスクエア

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黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.1

オープニングからお祭り騒ぎ。
カーニバル的世界を構築してパワー全開で一気に駆け抜けていきます。
意味不明な様々や不整合なものをナラティブの怒涛の回転力で飲み込みながら、祝祭空間を増強していきます。
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.8

アニエス ヴァルダ監督の最高傑作。
切れ味半端ない。

ホームレスには違いないのですが、それよりはノマドと言いたい。
それも自分の意思で流浪を選び取った人という意味でのノマドがしっくり来ます。
乞食、
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.2

前作『X エックス』より見やすかったです。
そこまではぶっ飛んでなかったからかな。
センスいいしかなり面白かったです。
ミア ゴスさんのなんかだらしのない顔つきがいいんですよね。
ダグラス サーク監督
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.3

まぁ、そういう監督だということで楽しみました。
ウェス アンダーソン監督の最高傑作というのも、あながち誇大広告とは思えない。
そのくらいに、監督がやりたい放題やった、かなりの作品です。お腹もいっぱい。
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ザ・ハッスル(2019年製作の映画)

2.8

これは大好き系のやつです。
恐るおそる期待しました。
普通なテンポで、こちらも普通には見ていられましたよー。
でも、こなれた感が鼻について乗り切れません。
もっと小粋なコメディにも出来たはずなのに
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美しき棘(2010年製作の映画)

3.2

青春のヒリヒリする感覚が、まさに棘のような痛みとして表現されています。
雰囲気一発で成立してしまうのは、フランス映画ならではだなぁと感心します。
撮影や照明、美術が一体となって10代のナイトライフを描
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教授のおかしな妄想殺人(2015年製作の映画)

3.0

哀愁漂うスノッブな作品。
精神衰弱のいかれた哲学の教授とその教え子の女子大生。そこにパーカー ポージーさんが絡んできて…。
ウディ アレン版「文学部唯野教授」。

全編に流れるラムゼイ ルイス トリオ
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この広い空のどこかに(1954年製作の映画)

3.0

戦後復興期の束の間、のどかだった川崎、多摩川六郷土手周辺の物語です。
河川でみんながレジャーボートを漕いで、当時人気のスポットだったのでしょうね。
文化財の川崎河港水門も遠影にしっかり捉えられています
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あらくれ(1957年製作の映画)

3.8

高峰秀子さんのおハコと言ってもいい、気の強い女性を生き生きと演じていて、魅力たっぷりです。
どいつもこいつも男どもが父権にあぐらを掻いた上にだらしなくて。
そんな奴らに頼って生きていくのはごめんだよと
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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

3.6

パワーとエネルギーに圧倒される。
若松孝二監督にしか作れない作品。
実録のタイトルに相応しく、真正面から堂々と映像化しています。
監督の最高傑作であることは間違いないです。どの画面からも溢れる迫力に執
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.7

大絶賛のこのゴジラ。
周りからは絶対に見ろと何度もすすめられて。
結局アマプラ落ちで鑑賞。
それをしっかりと差し引いても
ゴジラは怖かったです。
得体の知れない巨大な怪物をビジュアルとしては十分に、ほ
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黄色いからす(1957年製作の映画)

3.3

こういうのが見たいんです。
人情ファミリードラマ。
舞鶴港の引揚と再会のシーンは名場面じゃなかろーかと。
鎌倉、湘南海岸周辺のロケが多いのも嬉しい。
防砂の松林の中までカメラが追いかけるダイナミックな
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

2.9

プロダクションデザインが最高!
アカデミー受賞は納得です。
ヴィスコンティからグリーナウェイを経由して
スチームパンクなメトロポリスからテリー ギリアム、ジュネ、ギレルモ監督まで、オマージュや引用とい
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.6

これは完全に好物な世界。
エルヴィスの妻の話なんて面白いに決まってます。
その素材をどうやって料理できるかは監督の力量次第。
これは感動しましたー。
どこを切ってもセンスのかたまり。
おしゃれな映画。
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二人で歩いた幾春秋(1962年製作の映画)

2.8

お得意の夫婦善哉モノ。
木下恵介監督ほど作品に振り幅がある作家はいないように思います。
社会派作品を極北とするなら、本作のように夫婦愛を高らかに歌い上げる作品は、その後のテレビシリーズ『木下恵介アワー
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祭りの準備(1975年製作の映画)

3.8

黒木監督の名作。
渦巻くエネルギーに圧倒されます。
とにかく映像からの圧力がすごい。
演出もさることながら、名匠木村威夫さんの美術監督によるところも大きいです。
70年代のATGのテイスト全開。
常連
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審判(2018年製作の映画)

3.3

こりゃ面白い。
思い切り低予算の熱を感じる。
いいな。
世界観はかなり表現できている気がします。
てことはカフカの世界は『世にも奇妙な物語』で間違いありませんか。

ほとんど鳴りっぱなしの音楽が
まさ
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TENET テネット(2020年製作の映画)

2.9

意味が分からないとの評判もあって
少し敬遠気味でしたが、やっと見ることができましたー。
警戒しながらの鑑賞でしたが、
MCUなどマルチバース的なノリや解釈が当たり前な近ごろでは、なんなく設定やストーリ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.0

このリメイクはとてもいいですね。
なかなか沁みます。
ハリウッドではなくイギリスでよかった。
カズオイシグロさんの脚本とは豪華。
オープニングタイトルから落ち着いたクラッシックな作りが、黒澤監督へのリ
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この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

2.5

こころに沁みる西部劇。
南北戦争に翻弄された男の物語。
トム ハンクスさんがあまりにもいい人なので
正直感情移入はできません。
少女も会話が成立しなさ過ぎて、どういう気持ちで観ていたらいいのか定まりま
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市子(2023年製作の映画)

3.6

深い、かなりハマる。
杉咲花さんの存在感…。
脚本、演出、俳優その他すべてがハイレベル。
切れ味最高。
細部まで相当練られていて、すでに円熟の域です。
それもそのはず、監督自身がすでに演劇作品として何
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王手(1991年製作の映画)

3.0

欧陽菲菲
新世界と通天閣が堪能できる。
全体にアート感が漂う、庶民のための庶民の映画。
『どついたるねん』『鉄拳』に続いて荒戸源次郎さんと組んだ作品。
役者たちの手垢にまみれていない演技がいいです。
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9時から5時まで(1980年製作の映画)

3.5

まさに時代は80年代。
バブリーな雰囲気がたまりません。
リアルタイムだからこそ作れた映画。
ストーリーがどうのという作品ではないです。
ただ面白いだけってすごい。
ジェーン、ドリー、リリーの3人をキ
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真昼の欲情(1958年製作の映画)

3.4

アンソニー マン監督らしからぬシェイプアップされた映像が特徴の作品。
ちょっとした突然変異、最高です。
地面に掘られた穴の底との高低差を多用したり、人物をなめるダイナミックな構図は今さらながらハッとさ
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ブルーズド 打ちのめされても(2020年製作の映画)

3.1

ハル ベリーさんホントすごい女優ですね。
何もかもすご過ぎて、普通の神経だとついていけない感じです。
格闘技てのもそうですけど、もがき苦しむ生きざまをこれでもかと見せつけてきます。
もー血みどろ汗まみ
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.5

これはおすすめ。好きです。
楽しくて切なくて感動でした。
片田舎の高校生が知性と素朴さで青春を生き抜きます。
何にも知らないちょっとマヌケな男子は性格だけはめっちゃいい。
作りは軽いですが、悩める若者
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そんなの気にしない(2021年製作の映画)

2.5

一生懸命働くスチュワーデス物語(死語)。
LCCのCAの業務が案外こまかく描かれています。
機内販売の厳しいノルマがあったり。売り上げがCAとしての能力に直結していたり。
メイクとスッピンが別人だった
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シリアにて(2017年製作の映画)

3.2

母は強い。
二人の母親が出てきますが、二人とも極限状態でも人間の威厳を保ちます。
その表現の仕方がこの作品の素晴らしさです。
二人の女優さんがいいです。
命さえあればいいという戦禍を、団地の一戸だけで
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砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

3.3

人情西部劇。
なかなか味のあるB級映画です。
こういうのがあるからディグっちゃうんです。
ペキンパー監督が自らベスト作品に挙げているだけあって、拘りながらも楽しんで制作しているのが画面から伝わります。
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揺れるとき(2021年製作の映画)

3.6

ヒリヒリ胸が痛む作品。
子どもは無力ですね。
国境の田舎街フォルバック。地名はドイツ語由来だったりします。
貧困家庭でみんな怠惰な生活していても、なんとか生きていけるのは田舎だからでしょうか。
歴史的
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インフォーマント!(2009年製作の映画)

2.8

いいノリですねー。
安心して物語に浸れます。
ポケベルで連絡を取る90年代の実話ですが、映画のテイストは『黄金の7人』シリーズや70年代のB級スパイ物です。
味の素www
ソダバーグ監督とスコット バ
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可愛い配当(1951年製作の映画)

2.7

この続編まで見ないと家族の騒動は完結しません。
世代交代をしっかり描いたシリーズだと気付かされます。
どうあがいてもトレイシーじーじになっちゃう運命ですからね。
エリザベス テイラーさんもただハッピー
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カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権!(2011年製作の映画)

2.8

まさにレッドネッキーな映画。
差別的なネタを楽しめるかで評価が分かれますね。
バター彫刻はアメリカ中西部で伝統ある白人文化で、それに黒人が参加すること自体がこの映画のキモです。登場する観客たちや審査員
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Ribbon(2021年製作の映画)

3.0

ですよね。
多摩美です!
のんさんの才能が画面に溢れています。
美大生役に何の違和感もなし。
むしろ役不足なくらいです。
コロナ禍の滑稽なほどの異常事態を、身の丈レベルでちゃんと残してくれた作品だと思
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ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

2.9

祝アカデミー主演男優賞ノミネート。
とても勉強になりました。
ワシントン大行進は各黒人団体が一枚岩ではなかったのですね。
政府やFBIからの妨害は当然のこと、キング牧師でさえ最初は懐疑的だったとは知り
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

3.5

ジュリー デルピーさんが歌う”A waltz for a Night”
映画の中の歌としては最高の一つなんじゃないかな。
シンガーソングライターが開花した瞬間です。
初めてこのシーンを見たとき、聴き入
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