平太郎さんの映画レビュー・感想・評価

平太郎

平太郎

国宝(2025年製作の映画)

4.0

配信で最近観た「悪人」が良かったので、同じ李相日+吉田修一コンビの本作を鑑賞。
歌舞伎のことはほとんど知らないが、吉沢亮と横浜流星の鬼気迫る歌舞伎の演技は素晴らしかった。長尺だが、退屈することもなかっ
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

3.5

ラブコメディもしくはスクリューボール・コメディの始祖的な作品。
個人的にヒロインのエリーに魅力を感じることが出来ず、イマイチな印象。
若き日のクラーク・ゲーブルは良かった。

悪人(2010年製作の映画)

4.1

原作が好き過ぎて観ることをためらっていたが、この度、配信でようやく鑑賞。
妻夫木聡、演技上手いなぁ、満島ひかりと岡田将生のクズっぷりも良いなぁ、樹木希林はやっぱり唯一無二の存在だな、などと思いながら観
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隣の家の少女(2007年製作の映画)

3.4

胸糞耐性はある方だが、結構キツかった。
実話を基に書かれた原作を映画化したものだが、主人公ディビッドのような立ち位置の人物は実際はいなかったらしい。現実の方がより救いがないという事実を知って、さらに嫌
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.8

例えとしては良くないが、飼い主に虐待されながらも尻尾を振っているバカ犬を見たときの哀しさに似た印象が残った。
映画的な嘘(矛盾)が気にならないわけでは無いが、アメリカンニューシネマの名作となっていても
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愚行録(2017年製作の映画)

4.0

直接的な描写はなくてもノワールは成立するということを証明した作品。なかなかの胸糞で、心がゾワゾワさせられた。
オープニングの主人公のバス車中でのちょっと嫌な感じのエピソードって、必要だったのかと途中ま
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

3.4

30年ほど前、「アブノーマル」というタイトルでレンタルビデオ屋に置かれていた。ラップ猫のシーンのインパクトが強くて、強烈に記憶に残っている。
タイトルが違っていたので最初は分からなかったが本編が始まっ
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おちゃのじかんにきたとら(2019年製作の映画)

3.4

子供が小さい頃、本作の絵本を持っていて、懐かしくなって思わず鑑賞した。
主人公家族の寛大さとポジティブな思考に、幸せに生きるヒントを教えられた(ような気がした)。

凶気の桜(2002年製作の映画)

3.4

偏った思想であっても山口二矢くらい突き抜けた人間なら共感できる部分もあるが、本作の登場人物は所詮、暴力団まがいの街宣右翼に憧れるファッション右翼でしかない半端者。結局は多くのチンピラと同様により強大な>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.9

アフリカから来た難民ボートの中で知り合ったトリとロキタ。ベルギーに辿りついた二人は偽りの姉弟として寄り添い、ドラッグの運び屋や売春などに手を染めながら力を合わせ必死に生きている。悪い大人に搾取され続け>>続きを読む

ビーキーパー(2024年製作の映画)

3.6

ジェイソン・ステイサム無双、気分爽快ムービー。たまに観たくなるタイプの作品。
続編を作る予定だと聞いたが、惜しまれながら1作で終了、ってくらいでちょうど良いのに、と思う。

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.2

キングの原作の世界観にキューブリックの映画をむりやり接続したようなチグハグな印象をうけた。
どこから武装した助っ人たちを短時間で集めたのかとか、スターウォーズっぽい師弟関係とか、ツッコミどころも多い。
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桜桃の味(1997年製作の映画)

3.3

多額の報酬と引き換えに自殺幇助というか、自殺した自分に土をかけてくれる人を探す男。前払いした金を持ち逃げしない真面目な人間を探すが、そういうまともな人は最初からそんな仕事を引き受ける訳もなく断られるが>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.9

内乱が始まったソマリアから韓国の大使館員が命懸けで脱出する姿を描いたサスペンスアクション。実話を基にしているそうで、なかなか見応えがあった。敵対している北朝鮮と協力しての脱出劇は嘘みたいな本当の話らし>>続きを読む

ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

3.9

民族間の対立で起こる悲劇を描いた三部構成の作品。三部の終わりが一部の始まりにつながっていて、悲しみの連鎖を表現するために全体がメビウスの輪のような構造になっている。
二部の主人公であるアンが未来で起こ
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あん(2015年製作の映画)

4.0

樹木希林無双。彼女が演じた徳江の実存感が凄まじかった。あらためて唯一無二の存在だったんだと感じた。
ハンセン病に関しては報道で名前くらいは知っていたが、本作を観るまでどういう病気か知らなかったし、正直
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室町無頼(2024年製作の映画)

4.0

原作小説は未読。リアリティ路線ではなく、エンタメ寄りの歴史活劇という印象。
黒澤作品のオマージュともとれる側面もあるが、人物設定やストーリーラインはマカロニウエスタンの影響を強く感じた。それを証明する
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パディントン 2(2017年製作の映画)

3.8

「マッシブタレント」でニコラス・ケイジが本作を観て号泣していたのが印象的だったが、ネタ抜きで本当によく出来た作品だと思う。
前作よりもかなりスケールアップされ、エンタメ度もそれに伴いさらに向上。
伏線
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パディントン(2014年製作の映画)

3.6

イギリスの児童文学をもとに作られたファミリームービー。全年齢向け作品なので毒っけはまったくないが、大人が見ても退屈することはなく、笑いやスリルのバランスが良くかなり楽しめた。
隣人のカリーさん役の人が
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侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

3.8

「カメラをとめるな」と同じように口コミで評判になっていった作品なので、「カメラ…」の様なアイデア勝負のトリッキーな映画を予想していたが、至極まっすぐで王道的なつくりに驚かされた。
正直、台詞まわしの不
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エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)

3.7

再鑑賞。
エイリアンシリーズというより「プロメテウス」の続編。エイリアンの世界観でブレードランナーをやっているイメージで、良い意味でいかにもリドリー・スコット的。
デヴィッドの暴走による悪夢的なラスト
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プロメテウス(2012年製作の映画)

3.6

再鑑賞。
世間の評価は低いが、個人的には好きな作品。細かいツッコミどころは多いが、それを補って余りあるリドリー・スコットならではの魅力がある。ただ、何故かストーリーを理解する上で結構重要な部分がいくつ
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バービー(2023年製作の映画)

3.1

例の炎上騒動で本作にあまり良いイメージがなかったけど、そういう先入観を抜きにしても正直楽しめなかった。鑑賞中、やんわりと説教されているような感覚がずっと続いた。
印象に残ったのはマーゴット・ロビーとエ
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.2

ナワリヌイの命懸けの活動でプーチンの悪行の証拠が本作でこれだけ表示されているにも関わらず、現状何も変わっていない事に絶望にも近い無情を感じる。
プーチン擁護派の人全員が観るべき作品だと思う。

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

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ロシアのウクライナ侵攻からマリウポリ壊滅までの20日間を描いたドキュメンタリー。
ドキュメンタリーといっても編集という映像作品の性格上、制作者の主観が入っているのは承知しているが、それを差し引いても、
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息子の部屋(2001年製作の映画)

3.9

家族の喪失と再生の物語。前半の仲良し家族の描き方や精神科医としてのカウンセリング風景など若干過剰気味な演出に引っかかる部分はあったが、息子アンドレアの事故以降の流れは完璧だと感じた。
ラスト、フランス
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親愛なる日記 レストア版(1993年製作の映画)

3.4

モレッティのドキュメンタリー風ゆるゆるドラマ。
いったい何を見せられているのか、と思いながら最後まで結構楽しめてしまう不思議。

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

3.5

70年代という時代設定が“時代が悪かったから仕方ない“という言い訳になりそうで、何かモヤモヤした気持ちになってしまった。
関係ないけど、主人公のルディのことを途中までロバート・ダウニー・Jrだと思い込
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破墓/パミョ(2022年製作の映画)

3.4

日本統治下の測量による鉄杭に関する都市伝説をもとにしたホラー作品。
重葬が発覚するまでは面白かったが、その後はやたら説明的で興ざめした。「哭声」や「女神の継承」みたいな謎を残したままの得体の知れない怖
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マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

3.5

「ドリームシナリオ」と同じくニコラス・ケイジいじり系の作品だが、こちらの方がリスペクトや愛情を感じる。と、いうかニコラス・ケイジファンムービーといった趣までする。過去の出演作の引用もたまらないし、ペド>>続きを読む

ファミリー・ディナー(2022年製作の映画)

3.3

兎の解体シーンが本作のハイライト。雰囲気は良いのだが、何かが足らない感じ。言語化するのは難しいが、絶望感も恐怖感もあまり強くは感じれなかった。宗教観の違いが大きいのかもしれない。

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.6

人体破壊系のホラー作品なので、見る人を選ぶが、個人的には楽しめた。
「ファイナル・ディスティネーション」シリーズを彷彿させるような集団パニックシーン+個別殺戮シーンの組み合わせだが、そのバリエーション
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ベテラン(2015年製作の映画)

3.8

ファン・ジョンミンのご陽気コメディだと思って観ていたら、ある胸糞悪いシーンをきっかけにシリアスな展開に…。
大財閥の御曹司を演じたユ・アインの悪役っぷりが素晴らしかった。これほどリアルに憎らしいと思え
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陪審員2番(2024年製作の映画)

4.5

クリント・イーストウッドの生涯のテーマとも言うべき「人は人を裁けるか」を題材にした法廷スリラー。
「12人の怒れる男」の現代版といった印象で、自己保身と正義の狭間で揺らめく主人公の描き方が秀逸。無駄な
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謝肉祭まで(2021年製作の映画)

3.4

謝肉祭までの一週間、選ばれた三人の神の三者三様を描いた作品。三人のうち二人は自らの死と引き換えに民に幸福をもたらす名誉を手に入れ、残りの一人は不名誉な生き残りを強いられる。何となく先の大戦で国を守るた>>続きを読む

日本の悪霊(1970年製作の映画)

3.3

日本版「罪と罰」と評された原作を簡略化し映画的エンタメに再構築した後、ATG作品として味つけされたような印象。
説明的な台詞まわし、軽すぎるヤクザの描写、時折挿入される岡林信康のオフビートな使い方など
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