かっつうさんの映画レビュー・感想・評価

かっつう

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もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)

3.5

主人公の女性は、前半ほとんどのシーンで半裸の様な服装をしている。
多少のこじつけを許してもらえるのであれば、彼女のこころの曖昧さを表しているようにみえる。
こころは裸になれるのだろうか?
それは二人で
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.7

日常は繰り返す。
いや、繰り返すから日常なのだ。
テレビから流れる世界のニュースも日常の前を過ぎて行く。

しかしその日常が、突然壊れてしまうかも知れないというトラウマと共に
生きるのも、また日常だ。
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

ノマド生活をおくる初老の女性と「渡される石」の物語。

石とは何だろう。死期の迫った女性も親しくなった男性も石にまつわるエピソードを
作り出す。
石には時間が閉じ込められ、その時間には人の想念も閉じ込
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幻影の彼方(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画もまた「不在」のドラマである。
そして極端な言い方をするならば、このドラマそのものが全て誰かの幻影であるのかも知れないと思えるほどなのである。
ドラマは描かれない重要な2つのエピソードに沿って
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さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

4.2

それ相応の時間をスクリーンやTV、PCの前で過ごすことで、私たちはいとも簡単に映画やドラマを観たなどと言ってしまう。
そこで改めて何を観たのかと問われれば、答えることはなかなか難しくも感じられます。ス
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誰かの幸せ(2020年製作の映画)

3.8

主人公はわたし、あるいは私たち。
たとえそれが嫌な自分を見せられることになったとしても、感情移入することが映画やドラマを鑑賞する体験であるなら、むしろ次から次に色々なことに挑戦し挫折する友達夫婦の方に
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タルーラ 彼女たちの事情(2016年製作の映画)

4.1

早めに愛を失った主人公が虚構の家族と愛を育み、実の家族が自分達の愛のありかを探す物語。
どんなに金持ちでも、どんなに高価なものをたくさん持っていても、何も持たない主人公よりも充実感を持てない。
(おそ
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聖なる証(2022年製作の映画)

3.1

原題は“The Wonder“。
ただ、Wonderなのは途中まででひたすら生真面目な看護師さんが問題解決にあたる。
もし拒食の少女が子羊に見えたなら、アマプラの“LAMB“と題名を交換しても良かった
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ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

どんなドラマにおいても、ましてやミステリーではなおさら、「偶然」が物語のキーになることは極力避けなければならないことの一つだろう。
「偶然」は作り手の意図に関わらず、安易さの衣装をまとってしまう。
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

作品冒頭、主人公は愛車フェラーリを過剰に爆走させている。
家庭や自身の生活についてはいろいろ問題を抱えながらも、
社会的には役者として成功しているように見える彼の、
娘との日常を映画は淡々と描いてゆく
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.8

シナリオの教科書であるとでも言いたくなるのような作品でした。
シナリオっていうのは、こういうふうに書くのよとソフィアが言ってたかどうかは知りませんが、ストーリーの主軸となる夫の浮気疑惑の追及のドタバタ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.7

古くからの伝説や民話あるいは童話などでも「不在」や「喪失」、「欠如」そのものが物語の主題であることは多くあるだろう。このドラマでもすでに亡くなった人や亡くなる人が多く登場?するし、あるいは声を発せられ>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.3

そのむかし、ヴィム・ヴェンダースの「パリ、テキサス」をみて数ヶ月経った頃、ナターシャ・キンスキーの顔とともに映画の中に流れていた時間の感覚が蘇ってきた時、「映画を見ることは身体の中にその映画の時間を溜>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.0

映画的に組み立てられ、鮮やかに並べられた因果律の前に、人は無気力に人生をやり過ごしていかなければならないのだろうか?
不幸に見舞われた家庭に生まれた子供は不幸な出来事に巻き込まれ、改めて不幸な家庭に生
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