いち麦さんの映画レビュー・感想・評価

いち麦

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こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

3.0

中国の人気喜劇女優ジア・リンが初監督・脚本・主演を務めた作品として。「YOLO 百元の恋」が良かったのでこちらも鑑賞。脇も含め多くの俳優さんが「YOLO…」とかぶっていた。

初めはBTTFの母&
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別の世界(2024年製作の映画)

5.0

願い叶って雪深いド田舎の小学校に赴任し悪戦苦闘しながらも当地に適応していく男性教師ミケーレ(アントニオ・アルバネーゼ)の物語。
「スペローネの悲劇」とは何だろう? クスッと何度も笑わされながら、ち
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マルクスは待ってくれる(2021年製作の映画)

4.0

若くして自死した双子の弟カミッロをめぐるマルコ・ベロッキオ監督と兄弟姉妹ほか家族・関係者の回顧ドキュメンタリー。タイトルの意味は作品中で明かされる。今までにマルコ・ベロッキオ作品は十数本ほど鑑賞して>>続きを読む

天空のからだ(2011年製作の映画)

5.0

好奇心旺盛で行動力を持つ13歳の少女マルタの目を通して見た大人の世界。南イタリア郊外の廃れ薄汚れた景観。地方のとあるカトリック教会の聖教者たちとそこへ信仰を寄せる大人たちの欺瞞に満ちた行為の数々。い>>続きを読む

ルボ(2023年製作の映画)

5.0

ナチスがユダヤ人を完全に抹殺しようとしたホロコーストの側で、スイスが自国にいるイェニシェ(ヨーロッパの移動型民族の一つ)を断種しようと迫害していた歴史を知った。
差別を推し進める国家政策の犠牲にな
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信頼(2024年製作の映画)

5.0

尊敬と愛に育まれてできた過剰な信頼が、逆に愛と心、そして人間そのものをも破滅させていく恐ろしさ。高校教師ピエトロと、かつての生徒で卒業生テレーザ(クァドラーロ)とが交わした秘密とはいったい何だったの>>続きを読む

人生の最初の日(2023年製作の映画)

5.0

人生に絶望した者たちを再生させるのは容易なことではないはず。奇妙な体験を共有した者たちの間に緩い連帯感ができていくことこそが救いの鍵になるのではないか?と考えながら見ていた。
人生は長く生きていれ
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そう言ったでしょ(2023年製作の映画)

4.0

人間関係にはなんと行き違いや誤解の多いことか。歩み寄って解ける誤解もあれば、いっそう拗れる誤解もある。舞台となる1月のローマは異常気象からか31°Cから徐々に暑くなっていき50°Cまで上昇。蒸し風呂>>続きを読む

まだ明日がある(2023年製作の映画)

4.0

程よくロマンスがブレンドされてはいるが寧ろ社会派人間ドラマと見た。世界大戦直後のイタリアを舞台に女性の地位向上を訴えるテーマがしっかり打ち出されていた。
DVのバイオレンスをミュージカルやコメディ
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カンツォーネ(2014年製作の映画)

3.0

アーカイブされた映像、録音をコラージュした短編で日常生活の中でひとが歌うこと、歌を聴くことに纏わる回想が綴られていた。
振幅。振動。共鳴。一見、ナレーションと全く関係なさそうな映像が妙に嵌って見え
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ゾンビ(2020年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最終的に母親が選んだ道。その決意が導いた計画実行の瞬間は幼い娘にはあまりにも残酷すぎる。友人からの密告電話を受けた直後、咄嗟の思いつきは苦渋に満ちた計画へと次第に母親の頭の中で熟成していったのだろう>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

5.0

ラストに向かって加速的に増していく堪らないほどの切なさ。実の親とその家庭が子どもの育つ環境として常にベストではないという、いたたまれない現実。ショーンとアイリンの夫婦が従姉妹の子であるコットをこれほ>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

2.0

演技未経験で犯罪歴があったり社会にうまく適応できないでいる青少年・少女たちを使ってフィクション映画を撮る…その製作過程を描いたドラマ。初めは広い意味で現場をそのまま撮影したメイキングのようなもの、そ>>続きを読む

大いなる不在(2023年製作の映画)

5.0

幼い頃に自分と母を捨てた父親の、長い長い空白期間を息子が紐解いていく人間ドラマ。この作品ではミステリーのような演出も加わってか、認知症で記憶とともに愛さえ失われていく哀しみ・残酷さが一層切なく胸に迫>>続きを読む

密輸 1970(2023年製作の映画)

5.0

海人さんたちが不漁で密輸に加担したあまり、金品争奪戦に巻き込まれていく韓国製クライム・サスペンス。
海人姐御チュンジャ(キム・ヘス)と真っ直ぐな海人ジンスク(ヨム・ジョンア)の友情と反目を主軸に、
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シャイン(1996年製作の映画)

5.0

ピアニストとしての才能、練習努力の末に手にした大成果と引き換えに彼を襲った精神障害(統合失調感情障害)は、素因もあったかも知れないが鬼のように厳しい父親の養育と指導が引き金となったと見てよいのではな>>続きを読む

クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

5.0

不治の病で余命も限られた女性が、不条理な即死の危機と恐怖に襲われたとき何を思い何を願うのか。テーマもプロットも見事でドラマパートが強くアピールする、よく練られたホラーだった。クワイエット・プレイス前>>続きを読む

フェラーリ(2023年製作の映画)

4.0

愛人とその間に生まれた息子をこよなく愛する一方、妻への愛情はすっかり冷めてはいるがビジネス・パートナーとして縁を切ることができない苦悩。さらに強欲・傲慢な上にかなりの策士であったこと等々、公私両面・>>続きを読む

SALAAR/サラール(2023年製作の映画)

3.0

プラバースの甘くて濃いマスクは充分に堪能できたのでそこはまぁ良し。また彼が演じる主人公デーヴァは正義漢だが残忍で容赦ない成敗っぷりなのがユニークかつ物語上、重要ポイントで目を引いた。ただ「K.G.F>>続きを読む

YOLO 百元の恋(2024年製作の映画)

5.0

彼女はボクシングで何と闘う決意をしたのか。人生ことごとく“負け”を味わい続けてきたローインの再起と挑戦。アプローチは見事なラブコメ・アレンジ。でもやがてはその恋をも伸していく熱いドラマへと舵を切って>>続きを読む

THE MOON(2023年製作の映画)

3.0

シリアスな韓国製SFが日本で公開されるのはかなり珍しく貴重。案の定、人間ドラマ盛り盛りで韓国映画ならではの味付けになっている。災難も重なるがそれ以上にあり得ないご都合主義が次々と重なり突っ込み処満載>>続きを読む

サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

4.0

サントラは今でも愛聴版。久しぶりに鑑賞。荒んだ生活を送りながらも社会の底辺からダンスで這いあがろうと懸命な青年の恋と成長を描いた物語。「ウェスト・サイド・ストーリー」を彷彿させる要素が彼方此方に仕込>>続きを読む

THEWILD 修羅の拳(2023年製作の映画)

4.0

台詞なし・ほぼ映像だけで主人公・元ボクシング選手のウチョル(パク・ソンウン)の心の中を追っていて、ミョンジュとの繋がりが生まれていく過程がとても自然に感じられた。ノワールものとしてここはポイント高い>>続きを読む

沖縄狂想曲(2024年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

沖縄は日本本土(大和)に隷属させられ、その日本はアメリカの属国である、という二重支配構造を実感するのが沖縄の米軍基地問題だろう。琉球王国の併合から始まった沖縄差別。うちなーぐちがヤマトンチュ(大和人>>続きを読む

フィリップ(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ナチス侵攻で大切な人を奪われた者の復讐劇であると同時に戦争ラブ・ロマンスでもある。官能的な上に背徳的な匂いも漂わせ物語の展開もとても刺激的。原作の発禁小説は著者レオポルド・ティルマンドの実体験に基づ>>続きを読む

ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命(2023年製作の映画)

5.0

現在の描写と過去の回想で物語が説かれていくオーソドックスなスタイル。
世間がファシズムに目を瞑り全体主義に押し流されていく中にあって、自分が正しいと思うことを生命の危険も顧みず実行できる奇特な人道
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

5.0

閉ざされた季節と場所、そして解放的なボストン小旅行。偏屈頑固な教師と訳あり生徒。心に深い傷を負った者たちが織りなす交流、衝突と繋がりがとても丁寧に紡がれていた。吐いてもいい心優しい嘘を幾つも見せられ>>続きを読む

ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)

4.0

暫く正体が分からないまま続く恐怖演出が良くて自分には珍しくホラーとして楽しめた。それにD.ファニングが力強いキャラクターを好演していたのも印象に残った。途中、あれ?変だなと感じたところの多くは物語の>>続きを読む

九十歳。何がめでたい(2024年製作の映画)

3.0

うーん…正直なところ期待し過ぎだったようだ。佐藤愛子の同題名エッセイを題材にしてはいるが、その外側も大きく物語に取り込んだフィクションなんだろう。エッセイの方は未読なので勝手に想像するしかないのだが>>続きを読む

オールド・フォックス 11歳の選択(2023年製作の映画)

4.0

清く正しく慎ましく生きていたら夢を叶えることは永久にできないのだろうか。他人を押し除け不幸の淵へ追いやってでも人間は純粋に幸せになれるものなのだろうか。
地主シャの影響を受けて少年リャオジエの心が
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ハロルド・フライのまさかの旅立ち(2023年製作の映画)

5.0

800km近くを一人徒歩で向かう旅。道中、優しい人々の手助けを多く受けながらも次第にボロボロになってサバイバル老人の様相を呈していく。なぜこんな苦行のような旅を自分に科すのか。自宅で気を揉みながら動>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

5.0

老いていくこと自体が孤独そのもの。

残された片親の身の回りの世話をして嫁ぎ遅れそうな娘、その結婚話という小津安二郎監督お馴染みのモチーフ。今作は物語的には愛娘を嫁に送り出す父親の侘しさにフォーカ
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

3.0

松竹の巨匠・小津安二郎が東宝に赴き東宝専属の名俳優勢を使って作った作品とのこと。当時はそれだけでも映画好きには大きなフックになっていただろうことは容易に想像がつく。

物語の中心にあるのは女房を泣
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秋日和(1960年製作の映画)

4.0

「晩春」の父と娘を母と娘に置き換えたような設定。でも「晩春」ほどシリアスではなくコメディ並みに笑わせてくれる演出が良かった。
正直なところ母と娘を並べての女性の品比べが露骨に物語に食い込んでいる
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浮草(1959年製作の映画)

4.0

監督25年前の自作をセルフリメイクした作品とのこと。オリジナル「浮草物語」は未見。結構好みの設定。様々な具材と形で旅芸人と現地の人間との間の色恋を艶っぽく魅せてくれる。また互いを思いやる親子・夫婦の>>続きを読む

お早よう(1959年製作の映画)

5.0

凄く面白い。大いに笑った。住宅地に住むご近所さん6軒のたわいもない家庭の日常を描いたコメディ。子どもたち兄弟が、欲しかったテレビを父親に買ってもらうまでの珍騒動。かなり子ども目線だなと感じた。自分の>>続きを読む