マリオンさんの映画レビュー・感想・評価

マリオン

マリオン

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エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

2.0

お祭りなのに盛り上がりにくい。スタローンが途中退場してお通夜ムードだし、せっかくイコ・ウワイスやトニー・ジャーまで呼んでおいてステイサムのワンマンショーになってチーム感もほとんどないし、そのくせノリは>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

初めてのアキ・カウリスマキ。ノスタルジーに満ちた空気感やオフビートでカラッとした会話など独特な世界観と作家性を味わいつつ、とても温かな愛の始まりと出会う。ラジオからは暗いニュースが流れ、労働者には世知>>続きを読む

アース・ママ(2023年製作の映画)

4.0

生活に窮する妊娠中の黒人シングルマザー。そんな彼女の過酷な日々と募る不安を描いたヘビーな作品。ままならない状況に思い詰められる母の姿は見ていて苦しい。

貧困層のシングルマザーであり、黒人女性でもある
>>続きを読む

ヴァル・キルマー/映画に⼈⽣を捧げた男(2021年製作の映画)

4.0

最年少でジュリアード音楽院に入学した話や『トップガン』や『ドアーズ』での撮影エピソード、家族やファンとの繋がりなどヴァル・キルマーのパーソナルな一面や表現者としての矜持がたっぷり詰まったドキュメンタリ>>続きを読む

オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

3.0

ミシシッピで暮らすある女性の生涯を描いた話だが、時系列はバラバラだし、セリフや劇伴もほとんどない。手や後ろ姿、雨や大地といった自然を繋ぎ合わせ、大きな流れの中に人生があることをゆったりと感じさせる作り>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

まさか山崎貴作品でこんなに驚かされるとは。海上から迫り来るゴジラとの海上チェイスシーンやすべてを焼き払う放射熱線シーンの絶望感など迫力あるVFXの数々に大興奮。『ジュラシック・パーク』や『ダンケルク』>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

ネイティブ・アメリカンの文化や富を蹂躙していく白人たちの傲慢さや人間の愚かさを206分にギュッと詰め込んで軽妙に描くマーティン・スコセッシの手練れぶりは今回も健在。ほぼ同じ上映時間である『アイリッシュ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

テーマパークみたいだった。ゲームで見てきたマリオの世界が劇場に広がっていて、観客はイースターエッグを見つけてワクワクする。ゲームシリーズの流れを損なわないようにするために、キャラやストーリーを必要最低>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.0

よくあるファンタジーアドベンチャーかと思いきや、軽妙なノリやギャグがたくさん散りばめられていて楽しい。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの面々を彷彿とさせるアウトローなキャラクターたちの人>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

5.0

第二次性徴期の不安定な心持ちや体の変化、親からの過度な期待などティーンエイジャーの女子の変化やリアルを絶妙な設定で落とし込んでいるのが見事。日本のアニメや漫画を取り込んだかのような演出も素晴らしい。そ>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.0

『バースデー・ワンダーランド』のトラウマがあるので不安だったが、きちんと子供たちの切実な思いを汲み取ったファンタジーアニメになっていて好印象。ただ、もう原恵一に魅力を感じなくなったのも痛感した。こんな>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.0

前作に引き続いてツイストを効かせまくった話運びとオールスターキャストの競演が楽しい。ミステリーで遊び尽くすという意味では前作の方が好きだが、世間知らずな金持ちに支配された社会に蹴りを入れる構図は図らず>>続きを読む

ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.0

ずっと困惑したまま終わってしまった…シニカルな達観やオフビートなやり取り、シュールな世界観にハマればきっと味わい深いと思えるけど、クセが強くて飲み込みにくい。ただコロナ禍の世界をそのまま言い当てたかの>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

2.0

滑らかな動きと美麗すぎる映像で描かれるパンドラの圧倒的な実在感、そして空間を見事に使いこなす活劇術にジェームズ・キャメロンの凄さを改めて実感。ただ話やテーマは薄く、3時間もかけるような話ではない。とい>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

漫画作品を映画にする上で、こんな見事な解答を提示してくるとは…。漫画の内容やコマをそのまま映像にするのではなく、目まぐるしく展開が変わる試合のダイナミズムや試合にかけるパーソナルな想いを抽出し、作画や>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

誰もがままならない世界や人生を生きている。もはや当たり前過ぎて認識できない刹那的な真理を16mmフィルムで収めた大傑作。ありふれた日常に紛れた声にならない感情と葛藤に文字通り「目を澄ませる」99分だっ>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

4.5

トラウマを抱えた女は同じ顔の男達と出会い、全てを理解する。なぜ女が業を背負わされ、自問自答しなければならないのか。そして男は女に何を求めているのか。抽象的な世界に迷い込むうちに、身勝手でおぞましい男性>>続きを読む

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

3.5

ハートフルな映画かと思いきや、統合失調症でおかしくなっていく様を主観的に捉えていくなかなかシビアな映画であった。しかしルイス・ウェインのおかげで世界は猫という幸せを見出したのだ。絵画のように美しい映像>>続きを読む

ブラックアダム(2022年製作の映画)

2.5

ものすごく雑に言えばX-MENをザック・スナイダーが撮ったらこんな感じになるのだろう。ただジャウム・コレット=セラなので抜けのよさと神話的な重厚さのバランスを取るのが上手い。しかしもうこの程度では何も>>続きを読む

ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界(2022年製作の映画)

3.0

見る前は既視感のあるアドベンチャー映画だなと思っていたが、親子3世代間の断絶と調和を環境問題との向き合い方と上手に重ねていて面白かった。家族関係や親子関係のジレンマの描き方に関しても、最近のディズニー>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.0

命のない操り人形が動き出す物語をストップモーションアニメで作り上げるという図式が既に完璧。物語の背景に戦争が見えるのもパンズ・ラビリンスを思い出す。どこかおどろおどろしい命にまつわるシビアなおとぎ話。>>続きを読む

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ(2022年製作の映画)

3.0

2Dアニメ、3Dアニメ、パペット、クレイアニメ、実写キャストが入り混じるカオスさやスタジオの垣根を超えたオタクネタの数々、ショービス界への皮肉は面白く見たが…それ以外は特に印象に残らない。所詮ネタだけ>>続きを読む

3つの鍵(2021年製作の映画)

4.0

交通事故、隣人トラブル、不仲な親戚、産後うつ…3つの家族が直面する不和を通じて家族の面倒臭さや呪縛を浮かび上がらせる大傑作。家族の誰かが問題を抱えたとき、家族としてどこまで寄り添うべきなのか…哀愁漂う>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

どこまでも淡く、多くは語らない。しかし時空を超えた母娘の交流が心を掴んで離さない。3世代の喪失や絆を軽やかに描き出すセリーヌ・シアマの演出力に唸らされる。たった73分しかないのにとても濃密な時間だ。燃>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.5

誰もツッコミを入れてくれない不可解で不条理なおとぎ話と呼ぶべきか。悲しみに暮れる夫婦は羊の顔をした何かを我が子のように育て始める。気が遠くなるほどスローな時間とアイスランドの雄大な自然に包まれ、終始不>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.0

勝手に逝ってしまった親友への想いがむき出しのまま駆け抜け、誰も寄せ付けない2人の世界や整理できない感情が映画を支配する。永野芽郁や奈緒の新たな一面を切り開いたという意味でも素晴らしい。ただこの物語なら>>続きを読む

バッドガイズ(2022年製作の映画)

4.5

こんなドリームワークス作品を待っていた!様々なクライム作品へのオマージュやスパイダーバースのような手描きイラスト風デザイン、ダニエル・ペンバートンのノリノリな劇伴が軽妙で最高に心地よい。ワルな仲間達が>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.5

デヴィッド・ロウリーは騎士としての礼節を重んじる高潔な人間として描かれてきた「アーサー王物語」のガウェインを人間味あふれる何者でもない若者として描き直すことで、伝説に誠実さを取り戻そうとしている。強烈>>続きを読む

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

4.5

まるで現実と虚構が入り混じる夢のようだ。アメリカとメキシコにある2つの自我のせめぎ合いや過去との決別、これまでの人生や家族の絆など全てが曖昧なまま思考し続ける。そんな迷走と真実を圧倒的なビジュアルと撮>>続きを読む

百花(2022年製作の映画)

3.5

ロスト・ドーターやファーザーに肉薄するような邦画が現れるとは…母の認知症をきっかけに決して正しいとは言えない親の本音や息子の複雑な想いが交差する。薄れゆく記憶の中でそこに愛はあったのだろうか…言いたい>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.0

とてもいい食材が揃っているのに、ちゃんと珍妙な一品になっている辺りさすが原田眞人だなと思う。過程をすっ飛ばし気味な話運びや編集、聞き取れないセリフ、物語から浮き出る説教臭いテーマなど相変わらずだ。しか>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

4.0

王室に縛られ、メディアに尊厳を傷つけられたダイアナの苦悩と解放を伝記映画らしからぬニューロティックな手法で描く。演技、演出、美術、音楽に至るまで繊細で美しく、時にゾッとしてしまう。寓話である事に引っか>>続きを読む

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

3.0

4組のカップルの生活描写やダメ男描写など妙にリアルで生々しく、地獄のようなやり取りの数々に悲鳴をあげそうになる。そして物語は思わぬところに超越する。客観的に見ると間違っているのだが、彼らにしかたどり着>>続きを読む

悪魔を憐れむ歌(1997年製作の映画)

3.5

刑事が悪魔絡みの連続殺人事件に追い詰められていくオカルトサスペンスホラー。善悪問わず絶対的に真っ直ぐな人をやらせたらピカイチなデンゼル・ワシントンが悪魔に追い詰められていく様はどこか新鮮で、ローリング>>続きを読む

シーモアさんと、大人のための人生入門(2014年製作の映画)

4.0

ピアニストや指導者として活躍するシーモア・バーンスタインの価値観や哲学を通じて音楽が持つ普遍性と芸術性、そして人生が浮かび上がるドキュメンタリー。ひたむきな姿勢で表現と向き合う事で自分の人生が世界の深>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.0

ただでさえインド映画は異次元の面白さが担保されているのに、そこに男たちの運命的な絆まで盛り込まれたらもう好きにならざるを得ない。破綻を恐れない力強いストーリーやアクロバティックなアクション、ドラマチッ>>続きを読む

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