藍多左乃介さんの映画レビュー・感想・評価

藍多左乃介

藍多左乃介

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エグザム(2009年製作の映画)

2.0

密室劇はシーンが切り替わらないだけに、登場人物の心理描写と緊張感にこそ価値を求めてしまう。かつ伏線の回収が美しく納まってこそスッキリするというもの……という観る側の慣れに対し、予想を超えてくる物がなか>>続きを読む

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

3.0

警察の汚職を描いた実話らしい。話そのものはTVのドキュメンタリー系のバラエティーで放送しそうな内容。
綾野剛やピエール瀧の演技は良かったけど、個人的にはもっとコメディー寄りかシリアスにするか、もっと振
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孤狼の血(2018年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

level2の予告を見て、松阪桃李の変貌ぶりを確認するような気持ちで観た。
ヤクザ抗争の只中である広島を舞台に強引な捜査手法を取る役所広司とマジメで青臭い刑事、松阪桃李の対比を軸に物語が進む。

役所
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羅生門(1950年製作の映画)

4.2

芥川龍之介の原作ゆえ人間の醜さが描かれている事は前提として、羅生門と言う短編小説に藪の中を足すことでミステリー要素をぶっ込み、映画としての時間とエンタメを確保してる所に感心した。

白黒映像だからただ
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無限の住人(2017年製作の映画)

2.0

原作は知らない。
日本のチャンバラアクションのハリウッド炒めダークヒーロー風、と言う新ジャンルのメシを食わされた感じ。
好きな人は好きなのかな?個人的には、やっぱり刺身はケチャップじゃなくてワサビ醤油
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.6

社会の底辺で生きる人々、生きざるを得ない子供たちを描く。貧困の中で生きる手段が道徳や順法精神の欠落になっている大人に共感はできないが、それでも家庭を求める気持ちはわかる。
子供らに愛情を注ぐ治たちは、
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あいあい傘(2018年製作の映画)

4.0

倉科カナへの見方が劇中で変わる。「ん?⇨んん〜⇨えぇ?⇨おー」という感じww。父と娘がテーマだから泣かせに来るのかなという警戒心から入ったんだけど、漫才風の掛け合いを見せられてほぐされる。でもやはり後>>続きを読む

日日是好日(2018年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

お茶の話…ではあるけれど、タイトルが禅語の「日々是好日」であるとおり、主題は毎日を「好日」とするための知恵と感じた。その知恵を主人公・典子はお茶を通して感じ取って行く。「日常生活で起こる良かったり悪か>>続きを読む

八甲田山(1977年製作の映画)

3.3

1977年公開。無謀な雪中行軍訓練による日本史上最悪の遭難事故を描く。高倉健、三国蓮太郎、緒形拳、北大路欣也など超豪華キャスト。

実際に冬の八甲田山で、しかも吹雪を待って撮影したらしい。当時のカメラ
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.2

ゲイリー・オールドマン。もちろんイケメン。体系も痩せマッチョ。
その彼が小太りのチャーチルを演じる。辻一弘さんの特殊メイクがあるとは言え、小太り故のヨチヨチとした歩き方、思索に没頭する故に生じる紳士的
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LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)

4.0

ストーリーは単純明快なドタバタ。舞台はレゴタウン。自身が「伝説の男」と勘違いした一般人が悪に立ち向かうコメディ。
騎士やスターウォーズ、アメコミのキャラなど、お馴染みのレゴシリーズも登場し、自宅のレゴ
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ツナグ(2012年製作の映画)

4.5

過ぎ去った時や人への心残り。それは苦味を伴うもの。

本作ではオムニバス的に話が展開し、その苦味に向き合う姿を主演 松坂桃李の目を通して体験する。
松坂扮する歩とその祖母、樹木希林は死者に一夜だけ再開
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偉大なる、しゅららぼん(2014年製作の映画)

2.0

宣伝ポスターの掴みが良かったゆえ、期待値が大き過ぎたのか?正直、拍子抜け。

赤い制服やら白馬で登場やら、各キャラの見た目の「濃さ」の割に、言ってる事もやってる事も普通で、設定に内容が付いて行けてない
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ELEVATED(1996年製作の映画)

3.8

CUBEのDVDに収録されている短編。CUBEの舞台がSF的密室空間なのに対し、本作はエレベーターという日常的空間が舞台だけに、よりリアル。

密室空間と疑心暗鬼。真実は何か?極限の緊張状態に身を置く
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鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.4

ユーモアと緊張感のバランスが良く、スピード感のある展開で飽きさせない。状況が刻々と変化しながら話に破綻がない。監督・脚本:内田けんじ凄いな。

香川照之の演技はさすが。荒川良々のヤクザも存在感があって
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ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

2.5

デニーロの演技は鬼気迫るものがあるけど、シナリオが単純過ぎて飽きた。恨みー恨まれる側の関係から心理状態が読めてしまう。

荒唐無稽なモンスターをドタバタ見せられて恐怖を煽る展開が個人的に合わないんでし
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

eyes wide shut …目を大きく開けて、また(半分)閉じて

これは現実を直視しつつも半目を閉じるように、少し物事の受け止め方を柔らかくしてみる生き方の知恵。

本作では、それまで隠れていた
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ドランク・モンキー/酔拳(1978年製作の映画)

3.8

以前は酔拳・蛇拳など、ジャッキーの時代劇を定期的にTVで放送してたが、最近はあまり見かけない。子供の頃、このテの放送があった翌日はクラスのあちこちで妙な筋トレに精を出す子供を見かけたんだけど(笑)>>続きを読む

燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

3.9

男の子なら一度は見るべし。ジークンドー万歳。

ゴキってする時の顔が堪らない。ヌンチャク練習してケガするなよ!

サクリファイス(1986年製作の映画)

3.6

正直、難解だった。タルコフスキーの作品は、それぞれのメッセージが年代を追う毎に繋がるとかで、「鏡」「ノスタルジア」と合わせて再度観たい。

自己を差し出す意識が世界を変えるというメッセージと共に聖書の
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耳をすませば(1995年製作の映画)

4.8

ジブリ作品は全般的に労働への賛美を感じるけれど、特にこの作品はその傾向が強い。

聖司の祖父の工房はその象徴のようで、正にモノが生み出されている現場の暖かさと滋味に満ちている。バロンには命すら吹き込ま
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

3.1

映像がキレイで飽きずに見てたけど、イマイチ物語の核心が掴めない。少し内容を調べて、もう一度みたら納得。なるほど。隠喩を読み解く推理力が大切なんですな。

個人的にはあの映像美ならもっとファンタジー寄り
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

4.7

同じくホロコースト物の「夜と霧」という本の中で、筆者フランクルは何者にも奪えない人間の最後の尊厳に態度価値を挙げており。つまり周囲の状況がどんな束縛を設けようと、その状況に対する個の態度は奪えない…と>>続きを読む

グラディエーター(2000年製作の映画)

1.5

アメリカの歴史映画や戦争映画は盲信的にアメリカ的価値観を絶対正義として描く傾向があり、短絡的で押し付けがましく感じる事がしばしば。「オレたちが正義」という感じに食傷気味なのであります。

この映画でも
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のぼうの城(2012年製作の映画)

3.4

野村萬斎が魅力的。立っても座っても、美しさと滑稽さが画面に出ていた。さすが狂言師。

敵を破る爽快感も、苦境も、それを打ち破る秘策も用意されており、活劇としての見せ場が分かりやすく散りばめられている。
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地雷を踏んだらサヨウナラ(1999年製作の映画)

3.9

舞台は1972年カンボジア。フォトジャーナリスト、一ノ瀬泰造の実話に基づく物語。

職業としての「勇気ある戦場カメラマン」と言うよりも、個人としての一ノ瀬にスポットを当てた構成。
主人公を浅野忠信が好
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12人の怒れる男 評決の行方(1997年製作の映画)

5.0

舞台は父親殺しで罪に問われた少年事件の法廷。陪審員の評決に至るまでを描くサスペンス。密室劇ゆえ派手な演出は出来ないが、それだけに脚本の完成度が光る。

謎解きに加え陪審員の心理描写が丁寧に描かれ、全く
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鮫肌男と桃尻女(1998年製作の映画)

4.2

また微妙に古い映画について書いてしまう。

浅野忠信も岸部一徳も、小日向しえも言いけど、何と言っても我修院達也がキレキレで最高。脇役なのに圧倒的存在感で、画面への注意を支配されてしまった。忘れた頃に我
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.3

舞台となる仮想都市は混沌と無秩序のアジアンな世界。そこに生きるマフィアも娼婦も汚れに身を染めてはいるが、社会制度に頼らない逞しさと儚さが清々しい。スモーキーで陰影のある映像もその世界観を上手く表現して>>続きを読む

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.0

ロシアアヴァンギャルドの代表格。調べ出したら関連項目の多いこと(笑)

有名な「オデッサの階段」が気になって観たが、カットを繋げるモンタージュ技法も現代を生きる者にはもはや普通に目にする表現法ゆえ、「
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阪急電車 片道15分の奇跡(2011年製作の映画)

3.1

電車に偶然乗り合わせる人それぞれに、それぞれの人生がある。ごく当たり前の事を掘り下げてみる視点は面白い。淡々としてるがほっこりもできて。

舞台は阪急今津線。関西人なら分かる「お上品」な町だ。同じ阪急
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幻魔大戦(1983年製作の映画)

3.3

当時、まだ自分が子供のころ。人間が空を飛ぶ時はウルトラマンみたいな異形のヒーローかアンパンマンのようにマントを付けるかが常識で。手はいつもバンザイ。唯一例外はドラえもんのタケコプターぐらい。

当時、
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モンサントの不自然な食べもの(2008年製作の映画)

4.0

アメリカの多国籍企業、モンサントの実情を追うドキュメント映画。

モンサントとはベトナム戦争時に枯葉剤を造っていた会社。自社の農薬に耐性のある遺伝子組換え野菜を開発、販売している。モンサントの種を扱う
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十戒(1956年製作の映画)

3.0

1956年公開。60年近く前の映画と考えると、当時は出エジプト記の映像化そのものに意義があったのかな、と思う。何せ聖書で読んだ奇跡ですから。

スペクタクル映画の代表格だけあって重厚・荘厳だけど、題材
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タワーリング・インフェルノ(1974年製作の映画)

3.4

古き良き娯楽映画。スティーブ・マックイーンとポール・ニューマン主演。困難に立ち向かう男気、自己犠牲の精神。少年ジャンプやアルマゲドンまで連綿と受け継がれるヒーロー像は、この作品とポセイドン・アドベンチ>>続きを読む

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

4.3

注目すべきはこの映画がイラン制作ということ。
物語は貧しい家庭の兄妹が失くした靴を求めて奮闘する様子を淡々と可愛らしく表現しているが、これはイラン国内における貧富の差が生んだ社会情勢を背景としている。
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