ジュン一さんの映画レビュー・感想・評価

ジュン一

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湖の女たち(2023年製作の映画)

3.5

【評としては禁句だが、制作サイドが本作で何をしたかったのかさっぱり判らない】

エンドロールでは『松本まりか』と『福士蒼汰』の名前が併記され
両者が主役の物語りであることが提示されるも、
実際はタイト
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

4.0

【その碁風は、相手の心根すら良化する】

元ネタは「落語」の{人情噺}
〔柳田格之進〕。

この{人情噺}なのがミソで
脚本の『加藤正人』は原作に更に幾つかの人情を盛り込むことで
心が震える物語りに造
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不死身ラヴァーズ(2024年製作の映画)

3.5

【「男女逆転」だけにとどまらず 】

原作では想いを募らせ告白するのは
『甲野じゅん』のほう。

それが映画では両想いになった途端に消える側に変更されている。

『長谷部りの』が諦めず執拗に追いかける
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人間の境界(2023年製作の映画)

5.0

【これが現実】

物語りの舞台は
ベラルーシとポーランドの国境。

しかし同じような難民流入の問題は
ロシアとノルウェー、ロシアとフィンランドでも起きていることを
新聞やテレビのニュースで我々は知って
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.0

【今を嘆いても、胸を痛めても、ほんの旅の途中】

自身で立ち上げたゲーム制作会社を
社内の政変で乗っ取られた『ジミー(シュー・グァンハン)』が、
十八年前、十八歳の時にほんの束の間ふれ合った女性を思い
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異人たち(2023年製作の映画)

3.5

【子の心、親知らず】

『片岡鶴太郎』はべらんめぇな父親役が、
『秋吉久美子』はきっぷの良い母親役がそれぞれ似合っていた。

そんな両親が、十二歳の頃に死に別れたままの姿で
懐かしい浅草の地で暮らして
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.5

【フランスのイマを活写しながら明るい未来の寓話に広げて行く】

『リンダ』は母親の『ポレット』と郊外の大規模団地に住む活発な女の子。
父親は彼女が一歳の時に、食事中に突然亡くなり、
記憶はほぼほぼ無い
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.5

【これもまた、女性の自立の物語り】

現時点の評価は
IMDb:6.5
Metascore:79
個人的には一般人評価の「IMDb」より
評論家筋の「Metascore」を偏重の方針。

とは言え「I
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

【無事これ名馬?】

昔のプロレスラーは
今にも増してキャラが立っていたなと思う。

例えば「吸血鬼」と呼ばれた『フレッド・ブラッシー』は
歯をやすりで研ぎながらの入場。

勿論、実際に歯に当てていな
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

【すれ違い、めぐり逢い。人生、そんなもの】

冒頭のシーンは諧謔に満ちている。
バーカウンター並んで向かう三人の男女。
一人の男性と女性はアジア系、
もう一人の男性はアングロサクソン風。

傍目からは
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.0

【抗議活動ですらアートにする】

普段なら{ドキュメンタリー}の類は観ないのだが(除く、テレビ視聴)、
本作は現時点で
IMDb:7.5
Metascore:91の高評価。

加えてスポットライトがあ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

【「原爆の父」の数奇な伝記ドラマ】

「NHK」の「映像の世紀バタフライエフェクト」、
2024年2月19日の放送は〔マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪〕。

本作の良い予習になると同時に
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

【信じることは救済にも呪縛にも】


前作を復習鑑賞せずに劇場に向かったので、
ストーリーがジブンの頭の中できちんとつながるだろうか?との
一抹の不安。

が、結果的にそれは全くの杞憂。
人物の背景や
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

【犯行動機が二人を翻弄する】

全国47都道府県の中で
沖縄県の離婚率は断トツで一位との統計。

であれば、本作での主要な三組の登場人物すべての背景に
離婚(と、再婚)が横たわっていても納得がいこうと
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コットンテール(2022年製作の映画)

4.0

【父と息子のもどかしい関係】

若年性認知症の妻『明子(木村多江)』を亡くした『兼三郎(リリー・フランキー)』は
その法要の席で菩提寺の住職から『明子』の遺言を渡される。

そこには、幼い頃に両親とひ
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

4.0

【偽りの救済という形の団円】

『町田そのこ』の小説は
既刊十一冊のうち七冊を読了。

自分にしては高比率も
一冊を除けばタイトルを見るだけで
「ああ、こ~ゆ~内容だったよね」と
想起が可能。

その
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

【契約より信義】

「9.11同時多発テロ」発生後、
アフガニスタンに軍事介入したアメリカだが戦況は泥沼化、
二十年近く経っても終結の糸口は見いだせずにいた。

そして2018年。
ターリバーンの武器
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

【法廷ドキュドラマ】

フランスの山荘に住む三人の家族。
ベストセラー作家の『サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)』、
夫の『サミュエル(サミュエル・タイス)』、
事故の後遺症で視覚障害がある息子の『ダニエ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

【夜があるから朝が来る】

2006~2010年頃だろうか、
『荻上直子』監督により撮られた
〔かもめ食堂〕〔めがね〕〔トイレット〕といった一連の作品群。

「異文化交流」とのテーマはありつつ、
セン
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.5

【二度目の囁き】

寡作にもほどがある。
本作は実に三十一年ぶりの新作。

監督の『ビクトル・エリセ』は
1967年から五十六年間の活動歴で撮った長編は僅かに四本。

そのうち一本は{ドキュメンタリー
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カラーパープル(2023年製作の映画)

4.0

【ミュージカル化?いや、これはまぎれもなくリメイク】

〔カラーパープル〕は1985年の
『スティーヴン・スピルバーグ』監督による{ストレートプレイ}版
(正しい表現ではないのだが{ミュージカル}の対
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罪と悪(2024年製作の映画)

4.0

【故郷の川に向かいて言うことなし】

『クリント・イーストウッド』の〔ミスティック・リバー(2003年)〕は
『デニス・ルヘイン』原作の映画化で且つ秀作。

本作は監督・脚本の『齊藤勇起』によるオリジ
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.0

【ウォール街をぶっ飛ばせ】

2008年の「リーマン・ショック」で懲りたかと思いきや
政府による金融機関救済や
富裕層への優遇措置を背景に
ヘッジファンド等による
市場での専横はとどまるところを知らぬ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

【『ベラ』の世界を知る冒険】

主役の『ベラ・バクスター』を演じる『エマ・ストーン』は
自身がプロデュースも兼ねる熱の入れよう。
それだけ本作の映画化を強く願ったということだろう。

そこで魅せるのは
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VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)

3.5

【オマージュではなく模倣】

鑑賞時点での「IMDb」の評点は6.0、
「Metascore」の方は70と
なんとも微妙なところ。

それでも
「ブリュッセル国際映画祭」で「最高賞(金鴉賞)」等の情報
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

【青春の光と影と幻】

そのフィルモグラフィーの中でも
〔リンダ リンダ リンダ(2005年)〕や〔天然コケッコー(2007年)〕等の
{青春モノ}にとりわけ力を発揮する『山下敦弘』が
今回の題材をど
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.0

【でも、そんなの関係ねぇ! 】

おそらくは『牧野富太郎』も
同じにカテゴライズされる人間だったのではないか。
生活力はさらさら、経済観念も皆無の。

周囲がフォローしなければ靴の紐さえ結べず、
纏ま
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

【ヘルシンキの{ボーイ・ミーツ・ガール}】

フィンランドの首都ヘルシンキで
スーパーの店員として暮らす『アンサ(アルマ・ポウスティ)』は
期限切れで廃棄すべき商品をくすねたことが原因で失業。

そし
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

【日々好日】

渋谷区の公衆トイレ清掃員として働く『平山(役所広司)』の日常は
判で押したよう。

目覚まし時計に頼らず、
陽の明かりと近所の老婆の竹箒の音で目覚め
身だしなみを整えユニフォームに着替
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.0

【食は糧、美食は享楽、そして生甲斐】

舞台は19世紀末のフランスのシャトー。
主人の『ドダン(ブノワ・マジメル)』は名だたる美食家。

それも単に食べるだけではなく、自身でレシピも考案、
下ごしらえ
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市子(2023年製作の映画)

4.5

【見た目はキュート。でも、心の中に巣喰うものは・・・・】

幸せの絶頂で突然、相方が身を翻すように姿を消す。
残された片方は戸惑い、しかし行方を追う過程で
彼女(または彼の)思わぬ過去が浮かび上がる。
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

【英雄は地に堕ちる】

「ナポレオン・コンプレックス」とは、
身長が低い男性が持つ劣等感のことで
これが野心や攻撃的行動へのバックボーンになる、との
言説やあり。

が、語源となった『ナポレオン』の実
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隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

4.5

【お前の方がよほど不審者だよ】

宇宙からの難民として地球に大挙避難してきた「X」と呼ばれる生命体、
各国の対応は異なるもののアメリカが正式に受け入れを決めたことから日本政府も追随。

しかし官と民の
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

4.0

【サイコパス同士の友情は成立するのか?】

童話「怪物の木こり」の主人公は
「木こり」の姿をした「怪物」。

普段は「木こり」も、時として「怪物」に変容、
人を襲い食べ尽くす。

お婆さんを食べ、
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(2023年製作の映画)

4.0

【天下取り異聞】

「本能寺の変」を題に取り、
ほぼほぼ実在の登場人物たち、かつ
史実に近い大まかな流れは踏まえつつ
共に自在に動かすことで
『北野武』らしい暴力と諧謔に満ちた作品に仕上げている。
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コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

3.0

【毒にもならぬ、ましてや薬にも】

今時でもこんな安アパートが残っているのだな。

場所はおそらく、大阪の鶴橋界隈。
木造二階建ての六畳一間のスペース、
トイレや洗面所、台所は共用、風呂は無し。

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