フラワーメイノラカさんの映画レビュー・感想・評価

フラワーメイノラカ

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ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)

3.8

『5時から7時までのクレオ』(1962)のように、死期を宣告された男、ロマン・ブロシャンを静かにカメラが追いかける。

本作は死の三部作のひとつらしいが、『Ricky リッキー』(2009)、『ムース
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

3.5

20世紀フォックスのオープニングクレジットからブライアン・メイのギターが炸裂〜。
聴いただけでその人だとわかる音を鳴らすのがプロのギタリスト…と言ったのはジョニー・マーだったっけ。

ロックが最も華や
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明日への地図を探して(2020年製作の映画)

3.8

久々にAmazonで買い物して気づいたらPrime会員に出戻りさせられてたので観ました。

輝かしい青春を俯瞰視する2人が、自分たちが住む町の"地図"を作ってゆく。
爽やかなだけじゃない、痛みを乗り越
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ホドロフスキーの虹泥棒(1990年製作の映画)

3.8

内容的にも映画史的にも神話となった『エル・トポ』(1970)や『ホーリーマウンテン』(1973)。
イギリスのメジャー資本で撮られた本作は、本質は変わらないまま、メルヒェンのようにとっつきやすい。
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シルバー・スケート(2020年製作の映画)

4.0

ネトフリの推し映画人気ないのツラ…。
まぁサムネがあるだけマシか。

ロシアンUber-Eatsからスケート泥棒に転身した庶民のマトヴェイ。
先進的で理数つよつよお嬢様アリサ。

の、少女漫画チックな
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サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス(1974年製作の映画)

3.5

土星の音楽王サン・ラが地球へ向けたメッセージ。

デヴィッド・ボウイの『地球に落ちてきた男』(1977)に似た、ミュージシャン主演のSF。
本作はまだ60年代の熱狂が残っているし、やはりサン・ラ自ら監
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.0

天も、宇宙全体も、わたしの先祖にみちみちている。
どこに身を隠そう?地獄の闇に逃れようか。
いや、なにを愚かな。あそこでは父上が裁きの壺をささえている。
(ラシーヌ『フェードル』)

地球というひとつ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.8

テーマはシンプルに「自分になる」。
その裏にあるのは「セクシュアリティ、ジェンダーの解放」だったのかも。

同じ貴族で正に王道を征く『KING』(2019)と異なり、本作でティモシー・シャラメが演じる
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ダーク・スター(1974年製作の映画)

3.5

『ホドロフスキーのDUNE』(2013)でタイトルが挙がっていて、すでに観ていたのを思い出した。

カーペンターははじめからカーペンターというか。
彼の荒唐無稽さに加えて、『スペース・バンパイア』(1
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

3.3

製作中止となったホドロフスキーの『DUNE/砂の惑星』。

『風の谷のナウシカ』(1984)を観ることができる私たちにとって、ホドロフスキーとスタッフ達がみせる断片には、はじめ、それほど感銘を受けなか
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キング(2019年製作の映画)

3.8

シェイクスピアの『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』原作。
百年戦争でフランスを制した、ヘンリー五世(ハル)の葛藤を描く。

貴族の優雅な生活はほとんど描かれていない。
マフィア映画のように鬱々とした腹の
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愛は静けさの中に(1986年製作の映画)

3.8

彼女は水の中のナイフのように。

思っていた以上に温かみのある恋愛映画だった。
どう転んでも批判が生まれるであろうテーマだが、教師ジョーンズの目線で誠実に向き合っている。彼はときどき間違いを犯すが、な
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.3

ゴーギャンと出逢って以降のゴッホを描いているけど、まさかのひまわりも肘かけ椅子もメインじゃない。

忙しないカメラが彼の視界を、彼の画特有のうねりを再現する。一方、饒舌な台詞はどこか教科書的に通り過ぎ
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マルコム&マリー(2021年製作の映画)

4.0

映画監督マルコムと恋人マリー。
夜が明けるまで、エゴをぶつけ合う口論。
ジャズをBGMに、映画論を中心とした洒脱な(?)修羅場が剥き出しな、Netflix発の意欲作。

モノクロで撮られたスコセッシ、
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バーバー(2001年製作の映画)

4.0

ただ流されるままに生きてきた、理髪師のエド。
ある日、客として知り合った男が漏らした商談によって、彼の渇いた日常は急速に崩れはじめる。

はじめて観たコーエン兄弟。
ホントに名前しか知らない作家だった
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巴里の空の下セーヌは流れる(1951年製作の映画)

3.8

明るさを取り戻してきた1950年代初頭。
それでも、物語は黒い影を未だ引きずっていた。
大きな、無常な運命に人びとは流されてしまう。
それでもパリの灯りは絶えず輝き続ける。

OPとEDでパリを見下ろ
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.6

陰惨な事件が静かに回顧されていく。
盛り上がりもない。救いもない。
そこにあるのは死の予感だけ。

観ていると思い出す作品が色々あるんだけど、自分の中で一番近いのは若松孝二だった。テロルの季節。

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アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

4.0

破滅するほどに求めた愛。

ヴィクトル・ユゴーの娘アデルの半生を脚色した、命懸けの恋愛ドラマ。

処女作から一貫して自意識の暴走を撮り続けたトリュフォーが、フランス映画の美しき狂気イザベル・アジャーニ
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アス(2019年製作の映画)

3.5

すべてを奪われた地下世界の逆襲。

『ゲット・アウト』(2017)のジョーダン・ピル監督作。
エレミヤ書の引用が恐ろしさを助長しつつ、ほどよく肩の力が抜けたホラーコメディ。
観ていると"名誉白人"なん
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.0

母の遺言で、血生臭く、慈悲のかけらもない紛争の起源を辿っていく双子の姉弟。
すべての謎が収斂する時、悲劇の連鎖を喰い止める糸口が、母の墓石の上に影を落とす。

脚本も自身が書いているということで、本作
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.4

超能力「シャイニング」に目覚めた者たちの戦い。

映画『シャイニング』(1977)にそこまで思い入れがないので、キングに寄った続編もカジュアルに楽しめた。
超能力バトルという感じなので、ホラーを期待し
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Ricky リッキー(2009年製作の映画)

3.8

生まれた赤ん坊が本当の天使だったら?

肩甲骨の名残を残す、痛々しい翼が象徴する家庭の不和と再生。
ハートフルなホームドラマでもファンタジーでもない。
フランソワ・オゾンの悪徳が無邪気に現実を抉る。
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

3.5

汝、隣人を疑い給え。

娘の失踪を巡るサスペンス。
身近に潜む恐怖が感じられてなかなか良かった。
愛ゆえに狂気に駆られるヒュー・ジャックマンがヒートアップするほど、映画の空気は底冷えしていくかのようだ
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パッセンジャー(2016年製作の映画)

3.8

人の一生を凌駕するほどの時間をかけた宇宙移住。
ある種の生まれ変わりを決意したコールドスリープから目覚めた男と女。
個人のささやかな幸福と、途方もないちっぽけな絶望を甘んじて受け入れていく2人。
作家
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ムースの隠遁(2009年製作の映画)

4.0

亡くなった恋人の子を身籠っていたムースは、1人、出産を決意する。
ドラッグも断ち、生に向かうはずだった彼女のベクトルは、恋人の弟との奇妙な同居生活によって静かに揺らいでいく。

巧妙な犯罪のようであり
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複製された男(2013年製作の映画)

3.3

大学教授と端役の俳優。
まるで並行世界の自分のような存在と出逢った2人。
毎日に行き詰まりを感じはじめた彼らは、日々の不安を話し合うように、人生の代替を試みる。

"『嗤う分身』(2013)とほとんど
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.8

監督がインタビューで答えているように、現代に撮られた西部劇は、かつてのスタンダードの形をしていない。
人種差別の問題だけではない。銃社会を裏づける神話、という暗い面にも相対する必然がある。

私はメデ
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真空地帯(1952年製作の映画)

2.8

現代人だからか、はたまた映画の悪影響なのか。
兵営には、刑務所との違いがわからないくらい横暴なイメージがある。

同じ戦後派の原作で撮られた『野火』(1959)に近い、どこか間の抜けた演出。
先述の理
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.0

女性捜査官の視点を織り交ぜることで、『トラフィック』(2000)+『羊たちの沈黙』(1990)といった佇まい。
メキシコの麻薬カクテルを巡る善悪の彼岸ーー"ボーダーライン"を捉えた映画。

エミリー・
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

3.5

駅前のTSUTAYAでチンピラが彼女に

「おまっwwベンジャミン ・バトンも知らないのお🤪!?」

と煽ってるのを聞いて、かれこれ10年以上も観る気を失くしていた作品です。

フィッツジェラルドの短
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デッドゾーン(1983年製作の映画)

3.5

生死の境を彷徨ったことで、通常では感知できない"死角<デッド・ゾーン>"を獲得した男。
未来予知や読心術を善行に用いて救世主と崇められる一方、彼個人の人生はその役割に侵蝕されていく。

クローネンバー
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.8

突然現れた異星人の正体は、カントかハイデガーか。
認識論めいた哲学を巡るコミュニケーション。
謎の殻は12使徒として、地球上の人類にメッセージを語りつづけていた。

哲学には明るくないので、ベルクソン
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ゴンドラ(1987年製作の映画)

3.8

都市の中でゆっくりと墜落していく男と、内省する心の翼をもがれる少女。
白昼夢のような出会いは、お互いの心傷を静かに癒していく。

ATGと80・90年代アニメを繋ぐような作風は、フラジャイルな揺らぎを
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.0

『ブレードランナー』(1982)から35年。
正当の続篇として世界観はそのままに、より痛ましい廃墟としての現実を反映する。
原作のエッセンスを強めた、ポスト・アポカリプス時代を象徴する傑作。

新作待
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二十一世紀の起源(2000年製作の映画)

3.8

JLGは映画の中から世界を見つめる。

世界そのものをひとつの人格とするならば、現実に見える世界(社会)は身体を担う。
そこから魂を盗んだのが映画だ。魂は社会と相反する個人と同義となっている。

映画
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エリサ&マルセラ(2019年製作の映画)

4.5

なんでこんなに陽の目を浴びてないのか不思議なくらいの傑作。

近年同性愛を扱った映画が増えてきた。
このムーブメントは必然のように感じるが、残念ながら観客の目も制作者の手捌きも、ほとんどが不自然にセク
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