れんさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.5

映画を最もエモーショナルにし、ダイレクトに感情を揺さぶってくる音響。様々な工夫や試行錯誤を重ね映画をさらに豊かにするために進化してきた映画音響という発明に敬服せざるを得ない。映画を映画館で見るという醍>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

5.0

混乱が頭の大半を支配すると同時に映画を体験するという至極の多幸感に満たされる。ノーラン監督の狂気的な性癖が最高レベルまでに洗練されぶち込まれている。最も莫大な予算をかけて作られたカルト作品になっていく>>続きを読む

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.0

美しく愛を描き、尊く人を想い、優しく伝えていく。愛してるをみちしるべに歩んできたヴァイオレットがたどり着いた答えに涙する。圧巻の映像美と美しい物語に心洗われる。なかなか直接言えない想いも手紙という言葉>>続きを読む

海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

4.5

膨大な情報量、圧倒されるテンポ感にクラクラしながらも見たことない映画の世界に誘われる。虚の中にこそ実が宿るという大林宣彦監督の映画作りへの信念に感銘を受けた。こんなに自由で夢のある表現や映画的工夫、奇>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

4.2

日本ではなかなかないタイプの作品で新鮮。役者の演技、演出や美術がキメ細やかに行き渡っている。特に照明や色使いの良さが抜群。これらの要素が人間の心の機微を的確に捉えて際立たせている。人が人を好きになる普>>続きを読む

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者(2020年製作の映画)

4.2

自由をテーマにしんのすけたちがラクガキでカスカベを救う冒険活劇。ここ最近のクレしん映画の中ではかなりの傑作。人間のエゴや現代風刺などを混ぜこみつつもエンタメとして落とし込む素晴らしいバランス。まさに自>>続きを読む

ミッドウェイ(2019年製作の映画)

3.1

非常に真面目に仕上がったローランド・エメリッヒ監督の史実戦争もの。エメリッヒ感はあるものの、全てが中途半端になっている。主に空中戦が描かれるがどれも単調で工夫がない。もちろん迫力のある映像であるのは間>>続きを読む

宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

4.8

少女と不思議な老人の交流を描く青春ちょっぴりファンタジー。落ち着きながらもバキッとキマった映像美に、そして清原果耶の演技の輝きに大いに魅せられた。行動してから後悔しよう。名台詞の数々でハッとさせられる>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

4.1

掴めそうで掴めない物語構成の歪さ、違和感が難解さを深めていく。そして1度見たら頭にこびりつく奇妙さに取りつかれる。食卓を囲むシーンはやだ味と滑稽さに溢れるベストシーン。人生を振り返れば苦悩と後悔の連続>>続きを読む

悪人伝(2018年製作の映画)

3.6

暴力刑事、ヤクザ、悪魔の三つ巴韓国ノワール。面白い要素の重なりでしかない。作品全体の緩急のバランスが良い。マ・ドンソクの無敵っぷり、愛嬌っぷりが最強に炸裂。マ・ドンソクの振りかざす重たい拳の破壊力が伝>>続きを読む

アンダーウォーター(2020年製作の映画)

3.8

クトゥルフ神話風味の漂う最新版深海SFホラー。始まった瞬間から息継ぎ不要の怒涛の展開。まさにアンダーからのカメラワーク、見せすぎない、見えすぎない捉え方が絶妙。クリーチャーもの、ガジェットものの楽しさ>>続きを読む

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

3.6

ベースがコメディでありながらしっかりゾッとする怖さを押さえたエンタメホラー。亀梨和也の幅があり的確な演技も見事。様々な事故物件を冒険していくワクワク感がたまらなかった。クライマックスはかなり大味で荒唐>>続きを読む

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)

3.7

誰でも青くて痛くて脆い。誰も傷つけないように、そして自分も傷つかないように安全圏で生きようとする。この生き方自体は悪いことではないが本当の意味で他人と向き合うことをやめてしまっている、閉ざしてしまって>>続きを読む

イップ・マン 完結(2019年製作の映画)

3.7

イップ・マンの貫き通した正義の拳を見届けた。家族愛、親子愛、師弟愛、差別、偏見など様々なテーマで描かれてきたシリーズ。本当の正義とは、正しさとは何かとこのシリーズ通して学んだ。毎度の事ながらドニー・イ>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.5

ひたむきでまっすぐに突き進み登り続ける小寺さんの姿に踏み出す勇気をもらえる青春群像劇。とにかく小寺さん含め登場人物たち全員が尊くて愛しい。小寺さんの一生懸命さが伝播し皆に活力を与え青春の輝きへと導く。>>続きを読む

(2020年製作の映画)

3.8

中島みゆきの珠玉の名曲からインスピレーションを受けたラブストーリー。演出や構成に若干の歪さや違和感を感じながらも豪華キャストが丁寧に紡いでいく。特に小松菜奈の"食べる"シーンは印象的で様々な感情が込み>>続きを読む

2分の1の魔法(2020年製作の映画)

4.5

ピクサーが描く家族愛と兄弟愛の冒険ファンタジー。ファンタジックな世界観、設定を手際よく分かりやすく説明する導入はさすが。冒険ものには欠かせないアクションも多彩で楽しい。大切な存在に気づき、助け合い支え>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.4

不思議で不安定で自由なカメラワークが観客を追い詰め取り込む。淡々とまざまざと殺人描写、殺人鬼の心理描写を見せられる。狂気と滑稽さが入り交じるアンバランスさが可笑しい。

リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.5

挿入される不気味で不穏な和風音楽が気持ち悪く癖になる。色彩設計も秀逸で不気味さをより掻き立てる。皆がみんなひとつの価値観、考え方に偏ってしまえば多様性が失われてしまう恐怖。じわりじわりとリトル・ジョー>>続きを読む

思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.9

2時間では到底収まりきらない眩しすぎる青春群像劇。柔らかく温かみのある映像が彼らの青春の日々を的確に伝える。思い通りにいかない4人の交錯する想い、すれ違いながらも傷つき認め合う。そして確かに自ら選択し>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

5.0

閉塞的で生き辛さを感じる韓国社会の中で純朴な少女が少しづつ小さく羽ばたく。自分の取り巻く人間関係が良くも悪くも苦しいこと、嬉しいことを気づかせてくれる。ウニの人生、青春の煌めきや淀みを切り取り描く。そ>>続きを読む

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

2.8

隅々まで丁寧にウディ・アレン。豪華名優たちを起用し画だけを切り取ると美しいシーンで彩られている。ただ撮っているだけの演出に良くも悪くも遊びがなく興味が湧かない、続かない。

ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.7

心身ともに脆弱し何に対してもやる気が湧かない時、過去の色鮮やかな記憶、思い出、旧友が活力となり支えとなる。人生を振り返る中で得てきた知識や経験が如何に尊いものなのか。人生何もしてもダメだとどん底に落ち>>続きを読む

SKIN/スキン(2019年製作の映画)

3.6

現状を打破すること、自分を本当の意味で変えることの難しさ。環境のせいにはできない苦悩、辛さ。狂信的な集団の怖さ。他の国の出来事、考え方だから理解できないのではなく、とても個人的で普遍的な葛藤が描かれる>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

5.0

誰の心にも響く青春群像劇。それぞれの立場の悩みを丁寧に描き寄り添う。一生懸命な人、熱心な人たちは光り輝く魅力を放つ。一生懸命に頑張ることが恥ずかしい、努力することは無意味だと思うことはある。それでもこ>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

5.0

純粋で未熟な心ほどじりじりと浸透しこびりつく信仰、洗脳の怖さ、簡単に支配される人間の脆さ。生まれ育った環境で考え方がまるで変わってくる普遍性。思想の使い方次第で救いにも災いにもなる皮肉。複雑な社会問題>>続きを読む

ステップ(2020年製作の映画)

3.7

終始優しく丁寧な語り口。一筋縄では行かない子育ての偉大さ。様々な壁が立ちはだかるが逃げずにしっかり向き合うことで得られる成長。山田孝之のノーマルな演技、出演時間こそ短いが伊藤沙莉の圧倒的ケロ先生感。そ>>続きを読む

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.8

予告やポスターからは想像できない予想外。画角の変化や赤と青を基調とした色使い、音楽などの演出に工夫と遊びがある。その演出たちが多角的に心情を激しく揺さぶってくる。人は多くの怒りや苦しみを抱えながら吐き>>続きを読む

劇場(2020年製作の映画)

4.0

永田の何者にもなれていない感じ。言動や行動に共感できない部分も多いがリアル。とても繊細で傷つきやすく脆い。永田と沙希、2人が否定と肯定を繰り返しながら不器用に選んだ道を歩いていく。人生は難しい。素直に>>続きを読む

15年後のラブソング(2018年製作の映画)

3.5

ダンカンのように好き好きるが故に面倒くささが増すオタクっぷりは凄くリアル。こういう人居るし自分もこうなっちゃってる時はある。イーサン・ホークのダメ男ではあるが色気がありかっこいい役は上手い。落ち着いた>>続きを読む

スパイ in デンジャー(2019年製作の映画)

3.6

ギャグセンスが高すぎる。いちいちツボにハマるスラップスティックな描写の数々。そしてアクションの構成、見せ方がテンポよくて気持ちいい。いろんなスパイ映画のオマージュもしっかり用意されニヤリとさせられる。>>続きを読む

オールド・ガード(2020年製作の映画)

3.5

さすがのシャーリーズ・セロン。美しい。かっこいい。キレキレアクションお手のもの。とても厨二心くすぐる設定でワクワクしたが、なかなか面白くなりそうでノリきれなかった印象。まだまだ序章という感じ。アクショ>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.7

ジム・ジャームッシュ監督による超脱力系ゾンビ映画。いい意味でゆるゆるでメタメタな展開すぎる。特にビル・マーレイ、アダム・ドライバーのゆるゆるっぷりは愛おしい。ティルダ姐さんに刀を持たすのは卑怯すぎるく>>続きを読む

透明人間(2019年製作の映画)

5.0

往年の古典的な型を呈しながら現代版にアップグレードさせたサスペンスホラー。リー・ワネル監督の緻密に練られた脚本、神がかり的な演出、カメラワークなどの要素全てが周到に仕掛けられ呼応しあっている。見る見ら>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.0

最悪な母親。明らかに聖母ではない。どこはかとなく漂う魅惑的な雰囲気に惑わされ狂わされていく。とにかく子供に向けられる残酷な視線は見ていて辛い。役者陣の怪演も素晴らしいおかげでイライラして不快。

カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

3.8

とても視野が広く暖かい。ブルース・スプリングスティーンの名曲を知らなくても歌詞に込められた思いが伝わってくる。主人公が抱く閉塞感や怒り不安、窮屈さ。ただ一方的に溢れた思いを吐き出して終わりだけでなく、>>続きを読む