味噌煮込みコアラさんの映画レビュー・感想・評価

味噌煮込みコアラ

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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.2

原作どころか何も知らずに鑑賞。日常化する渋谷上空の巨大宇宙船と女子高生の友情という取り合わせの不思議な違和感

いじめなど不穏な日常世界も見せながら予測不能の展開。正義の意味さえ問いかけられる

今年
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ふたりのマエストロ(2022年製作の映画)

3.5

父親に届いたスカラ座の音楽監督就任オファー。父親は有頂天だが、それは精鋭の指揮者である息子宛の誤報だったというプロット

音楽シーンが豊富。悪い映画ではないが、ラストが悪い予感通りで、若干トホホな展開
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

4.4

名古屋シネマスコーレを舞台に1982年から4年間の映画人たちをいきいきと描く群像劇

豪放の中に繊細な優しさを見せる若松孝二を井浦新が好演。芋生悠も良い

個人的には今年度暫定1位か2位の傑作

#映
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海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版(1998年製作の映画)

4.3

生涯、船から降りなかった天才ピアニストの寓話

トルナトーレとモリコーネが創った映像と音楽の魔法

「彼女」に歓声を上げる冒頭からスクリーンに吸い込まれる。これぞ、映画の夢!
28日までどこかで上映中
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.0

認知症を患った90歳のアウシュビッツの生存者。家族を殺したナチス兵士への復讐の旅。容疑者は4人

驚愕の事実に辿り着くまでの緊張の90分。トラップ大佐役で有名なC.プラマーが好演

お勧めのサスペンス
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.0

37年前、封切りで見たときは爆睡。還暦過ぎて、この映画の美しさがわかった

心地よく響くドイツ語の詩、統一前の荒涼としたポツダム広場を始めとするベルリンの風景、本人役で登場するP.フォークの存在感
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

これほど優しい映画は見たことがない
安っぽさも、説教臭さも感じずに、素直に「いい映画を見た」と思えたのは上白石と松村の演技、自然な映像とプロット、静かで単調な音楽

長く続きそうな心地よい余韻。映画館
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

評価が分かれるカンヌ最高賞受賞作。個人的には◎

ミステリーとして見ると肩透かし。法廷を舞台にした濃密な家族ドラマ。だんだんと明らかにされる夫婦の複雑な関係のプロットが見事

緊張感溢れる2時間半。う
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.1

「老い」の中で亡霊化する記憶。静謐な映像と暗転。映画の中で描かれる映画は再生の手段になるか?57歳のアナの印象的なひと言

秀逸な冒頭から希望が淡く浮かぶラストまで3時間近くの映画の旅。映画館で見るべ
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.0

目が覚めるような傑作!ノンストップの緊張感。切断される首、手足、噴出する血液。連続する国旗、黒、赤、SOSのモールス信号。「ガロ」を彷彿させる懐かしい絵と色彩。これ以上のラストはたぶんない。ぜひ映画館>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.3

19世紀デンマーク寒村。大なり小なり心に葛藤と悔恨を持つ人々にふるまわれる極上の料理。計算され尽くした人物配置とプロットと風景。個人的に理解したのは宗教と食事の快楽の調和。
映画館で見られたことに感謝
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劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

3.6

誰でも楽しめる長編娯楽漫画映画の傑作と言って良いと思う。
偽装家族という決して明るい設定ではないのに、これだけ楽しめるアニメができたのはアーニャなど登場人物のはちゃめちゃぶりか。子供騙しのような、リア
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.6

免停寸前で金欠のタクシードライバーと乗客の老婦人の1日を描く仏映画。目的地は老婦人が入居する介護施設。彼女の頼みで寄り道をするうちに波乱の人生が明らかに。シンプルな物語だが、2人の会話の機微、パリの風>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

あまり若くはない貧しい男女の出会い。ラジオから流れるウクライナのニュースと音楽。寂れたカラオケ屋での風景。淡々と綴られる凡庸な日常と展開。82分間の夢のような映画の旅。エンドロールで目頭が熱くなったの>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

家族と商売にトラブルを抱えた中年女性がメタバースの戦士になるという荒唐無稽の物語。80年代スターの出演、凄まじい情報量と混沌、映画の熱量。終盤の30分でやっと良さがわかった大ヒット作
#家で観た新作
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.1

19世紀西部開拓期のオレゴン州。流れ者の料理人と中国人の出会いと友情。村にやって来た初めての牛=富の象徴を見つめる料理人と膨らむ夢。スリリングなビジネス。暗めの画面に煽られる不安と突然のラスト。地道な>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.7

兄弟以上に仲の良い2人の少年。クラスメイトの無邪気だけど残酷な揶揄。突然訪れる悲劇。映画はその後の日常、母親の悲しみと怒り、少年の罪悪感を最小限未満の説明で描く。
美しい画面と出演者の表情。一体何が起
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.4

モスクワからムルマンスクまで2,000キロ。寝台車の中で出会った相性最悪の男女の奇妙な恋愛劇。微妙な距離感の中で深まる親密度。小さな物語展開の中で感じる映画の快感。最後は貰い泣きならぬ「貰い笑い」。こ>>続きを読む

カサンドラ・クロス(1976年製作の映画)

3.9

年末年始に半世紀前のオールスター娯楽超大作を持ってくるとは流石ゴゼ10😆
コロナ禍を経験した我々としては、ツッコミどころ満載。それでも面白くてあっという間の2時間超。
1月4日までどこかで上映中。
#
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

実感として思ったのは、映画が音と娯楽性を伴った視覚的芸術であること。
秀逸な題名、平山のルーティンの描写、都内を移動する風景、文庫本、アニマルズやルー•リードの音楽、ピースで咽せるおかしさ、最後の長回
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.1

期待を遥かに超える面白さ!
ミステリー、ホラー、残酷、バディもの等色々な要素を含むPG12アニメ。鬼太郎の誕生の物語は奇想天外だが納得の展開。
土曜の夜の映画館は満席。殆どが女子なのは不思議。何が刺さ
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ほかげ(2023年製作の映画)

4.4

今年収穫の1本。
闇市を舞台に戦争を重く引き摺っている人々を描く。暗い映像、効果音に不安を覚える。憑依したような趣里の演技がすごい。終盤、少年に叫ぶ言葉は心を打つが、救いはあるのか?余韻がこれからも残
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東京物語(1953年製作の映画)

4.5

何度見ても、傑作であることを再認識。
両親の心情と孤独、子供たちの立場の交錯を計算され尽くした映像で表現
戦争未亡人となった次男の嫁(原節子)が語る本心、様々な思いの詰まった笠智衆のため息
映画監督が
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.3

妻に先立たれた初老の父親と婚期を迎えた娘との交流を、孤独や死の予感を絡ませながら描いた小津の遺作。
笠智衆、岩下志麻だけでなく、チョイ役の加藤大介、岸田今日子が良い。
明るさも暗さもある総天然色の佳品
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.4

R.スコット監督、H.フェニックスとV.カービー、巨額の製作費とアウステルリッツの氷上シーン等の大スペクタクル
久々の史劇超大作だが、波瀾万丈の生涯、愛憎劇を詰め込むのに2時間半は短い。英語を話すナポ
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それから(1985年製作の映画)

4.1

初見。
漱石の世界が思いがけない色彩映像で表現されていることに戸惑いすら覚えた。松田、藤谷、小林の迫真の演技で原作にはない緊張感を生む。
俳優の動き、台詞の間(ま)の素晴らしさは素人でもわかる。特に終
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シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.0

7年前に劇場で見たときは満員の観客が割れんばかりの拍手。家で見てもやはり傑作。
前半はお役所への風刺劇、後半はチームワークを中心としたお仕事ドラマ。「-1」が庶民中心だが、「シン」はエリート群像劇の面
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

3.8

まずは特定の地域をディスっても洒落で済んでしまう国に生まれた幸福に感謝。
練られた脚本を有名俳優が真面目に演じると入場料以上の満足感が得られるというお手本のような異色娯楽喜劇映画。
あの施設をオチに使
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.4

圧倒的なVFX、足音、伊福部昭の音楽。
一般庶民の苦悩を描き、「シン・ゴジラ」とは違う魅力を持つ娯楽映画の傑作。
先の読めてしまう脚本も許せてしまうのは、神木、浜辺、青木等の演技とゴジラの恐怖。恥ずか
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.5

見るたびに傑作であることを再認識。ベトナム帰りの不眠症のドライバーが走る暗闇のマンハッタン。幻想的な風景と音楽。鬱積した日常と空回り。終盤の展開のスピード感。スコセッシの演出、シュレイダーの脚本、デ・>>続きを読む

ファイブヘッド・ジョーズ(2017年製作の映画)

2.9

10数年ぶりに風邪を引いてしまいました。することがないので、気晴らしにサメ映画🦈。4つの頭を持つサメ。題名、嘘じゃんと思っていたら尻尾もサメ。オイオイの展開。余計に熱が出た🤧
#家で観た #UNEXT

アリスの恋(1974年製作の映画)

4.0

スコセッシの日本初公開作品、アカデミー主演女優賞、75年キネ旬3位。その割にはさほど注目されていない隠れた傑作。恋多き35歳の未亡人とクソ生意気な息子の悲喜劇的な日常。親子愛、友情、恋愛の描き方が秀逸>>続きを読む

蒲田行進曲(1982年製作の映画)

4.2

「映画の三要素"泣く、笑う、(手に汗を)にぎる"の三拍子が揃った」と深作監督が自負した傑作。守るべきものができた人間の幸せと苦しみを体当たりで演じた平田満の最後の笑顔は何度見ても泣ける。これ以上ないく>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.2

米国の闇歴史を描く今年収穫の1本。デカプリオの愚かさ、デニーロの邪悪さ、グラッドストーンの高貴さに目を見張る。重厚かつ単純な音楽は神経を逆撫でする。休憩なしの3時間半、席を立った観客はゼロという傑作。>>続きを読む

海外特派員(1940年製作の映画)

3.8

英仏の戦線布告前夜を扱ったヒッチコックのハリウッド2作目。素直に面白い。スピード感、ユーモア、騙し合い、ロマンス、サスペンス、そして最後のスペクタクルシーンなどが詰まった娯楽映画のお手本のような映画。>>続きを読む

馬鹿が戦車(タンク)でやって来る(1964年製作の映画)

3.9

寅さんより5年前の山田洋次監督作品。題名と出演者の面々からドタコメのつもりで見たが、中身はけっこうシリアス。犬塚弘他助演者の演技のすごさ、岩下志麻のかわいらしさが印象的。後味は悪いが、妙に心に残りそう>>続きを読む

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