ジュン一さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ジュン一

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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.0

【食は糧、美食は享楽、そして生甲斐】

舞台は19世紀末のフランスのシャトー。
主人の『ドダン(ブノワ・マジメル)』は名だたる美食家。

それも単に食べるだけではなく、自身でレシピも考案、
下ごしらえ
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市子(2023年製作の映画)

4.5

【見た目はキュート。でも、心の中に巣喰うものは・・・・】

幸せの絶頂で突然、相方が身を翻すように姿を消す。
残された片方は戸惑い、しかし行方を追う過程で
彼女(または彼の)思わぬ過去が浮かび上がる。
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

【英雄は地に堕ちる】

「ナポレオン・コンプレックス」とは、
身長が低い男性が持つ劣等感のことで
これが野心や攻撃的行動へのバックボーンになる、との
言説やあり。

が、語源となった『ナポレオン』の実
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隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

4.5

【お前の方がよほど不審者だよ】

宇宙からの難民として地球に大挙避難してきた「X」と呼ばれる生命体、
各国の対応は異なるもののアメリカが正式に受け入れを決めたことから日本政府も追随。

しかし官と民の
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

4.0

【サイコパス同士の友情は成立するのか?】

童話「怪物の木こり」の主人公は
「木こり」の姿をした「怪物」。

普段は「木こり」も、時として「怪物」に変容、
人を襲い食べ尽くす。

お婆さんを食べ、
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(2023年製作の映画)

4.0

【天下取り異聞】

「本能寺の変」を題に取り、
ほぼほぼ実在の登場人物たち、かつ
史実に近い大まかな流れは踏まえつつ
共に自在に動かすことで
『北野武』らしい暴力と諧謔に満ちた作品に仕上げている。
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コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

3.0

【毒にもならぬ、ましてや薬にも】

今時でもこんな安アパートが残っているのだな。

場所はおそらく、大阪の鶴橋界隈。
木造二階建ての六畳一間のスペース、
トイレや洗面所、台所は共用、風呂は無し。

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正欲(2023年製作の映画)

3.5

【「多様性」は便利な言葉。まぶすだけで暴論さえソフトに変化させる免罪符】

本年7月11日の「トランスジェンダー職員の女性トイレ利用制限」についての
あるいは10月25日の「性別変更の手術要件」につい
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法廷遊戯(2023年製作の映画)

4.0

【「フーダニット」より「ホワイダニット」】

原作者の『五十嵐律人』は現役の弁護士と聞く。

本作での描写がどの程度、彼の体験を反映したものかは分からない。
とは言え、ある程度はそれを踏まえたものにな
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.5

【〔永遠の0〕と〔アルキメデスの大戦〕から繋がる物語り】

主人公の『敷島(神木隆之介)』は特攻隊崩れ。
それも、出撃後に愛機の故障を装い大戸島に不時着。

が、その島で「ゴジラ」の襲来に遭い、
彼と
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.0

【久里浜からフェリーに乗って金谷に着いた】

自身が監督/脚本を務めた
〔ぼくたちの家族(2014年)〕
〔茜色に焼かれる(2021年)〕
〔アジアの天使(2021年)〕で、
家族のありようを描いてき
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.0

【お前たちはもう死んでいる】

オヤジ且つ
不死身といえば〔ドント・ブリーズ(2016年)〕を、
特殊工作員といえば〔Mr.ノーバディ(2021年)〕を思い出す。

前者は『ノーマン』、
後者は『NO
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おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)

4.0

【罪とは何か】

「おまえの罪を自白しろ」と言われたとき、自分ならどう答えるだろう。

極めて難しい問題なのは、罪の意識は人それぞれで濃淡あり。
例えば「いじめ」の常習者が、そのことを罪に感じているか
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

【命の軽重を問う】


実際に起きた事件の映画化も
最近ありがちなその旨の提示はなし。

底本もあるようで
『デヴィッド・グラン』によるノンフィクションのタイトルの邦訳は
〔花殺し月の殺人 インディア
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.5

【歴史を繰り返す】

〔ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年)〕を監督した『ギャレス・エドワーズ』の新作は
それを凌駕するほどの渾身の一本。

男女の、親子の、人種の愛情を主体に
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

【憐れむより慈しめ】

路上Liveで日銭を稼ぎ半分ホームレスのような生活をする『キリエ/小塚路花(アイナ・ジ・エンド)』と、
目を掛けてくれる男の間を渡り歩いて暮らす『イッコ/一条逸子/広澤真緒里(
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.5

【私を見て見て病の恐怖】

自身が話の中心でないと気が済まない人間は確かにいる。

が、当意即妙の受け答えや話題の豊富さが無ければ
次第に会話から離れて行ってしまうのは自明の理。


本作の主人公はま
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春画先生(2023年製作の映画)

3.5

【「春画」はその後の官能へのとば口】

無修正の「春画」が画面に大写しになることから
「R15+」指定なのだと思っていた。

「永青文庫」で開催された”春画展”は観ていないものの、
例えば「藝大」での
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白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.0

【僕のJAZZ武者修業@銀座編】

ジャズピアニスト『南博』の回想記が原作と聞いている。

オフィシャルサイトに掲載の日記の書籍化、と。
そのものは続編も出版されていることから
それなりの面白い著作な
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

4.0

【子どもはみんな天才だ】

アメリカでは実際にこのような組織があるのだろう。

共同生活をしながら演劇や舞台を作り上げる過程を学ぶ
夏休みの期間限定のスクールが。

我が子を自立させるるのに執心な国ら
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.0

【心の奥底に潜むのは、封印した記憶と忘却したい過去】

父親が遺した銭湯を夫と営んでいた
『かなえ(真木よう子)』は、
ある日夫の『悟(永山瑛太)』が突然失踪したことにより、
一時営業を中断していた。
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アナログ(2023年製作の映画)

4.0

【ローテクだからこそ成立する物語り】

観終わって
原作者の『ビートたけし』が紡いだ繊細な物語世界に驚く。

心優しく、思わず涙さえ溢れるストーリーを創造したのが
〔その男、凶暴につき(1989年)〕
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.0

【『安藤サクラ』に酔い痴れる】

〔罪とか罰とか(2009年)〕あたりから
『安藤サクラ』が好きではないものの、気になる女優さん。

〔すべては海になる(2010年)〕や
〔ケンタとジュンとカヨちゃん
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.5

【『キアヌ・リーブス』にとっての幸せな時間】

家族への愛情で始まった物語は、
やはり家族への愛情で終わる。

とりわけ今回は、互いの家族への情愛がせめぎ合い、
他者に害を及ぼす結果に。

また、それ
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

4.5

【{ミステリー}と{ホラー}のハイブリッド。両者の塩梅や良し】

『ケネス・ブラナー』が監督・主演を務める
『エルキュール・ポアロ』シリーズの第三弾。

が、先の二作〔オリエント急行殺人事件(2017
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6月0日 アイヒマンが処刑された日(2022年製作の映画)

4.0

【歴史は無名の人々によって造られる】

〔アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男(2015年)〕の後日譚。

先の一本は終戦後アルゼンチンに逃れた『アドルフ・アイヒマン』を追う
ドイツ人検事『フリ
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

【虚構と現実の絶妙な按分比】

一目で『ウェス・アンダーソン』の作品と了解される
画面を構成する幾つかの定型。

チープなマット合成や、ミニチュアチックな建物、
パステル調のしかし鮮やかな色味。
長く
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.5

【これが{オゾミス}?】

幾つかの告知では{ホラー}とされており、
怖いモノが嫌いな身としては鑑賞を逡巡。

とは言え『斎藤工』の
劇場向け長編の初監督作(たぶん)との天秤で期待の方が勝る。
『オダ
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エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.5

【コルセットからの解放】

原題は〔Corsage〕で、
フランス語では元々は婦人服の胴部・身ごろのことらしく、
コルセットに近いものの意か。

とりわけ現代ではフェティシズムの、
しかし本作では女性
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春に散る(2023年製作の映画)

4.0

【ねかはくは はなのもとにて 春しなん】

「ボクシング映画に不出来なし」の約定は
今回も守られた。

何を置いても、
選手は当然のこと、ジムの構成員、会場に集う観客、
それらのボクシングを愛する全て
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ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.5

【ひと夏の経験は永遠に】

最終盤までは「ひと夏の経験」の王道を行くもの。

数年振りに逢った、母の友人の娘は美しく成長。
僅かに二歳の年齢差ではあるものの、
十代後半のこの違いは大きい。

主人公の
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.5

【席を立つこと能わず】

「第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門」に出品も、
上映中に退席者が続出したとのいわくつきの一本。

もっとも、自分の鑑賞時には
誰も中途退出者はいなかったが。

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バービー(2023年製作の映画)

3.5

【政治的に正しい寓話】

「バービー!」「ハイ!バービー」と
タイトルにもなっている主人公の名前が連呼される予告編を見ていて、
「おや?!」と記憶を呼び起こす。

『グレタ・ガーウィグ』監督の前々作
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リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

3.5

【『行定勲』の様式美】

時は大正。日本の特務機関で訓練を受け
引退するまでの短い期間に吉良邸に討ち入った浪士の数ほどの人数を殺した名うての暗殺者が居た。

『リリー(綾瀬はるか)』と名のる彼女は、し
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インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

4.0

1982年の映画〔愛と青春の旅だち〕は
居場所の無い主人公『ザック・メイヨ(リチャード・ギア)』が
航空士官候補生学校に入学し
パイロットとして生きるよすがを見つけるまでの物語り。

女工の『ポーラ(
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キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

4.0

既刊69巻のうち、
11巻~の「馬陽の戦い」をメインに描いているとのことで、
観ているうちに「おいおい、これじゃあまだまだ終わらない、
続編があるに違いない」と確信する。

案の定、エンドロールの中途
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