oyamaさんの映画レビュー・感想・評価

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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

3.8

昭和31年の洲崎。街と色街の境界での話。
橋と門によってわけられているこちらとあちらの世界。
しかし境界にあるその空間は、双方がグレーに混ざり合っている。

映像の表現力。
長く不在だった飯屋の主人が
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東京物語(1953年製作の映画)

4.3

なんて味わい深い。
70年前も今も変わらない、家族/親子の関係性の変化が描かれている。
こういう淡々としたなかに宿る情緒は、最近の映画にはない魅力。

当時の日本も美しさも感じつつ。
映像ってすごいな
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

愛おしい映画だった。
観終わったばかりで、胸がどきどきしてる。
一見変わらないような日々の中にある、小さな変化。ゆらめく光。

朝のルーチンワーク。
トイレ掃除の美しい所作。
本、カメラ、カセットテー
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

わたしは好きですよ。
比喩と比喩の連続。
あらゆる想像を受け入れる器としての物語。
世界は複雑で、曖昧さを残す。
全て謎が回収されるなんていうことは、そもそも矛盾してるのではないか。

圧倒的な描写力
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.0

かつてそこにあった、今はもうない、ダゲール街の人々と暮らし。
肉屋やパン屋のの手捌きとか、香水屋の役割の多さとか(ボタンの売り方!)、その些細なリアルが記録されていることに、大きな意味を感じる。ディテ
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

過去の記憶を彷徨うストーリーと、静止画による映像の不思議な鑑賞感が合っている。
妙にクセになる映画で、2回鑑賞してしまった。
瞬きのシーンはドキッとしますね

still dark(2019年製作の映画)

4.5

すっごく好き!
40分の濃縮なショートムービー。
大きく心揺らされる、爽やかな余韻。

盲目の青年のど根性と、見えないルールにまったく縛られてない同僚の姿勢と、入口を全ての人に解放する店長の公平さと、
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

繰り返される対話やインタビューが、モノクロの映像によって引き立ち、色彩を帯びていく。
おじさんと甥っ子のロードムービーな映画なのだけれど、差し込まれる子どもたちへのインタビュー音源が秀逸。
心の描き方
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わたしを離さないで(2010年製作の映画)

4.0

カズオ・イシグロさんと福岡伸一さんの対談を読んで、鑑賞。

臓器提供のためのクローンとしてうまれ、その運命を背負いながら生きる子供たち。
グレーに覆われた寄宿舎や衣類。
無彩色は彼らの人生を象徴するの
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PLAN 75(2022年製作の映画)

-

この映画を撮らざるを得なかった、という現実が哀しくてしょうがなかった。
点数はつけられない。

信頼できる人と、この映画の哀しさを語りたいとおもった。
役者がすばらしかった。

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

家族のなかで唯一の聴者である少女。
彼女は、聴者を中心につくられている社会との通訳として、子供の頃からその役割を全うしてきた。

この映画は彼女の犠牲というような悲壮感あふれる話ではなくて、愉快で愛に
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.5

雨と泥で閉塞されたあの村に、
まるで滞在していたかのような没入感。
余白が多く、詩的。
鑑賞というより、体験。

この映画に流れる空気感は、微熱のけだるさのなかで眺めるのに絶妙でした。
(コロナワクチ
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.8

タイトル通り、30〜40代に沁みる映画。
人生経験の引き出しが多い人ほど、
鑑賞後の余韻が続いていくのではないかと。
“future change the past”気に入りました。
本も読んでみよう
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マタインディオス、聖なる村(2018年製作の映画)

3.8

ペルーの山岳文化と土地の宗教。
深い皺が刻まれたひとびと、
ハエの音、祈りの歌、叫び声。
旅をしているかのような感覚。
ローキーな色彩、画の成り立たせ方が好み。
時々出てくる人々のいら立ちやラストシー
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

正月の下高井戸シネマにて。

ひとりの男の喪失と再生の物語。
静かに奏でられる音楽。
抑揚のない語り。車のエンジン音。
多言語演劇。手話での語り。

これは文学だなぁ。
よかったです。

妻役の霧島れ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.8

嗚咽の連続だった。
泣けてしようがなかった。
心優しき人の生きづらさよ。
重層的な作品。
タイトルが秀逸。

リザとキツネと恋する死者たち(2014年製作の映画)

3.7

独特の世界観がクセになる系の映画。
舞台はハンガリー・ブタペスト。
伝説「九尾の狐」をモチーフに、シュールな歌謡と物語展開。
監督の日本愛が溢れ出てる!

(2017年製作の映画)

3.5

点は点でいいのかも。
地元の同級生と久しぶりに顔を合わせた時の、色々取り戻そうとする感じのぎこちなさがうまい。
床屋っていーな。

空気人形(2009年製作の映画)

3.8

心を持ったラブドールを通して描かれる世界は、非常に哲学的。
空虚。そして、息を吹き入れること。
吉野弘の詩『生命は』が、絶妙に物語と重なり合っていく。

ユメ十夜(2007年製作の映画)

3.2

夏目漱石の〈夢十夜〉を10人の監督が描くオムニバス。
解釈も描写もジャンルもさまざまで、コラージュ的でよい。
それにしたってキャストが豪華。
松尾スズキの第六夜が好き〜

殯の森(2007年製作の映画)

4.0

33年前に妻を亡くした男と、息子を亡くしたばかりの女。
彼らは認知症のグループホームで出逢い、車の脱輪事故から導かれるように山に入っていく。
認知症の人と介護スタッフとしての関係性が、途中見事に逆転し
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朝が来る(2020年製作の映画)

4.5

河瀬監督の、光からも影からも目を逸らさず、鑑賞者の感情を意図的に揺さぶろうとせず、淡々と描くところが好き。
養子縁組制度の、光も影も、心の動きも、ふたりの母親の前と後の物語も、そして、希望。
必ず、エ
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

緩和ケアの仕事をする身としては、ある一定の進行を迎えたとき、治療を追いかけずこういう人間的な生き方も選べることが広がればいいな…なんて思いました。
銭湯での葬儀も素敵。(銭湯の親父さんの湯灌を、銭湯の
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.8

松岡茉優の影。
鈴鹿央士のはずむピアノ。
月光の連弾。
光や、雨や、雷。
世界と音楽がつながっていく描写が見事。

"かつて音楽(ムジカ)とは、調和の根本原理を指していて、調和の真理を研究することだっ
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.5

とてつもない愛の物語だった。
草彅剛の、母性が芽生えたときの眼差しが怪演。
バレエを舞う服部樹咲のしなやかさも。
久々に映画を観て泣きじゃくってしまった。

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

4.0

青春映画と見せかけて、
夢を諦めた中年のための映画でもある。
ラブストーリーと見せかけて、
もう一度人生を走り出させる映画でもある。

小松菜奈の独特な美しさ、目つき。
大泉洋の絶妙な佇まい、距離感。
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.5

とにかく沁みる。
ダメな男の哀しさと、前を向く女の潔さ。
幸せは何かを諦めないと手に入らないものよ、という樹木希林演じる母の言葉。

めがね(2007年製作の映画)

4.5

この映画を壁に投影して、
見るでもなくぼんやり過ごすのが好き。
波の音、間のある会話、マンドリン。

はじめて見たのは渋谷の小さな映画館で、あのときは映画を見終わったあと、映画館の外に広がる渋谷の街と
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痛くない死に方(2019年製作の映画)

4.0

在宅医療の現場の空気感や考え方を大切にして、丁寧に撮ってくれている。
現場の人間としては、ありがとうの気持ちになりました。
役者陣が最高。

モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.9

晩年の熊谷守一の1日を描いた作品。
好きである。
こういう暮らしをしたいものである。

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.5

少年の成長。希望のダンス。
独特のユーモア。
映像や色彩含め、最高だった!

まさか大晦日に、2020年マイベストと出逢えるとは。

A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー(2014年製作の映画)

3.8

一杯のコーヒーに宿るもの。旅。
COFFEEと珈琲の出逢い。
喫茶店という、日本の珈琲文化の美しさよ。

太陽の塔(2018年製作の映画)

4.5

めちゃめちゃよかった。
胸がいっぱいで言葉にならない。
太陽の塔。終わらない問い。曼荼羅。
人間とは何か。進歩とは。

映像と編集もすばらしかった。

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