味噌煮込みコアラさんの映画レビュー・感想・評価

味噌煮込みコアラ

味噌煮込みコアラ

映画(133)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.2

25年前から全く色褪せないカッコ良さ、暴力、音楽、軽妙なカット切替、そして大量の流血を伴う痛さ。真似のできないめちゃくちゃで異常なプロット。これほど引きこまれる映画は稀。見ていない人は幸せ。ただし、眠>>続きを読む

きみの色(2024年製作の映画)

4.1

人が「色」で見えるという高校生。優しい色彩、音楽、映像が、切なさを伴う曖昧さ、不思議な多幸感を生み出す。成長譚ではなく、わかりにくい作品ではあるが、妙に刺さった。もう一度見たくなりそうな今年度アニメ、>>続きを読む

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.9

冒頭の独白から映画の不穏さにのめり込んだ。音の暴力。多くの人を不安にさせそうな色彩と白黒の画面。覚めて欲しくない「悪夢」があるなら、この映画のことを言うのだろう。お勧めはできないけど、また見たい不思議>>続きを読む

温泉シャーク(2024年製作の映画)

3.6

温泉町暑海を襲うサメの大群。明らかな低予算映画なのに、自衛隊、米軍、総理大臣、高機能メカも登場するサービスの良さ。意外に論理的で難解なストーリー。微笑ましい熱海市民エキストラ。手作り感が強く、いい意味>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

4.1

アウシュビッツ収容所所長ヘスを主人公とした異様なホームドラマ。
奇抜な設定、冒頭の暗闇と不穏な音楽、美しい庭園と邸宅、収容所から聞こえる叫びと銃声、立ち上がる煙。これほど不安を与える映画は稀。異常が日
>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

4.3

明白な問題提起もなく映画が淡々と綴るのは「あん」のことのみ。見えてくるのは社会的セーフティネットの脆さと善、正義の限界、過ちとの関係。河合優美が素晴らしい。昨年の『ほかげ』の趣里に匹敵すると思う。辛い>>続きを読む

クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

3.5

音を立てたら即死というシリーズの前日譚。マンハッタンを舞台にしたホラーSF超大作を期待したが、ロードムービー的要素が強く、中途半端な感じも。ただ、主人公の飼い猫の表情と動きが不満を解消してくれた。猫好>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.1

米国版学園人情喜劇映画で今年度収穫の1本。不器用な嫌われ教師、悪ガキ、ベトナム戦争で息子を失くした料理長。教師役のジアマッティ、優しくおかしく展開する脚本が上手い。観客から漏れる笑い声を聞くために映画>>続きを読む

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.3

148分の文字通りの手に汗握るノンストップアクションムービー。全編に流れるのは怒り、暴力、復讐。しかし、鑑賞後には不思議と心地よい憔悴。凄すぎた前作には及ばないが、79歳の監督が撮った十分以上に凄い映>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

4.3

新垣結衣の静的な表情と終盤の穏やかな笑顔。早瀬憩の目の離せない一挙一動。とにかく主演の2人が良い。行き違いの会話、接近しそうで近づけない関係はむしろ自然で心地よい。淡々と進む物語だが、ラストでは涙が止>>続きを読む

薔薇の名前(1986年製作の映画)

4.1

エーコの膨大な歴史小説を1本の探偵娯楽映画にした脚本と監督の手腕に喝采👏

14世紀北イタリア修道院の不穏な雰囲気を膨大なセット、繊細な小道具、登場人物の異常な言動で表現。コネリーとスレーターの師弟関
>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章(2024年製作の映画)

4.0

前章での新鮮さは薄れたが、やはり傑作

人類の危機と女子の青春という違和感だらけのプロットを絡ませて、全く安っぽくなく、前期高齢者すらも涙ぐませてしまうのは、斬新な映像と声優の演技。残虐表現に注意
>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

3.8

奇想天外な物語を洒落たコメディに仕上げたF.オゾンの脚本と演出が見事。

舞台となる30年代のパリ郊外の情景が美しい。主人公の女優と弁護士がかわいく、ウイットに富んだ会話も昔のフランス映画を彷彿とさせ
>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

4.0

人情噺『柳田格之進』を基に、実直すぎる武士の覚悟を描く

陰影のある自然な映像、役者の表情、江戸市井の情景、囲碁の勝負シーンが素晴らしい

いい映画を見たという開放感。完成度の高い、お勧めの娯楽時代劇
>>続きを読む

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

4.1

時速80キロ以下になったら爆発する爆弾を載せて突っ走るひかり。あまりにもどストライクな題名、計算されたプロット、滲み出る昭和

国鉄の協力一切なしで完成したパニック映画の大傑作

大好きな映画。これを
>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.7

とにかく映像に圧倒される怪獣娯楽映画の傑作

受け入れやすい単純なプロット。「vs」でなく「x」なのがミソ。ただ、伊福部昭の音楽がないのが残念。モスラは節足動物要素が強すぎる

入場料払って見ても、損
>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.4

長回しの美しいカメラワーク、どこにでもある諦めを背景にした対話と矛盾、単純なプロットに対して戸惑いを覚えるラストとタイトル

観客への濱口監督の挑戦?誰かと話したくなる稀有な作品。喫煙シーンと黛さん役
>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.4

独立戦争時のイタリア。絶大なキリスト教権力に翻弄されるユダヤ人家族

「洗礼」を巡るミステリーを美しい映像と音楽で表現する。ラストまで緊張感が続く歴史劇の傑作。今年度個人的外国映画ベスト(暫定)

#
>>続きを読む

ルー、パリで生まれた猫(2023年製作の映画)

3.4

プロット展開や結末に違和感はあるが、キジトラ猫のかわいらしさでご破算にしてしまおうという魂胆😅

最後に「動物を傷つけていない」というテロップは出るがルーへの負担が少し心配

#映画館で見た
#阿佐ヶ
>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.6

「鉄の爪」フォン•エリック一家の伝記的映画。父親のエゴと従順な4人の息子たちの栄光と悲劇

リアルな格闘シーンと本気の演技。不幸が連続して襲いかかるが、ラストシーンで救われる。良くできた作品。ただ、個
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

ソ連スパイ疑惑を巡る公聴会と、「原爆の父」の生涯と苦悩を交互に描く構成の妙、突き刺さるような音響と映像が生む緊張感溢れる3時間

「一食抜いても是非!」としか言いようのない傑作。

#映画館で見た
#
>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.2

原作どころか何も知らずに鑑賞。日常化する渋谷上空の巨大宇宙船と女子高生の友情という取り合わせの不思議な違和感

いじめなど不穏な日常世界も見せながら予測不能の展開。正義の意味さえ問いかけられる

今年
>>続きを読む

ふたりのマエストロ(2022年製作の映画)

3.5

父親に届いたスカラ座の音楽監督就任オファー。父親は有頂天だが、それは精鋭の指揮者である息子宛の誤報だったというプロット

音楽シーンが豊富。悪い映画ではないが、ラストが悪い予感通りで、若干トホホな展開
>>続きを読む

青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

4.4

名古屋シネマスコーレを舞台に1982年から4年間の映画人たちをいきいきと描く群像劇

豪放の中に繊細な優しさを見せる若松孝二を井浦新が好演。芋生悠も良い

個人的には今年度暫定1位か2位の傑作

#映
>>続きを読む

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版(1998年製作の映画)

4.3

生涯、船から降りなかった天才ピアニストの寓話

トルナトーレとモリコーネが創った映像と音楽の魔法

「彼女」に歓声を上げる冒頭からスクリーンに吸い込まれる。これぞ、映画の夢!
28日までどこかで上映中
>>続きを読む

手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.0

認知症を患った90歳のアウシュビッツの生存者。家族を殺したナチス兵士への復讐の旅。容疑者は4人

驚愕の事実に辿り着くまでの緊張の90分。トラップ大佐役で有名なC.プラマーが好演

お勧めのサスペンス
>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.0

37年前、封切りで見たときは爆睡。還暦過ぎて、この映画の美しさがわかった

心地よく響くドイツ語の詩、統一前の荒涼としたポツダム広場を始めとするベルリンの風景、本人役で登場するP.フォークの存在感
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

これほど優しい映画は見たことがない
安っぽさも、説教臭さも感じずに、素直に「いい映画を見た」と思えたのは上白石と松村の演技、自然な映像とプロット、静かで単調な音楽

長く続きそうな心地よい余韻。映画館
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

評価が分かれるカンヌ最高賞受賞作。個人的には◎

ミステリーとして見ると肩透かし。法廷を舞台にした濃密な家族ドラマ。だんだんと明らかにされる夫婦の複雑な関係のプロットが見事

緊張感溢れる2時間半。う
>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.1

「老い」の中で亡霊化する記憶。静謐な映像と暗転。映画の中で描かれる映画は再生の手段になるか?57歳のアナの印象的なひと言

秀逸な冒頭から希望が淡く浮かぶラストまで3時間近くの映画の旅。映画館で見るべ
>>続きを読む

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.0

目が覚めるような傑作!ノンストップの緊張感。切断される首、手足、噴出する血液。連続する国旗、黒、赤、SOSのモールス信号。「ガロ」を彷彿させる懐かしい絵と色彩。これ以上のラストはたぶんない。ぜひ映画館>>続きを読む

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.3

19世紀デンマーク寒村。大なり小なり心に葛藤と悔恨を持つ人々にふるまわれる極上の料理。計算され尽くした人物配置とプロットと風景。個人的に理解したのは宗教と食事の快楽の調和。
映画館で見られたことに感謝
>>続きを読む

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

3.6

誰でも楽しめる長編娯楽漫画映画の傑作と言って良いと思う。
偽装家族という決して明るい設定ではないのに、これだけ楽しめるアニメができたのはアーニャなど登場人物のはちゃめちゃぶりか。子供騙しのような、リア
>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.6

免停寸前で金欠のタクシードライバーと乗客の老婦人の1日を描く仏映画。目的地は老婦人が入居する介護施設。彼女の頼みで寄り道をするうちに波乱の人生が明らかに。シンプルな物語だが、2人の会話の機微、パリの風>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

あまり若くはない貧しい男女の出会い。ラジオから流れるウクライナのニュースと音楽。寂れたカラオケ屋での風景。淡々と綴られる凡庸な日常と展開。82分間の夢のような映画の旅。エンドロールで目頭が熱くなったの>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

家族と商売にトラブルを抱えた中年女性がメタバースの戦士になるという荒唐無稽の物語。80年代スターの出演、凄まじい情報量と混沌、映画の熱量。終盤の30分でやっと良さがわかった大ヒット作
#家で観た新作
>>続きを読む