奔り、暴れて、打ち砕かれて、なお炸裂するツッパリ魂。幻の街サンダーロードを駆ける暴走族。連合の結成に反発しグループを抜けた仁は、抗争の末に手足を失う。そして始まる仁の復讐。ロックとバイクと喧嘩と武器と>>続きを読む
差別とデマが引き起こした、忘れてはならぬ惨劇。関東大震災から5日後、千葉県福田村で香川県の行商9名が朝鮮人と間違われ虐殺された。混乱が人々の猜疑心を膨張させ、排他的な共同体意識が集団狂気へ変貌するまで>>続きを読む
停滞するセカイを突き破る、痛い程に純粋な衝動。製鉄所の事故を境に時が止まった見伏町、そこでは変化が禁じられていた。秘密の夢を抱く正宗は同級生の睦美に導かれ、閉じ込められた少女に出会う。現代の閉塞と十代>>続きを読む
偽りの自分、作り物の現実、本物は何処にあるのか。アイドルを引退し女優の道を志す未麻は、自分の生活が誰かに盗み見られていることを知る。虚実が入り混じり世界が侵蝕される恐怖を、分裂するアイドルの自我を通じ>>続きを読む
恋人に誘われて鑑賞。
ドラマシリーズ未視聴でほぼ前知識ゼロだったけど、ストーリーは独立していたので楽しめた。旧家の遺産争い、殺し合う一族という往年の推理小説を思わせる舞台設定から、トラウマやジェンダー>>続きを読む
行き場を無くし生と死の境界線を彷徨う者達の孤独。名コンビと謳われた刑事の西と堀部。しかし堀部は銃撃事件で半身不随となり家族も失う。西も部下を失い刑事を辞め、遂には銀行強盗を起こし、不治の病に冒された妻>>続きを読む
光を求めてもがき続けた暗い時代の少年たち。1960年、戒厳令下の台北で睨み合う不良少年集団。建国学校夜間部に通う小四も彼らと関わりを持っていた。家庭の逼迫、グループの分裂、そんな不安の中で小四はグルー>>続きを読む
なぜ実習生の自死は防げなかったのか。過酷な労働環境、企業と学校の癒着、役所の責任回避...実際の事件を元に、過剰な競争社会と搾取の構造を描く社会派映画。懸命に生きていたソヒの姿を鮮明に映すことで、社会>>続きを読む
進まない時の中で変化していくそれぞれの感情。いつも通りの日常が流れる貴船の老舗旅館、しかしそこでは同じ2分間がループしていた。混乱する観光客と従業員は時の檻から脱け出せるのか。時のループが人々の秘めた>>続きを読む
都市の喧騒と欲望に惑わされながら、若者たちは愛を求める。90年代の台北、仕事に恋に一見充実した人生を送りつつも、その実ままならない関係に懊悩する若者たちの姿を描いた恋愛群像劇。軽妙な会話劇に切実な人物>>続きを読む
記憶の断片が映し出す取り返しのつかない喪失。妹のなぎさを事故で失った青年・文直は、バイト仲間の肝試しに付き合わされ、事故現場のトンネルに辿り着く。浮かんでは途絶する妹の記憶は、出口の無い暗闇へ文直を追>>続きを読む
沈黙の中で煌めき消えていった、一夏の恋。聾者の青年・茂はゴミ回収の仕事中見つけたサーフボードに魅せられ、同じく聾者の恋人・貴子を誘い海に出る。黙々と波に立ち向かう彼の姿に、サーファー達も惹かれていく。>>続きを読む
見捨てられた三人の、世界の終焉を目指す逃避行。精神病院に入れられたココは、同じ患者のツムジとサトルに誘われ病院を脱出する。神の言葉に導かれ、塀の上を歩く三人。世界の果てに救いはあるか。メランコリックな>>続きを読む
ふとした一瞬から湧き上がる、彼女たちの情熱。アイスクリーム屋で働く元デザイナーの菜摘、姪から父探しの協力を頼まれた優、書けない小説家の佐保。思わぬ運命の交錯が、ままならない日々に魔法をかける。お洒落で>>続きを読む
怖るべき力を手にした子供たちの、知られざる遊戯。団地に引っ越したイーダとアナは、念力を操るベン、心を読めるアイシャと友人になるが、力を使った遊びは次第に暴走を始める。無垢さ故の危うさや残忍性が淡々と映>>続きを読む
青空に立ち昇る入道雲、憧れの先輩との夏休み、世界を懸けた戦い。夏のロマンの全てが詰まった細田守の代表作。山奥の旧家と広大な仮想世界という対照的な舞台設定がやはり引き込まれる。ある種異界への冒険譚でもあ>>続きを読む
極限の悲しみに引き裂かれる、慟哭のミュージカル。工場で働きながら芝居の稽古に励むセルマは、失明の危機にあることも顧みず息子の手術費を貯めていた。そんな彼女の秘密を家主のビルが知り、運命は狂い始める。絶>>続きを読む
落ち目の俳優とスタントマン、二人が起こす映画の奇跡。1969年ハリウッドの栄光とヒッピーブームの闇を土台に、映画という虚構にのみ創造し得る夢を描いた大作。役者を演じる役者の演技がどれも素晴らしい。爽快>>続きを読む
絢爛たる劇の世界と無情なる時の運命。戦争から文革に至る激動の中国史を背景に、京劇に全てを捧げた二人の役者の生涯を描く壮麗な大河。過酷な稽古、報われぬ愛、政府の弾圧、波乱の中で繰り広げられる愛憎劇の虜に>>続きを読む
終戦後に執行された日本兵の処刑。戦友は何故殺されたのか?闇に葬られた戦争の罪を、狂犬・奥崎謙三が暴く。戦場の飢餓地獄と帰還兵の苦悩、そして信念の為なら暴力も辞さない奥崎の生き様を鮮烈に映したドキュメン>>続きを読む
昭和42年、不正入学や運営介入に抗議する反対運動は当局の機動隊を動員した弾圧で追い詰められ、十数人の学生がホールを占拠し辛くも闘争を続けていた。内部分裂、親との軋轢、起訴、逮捕─閉塞する闘争の内部を映>>続きを読む
空港反対から空港粉砕へ。1968年夏、成田空港建設を強行する行政に反発する農民と学生は、共に手を組み抵抗を宣言した。泥沼の闘争と化し未だ禍根を残す成田闘争、その武装路線への過渡期を記録した迫真のドキュ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
宮崎駿の老境は、想像力の相剋と回帰だった。
幼き日に母親を亡くした眞人。戦争により東京を離れ田舎の屋敷で暮らすことになった彼を、父親の再婚相手である夏子と使用人の老婆たちが迎える。しかし屋敷にはかつて>>続きを読む
青春の儚さ、瑞々しさが全て詰まった名作。同じ場面の繰り返しが逆説的に青春という限られた時間の一回性や刹那性を表現していてグッとくる。真琴の真っ直ぐなキャラクターが物語を躍動させているのも見ていて楽しい>>続きを読む
繰り返される離別と、埋められない空白。産後すぐ亡くなった母、放浪するジャズ演奏家の父、洋服に憑かれた妻...孤独な運命を歩むトニー滝谷の生涯を描いた、淡々と流れる中篇映画。小説の"語り"を映像へ落とし>>続きを読む
草野球、ガソリンスタンド、恋、ヤクザ、沖縄、破滅。ボンクラ青春物語が徐々に暴力の世界へ横滑りし、冷血と滑稽の混濁する魔境へ鑑賞者を誘う、北野映画のエッセンスが濃縮された怪作。異様な空気感に引き込まれる>>続きを読む
逃げる女。追う男。幻視する過去。呪縛の解放。物流倉庫に勤める矢崎は、ある夜何かから逃げて来た中島と出会い、彼女を乗せて出口の見えない逃避行に出る。語り得ぬトラウマ、他者という異物、閉塞の中で淡々と崩壊>>続きを読む
生来の運命に縛られ続けた、孤独な皇帝の生涯。三歳にして清国皇帝の座に就き、その後満洲国皇帝、戦争犯罪者、そして庭師へ、愛神覚羅溥儀の激動の人生を描く歴史大作。表面上の栄華と裏腹に傀儡として翻弄され続け>>続きを読む
無意識の抑圧や錯誤に歪んでいく社会と個人。郊外の小学校で起きた体罰事件と、姿を消した子ども達。保護者、教師、子どもの視点から、事態の実相が明かされていく。日常の翳りからその病巣と解放への希望を描いた傑>>続きを読む
隔離生活下の曖昧な繋がりと、育まれる希望。緊急事態宣言が発令された東京、仕事が休止になった斎藤工は通販で買った"カプセル怪獣"を育てるが、その姿は思いもよらぬ形に変わっていく。ほぼzoomで構成された>>続きを読む
戦争の亡霊たちが煉獄を彷徨う20世紀の地獄篇。ヒトラー、ムッソリーニ、スターリン...アーカイブから引用した本人の映像と、神話的な舞台芸術から構成された虚実入り混じる映像はまさに悪夢。互いに嘲笑と悪罵>>続きを読む
夏の記録の中に残る、気付けなかった父の姿。11歳のソフィが父と過ごした一夏のバカンス。無邪気に遊ぶ二人の影には、言葉には出さない感情の揺らぎがあり、その残滓を掴もうと求めながら、断片と化した記憶は再生>>続きを読む
虚ろな日々に閃く刹那の光と、呆気ない喪失。希望なき世界の中で逸脱し、閉塞し、鬱屈する少年少女。彼らを繋いだのはある音楽とその消失だった。暗闇の青春を淡く描き出す中篇映画。日常と化した絶望に生きる三人の>>続きを読む
軽やかで無情な愛と青春のピカレスク。陰のある青年アルチュールとフランツ、爛漫な女性オディール。英語学校で出会った三人は、巡り合わせから強盗計画を立てる。三角関係と犯罪計画の交錯するストーリーや、ダンス>>続きを読む
彼女を絶望と復讐へ駆り立てたものは何か。トラックを暴走させ20人を殺傷したチェコスロバキア最後の女性死刑囚・オルガの事件に至る道程を描く、緊迫の100分。暴力や嘲罵の中で孤独感を募らせ、社会への復讐を>>続きを読む
システムか法か、人々が選ぶ社会の在り方は。2118年、シビュラ統治下における法律の廃止と法務省の解体が検討されていた。常守朱と慎導篤志が法の維持を訴える中、外務省過激派〈ピースブレイカー〉による襲撃事>>続きを読む