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ワイルダーチャンドラー間の軋轢のせいなのか、個人的には世間の評価ほどには残念ながら響かなかった。ナレーションの極端な修辞がうまくはまっていないストーリーラインを強引になめらかに舐めそうとしている誤魔化>>続きを読む
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真面目に分析すると、同じエド・ゲインモチーフのヒッチコック「サイコ」からインスピレーションを受けただろう点が多く見られる。家に入るとすぐ階段、屍体化している親世代がある種の謎の信仰の対象になっているこ>>続きを読む
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監督2本目でこれかという驚き。
「反ユダヤを告発する本を書くために6ヶ月ユダヤ人のふりをする」社会派ド直球の題材ではあるが、面白いのはユダヤ人というロール(役柄)を自己の人生として「演じ直す」ことで、>>続きを読む
フィルムノワールと言われる一群のきっかけ的な作品。犯罪映画でありサスペンスであり嘘に嘘を塗り重ねて複層化させる脚本の妙味がすでにみられる。一年前のロバート・シオドマク監督の「殺人者」はこれよりもさらに>>続きを読む
当時の時代を考えて仕方がないけど、スプラッター部分、殺害部分などが全く映らないのでむしろ血を隠すカメラじゃないかという感じがあるものの、見れば見るほどメタ的な含みのある映画のように思える。
繰り返し現>>続きを読む
まさにフィルムノワールっぽい作り。冒頭の二人の暗殺者が田舎町にやってきて、ごく普通の人間だと思われていた人間が闇の組織の一員であった、という件はまんまクローネンバーグの「ヒストリー・オブ・バイオレンス>>続きを読む
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1940年にすでにラブコメとして完成してる、一見意地悪に見える人が親切で、親切に見える人が絶望していて、くだらない人生を生きながら経済状況のなかでそれぞれ家族の温かさに飢えていて、さすがルビッチ先生。>>続きを読む
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文句のつけようのない傑作。
ユゴーのレ・ミゼラブルのように組織と人、貧困と良心など極めて素朴で骨太な題材の中、ウォーターフロントの霧がかって薄汚れた風景がそれを過酷に包み込む。ジガ・ヴェルトフの弟ボリ>>続きを読む
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ローズバッドが出てくるように「市民ケーン」を意識した作りではないかと感じた。市民ケーンでは誰にもよく知られた成功者が、記憶の中では誰にもわからない喪失感を抱えながら生き続けひっそり死んでいく、その真相>>続きを読む
法廷劇としては12人の怒れる男などの方が証言や証拠の覆り具合などはよりスマートで上手いと感じるけれど、事件の背後に隠されている人間のサガや悲しみに関してはアガサ・クリスティに勝るものは結局ないんだなと>>続きを読む
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ハードボイルドの傑作、フィルムノワールの代表と言われる。渋い雰囲気にポランスキー特有の鈍重な展開。画面内で派手な動きはなかなか起きないのだが常に画面に不穏な空気が漂い見えない場所で進行している悪の気配>>続きを読む
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テレビの歴史ものでは味わえない、説明としての歴史ではなく、体験としての歴史。冒頭は白黒の資料映像風に始まるが、戦場に到着すると同時に画角がスーッとゆっくり全画面となる。観客に対して、さて始まりますよあ>>続きを読む