これは完全に好物な世界。
エルヴィスの妻の話なんて面白いに決まってます。
その素材をどうやって料理できるかは監督の力量次第。
これは感動しましたー。
どこを切ってもセンスのかたまり。
おしゃれな映画。
耽美な作り込みが最高のソフィア コッポラ監督なら、安心して物語に身を委ねることができました。
音楽のチョイスも、うーん、はずさない、間違えない。
てかエルヴィスに一切歌わせなかったのは大正解！
ものまねエルヴィスだけは絶対やめてもらいたかったので、それだけで監督への信頼は間違いなかったと思いました。
では稀代のカリスマをどのように描くのか。
監督はNYマディソンスクエアガーデンでのイントロダクション「ツァラストラ…」のストライクポーズを後光のバックショット一発で撮影。歌わせずにこのシークエンスは終了。これこそ全てを分かっていて削ぎ落とした演出。
たったこれだけでカタルシスを与えます。
ちなこの3日間の伝説のステージはジョンやディラン、ボウイもお口あんぐりで観客席でした。バイのボウイに至っては前列でエルヴィスに見つめられてイっちゃったと告白しています。
エルヴィス役ジェイコブさんはかなり頑張ったのが伝わった…。アメリカンアイコン、キングを演じるのは相当なプレッシャーのはず。これはこれで、映画の中では十分エルヴィスでしたよー。
そしてなんと言っても、プリシラ役が良かった。
プリシラの実像がこんなに可愛らしく、真面目な人物だとは知りませんでした。パブリックイメージで、勝手にはちゃめちゃな人だと思い込んでいただけに、その認識を訂正してくれただけですごく価値ある作品だと思います。
エルヴィスを素材にこれ以上の映画はそう簡単に生まれないだろーなぁ、なんて遠い目です…。
あ、パンフ買っちゃいました〜。
