63さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

63

63

映画(392)
ドラマ(0)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

百円の恋(2014年製作の映画)

4.4

『百円の恋』まずは一歩踏み出してみる。ギアが入り始めればガムシャラに。結果はどうであれ。このメッセージを一子を全身に憑依させた安藤サクラが女優魂による肉体的説得力で体現してスクリーンに焼き付けた。そし>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.6

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』主人公の妄想と現実、劇中演劇の表と裏、虚実が入り乱れてしまう本編を超ロングショット風に仕上げる離れ技で一連の映画として筋道を立てた演出の妙。そして>>続きを読む

太陽(2016年製作の映画)

3.2

『太陽』光を浴びれば死ぬが進化した夜の新人類と進化しなかった昼の旧人類という特殊な設定。冷徹系で幾何学的なノクスの暮らす青白い街、熱情型で牧歌的なキュリオの生きる泥臭い村、プールやススキで印象的に二極>>続きを読む

少女椿(2016年製作の映画)

3.2

『少女椿』エログロ&アングラな丸尾ワールドを下敷きにしながらカワイイ&オシャレなアイテムとファッションでガールズムービーに飾り立てた少女の夢物語。若しくは一人の少女に心血を注ぎ込んだ顛末を描いた中年男>>続きを読む

貞子vs伽椰子(2016年製作の映画)

3.2

『貞子VS伽椰子』前半はJホラーの基本パターンを踏襲した見せ方で攻めて、中盤の霊能者コンビが登場してから俄然グングンと面白くなり、さぁこれからという最高潮に達する手前で〝そして呪い(PART2)は続く>>続きを読む

あやしい彼女(2016年製作の映画)

3.3

『あやしい彼女』舞台設定を銭湯にするなど随所の和風アレンジが効いてる。とにかく多部チャンがキュートで歌声のピュアさに驚く。志賀廣太郎さんまでキュートでピュア。韓国版とストーリーは殆ど一緒だったけど次郎>>続きを読む

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

3.3

『ダゲレオタイプの女』フランス仕様になろうがキヨシズム全開。逆に欧州らしさを味方にして過去邦画作品と比べて風格が増す。男を狂わせるのは、女か、霊か、写真か、屋敷か。時間を永遠に封じ込める撮影法が導く愛>>続きを読む

キネマ純情(2016年製作の映画)

3.3

『キネマ純情』カメラは…手にする者に自我を与え、向けられる者に自信を与える。井口昇は…青春というジャンルで、キスをモチーフに、レズ・ギャグ・ホラー・ゾンビの要素を混ぜ、自身の映画哲学をアイドル作品とし>>続きを読む

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

3.4

『湯を沸かすほどの熱い愛』余命モノのお涙頂戴系とは一味違って本編の!や?(赤色・手話・ビンタ・エジプト)が伏線となって後々に涙腺を緩ませる。そして設定そのものまで伏線なのかと気付かされるラスト。「やり>>続きを読む

神聖なる一族24人の娘たち(2012年製作の映画)

3.4

『神聖なる一族24人の娘たち』一人の女性につき一篇の〝性〟にまつわる物語が紡がれる。観る者は視覚的に聴覚的にマリという国の文化や風習を識る。摩訶不思議な異国へ旅した気分に浸れる106分間のウフフン滞在>>続きを読む

オケ老人!(2016年製作の映画)

3.4

『オケ老人!』シティボーイズではナンセンスでシュールな舞台を作演してた人がチャーミングでホンワカな娯楽作品を撮るなんて。万人受けするクオリティかどうかの点では細川徹監督の方が三木聡監督より上回るかも。>>続きを読む

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.5

『海よりもまだ深く』これぞ是枝流ホームドラマ。自然なようで整理された雑談、普通なようで計算された日常、その中で時々浮き出るように仕組まれた台詞と場面にハッと気付かされて、フフと吹き出してしまう。台風の>>続きを読む

ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

3.5

『ディストラクション・ベイビーズ』〝やられたらやる〟ではなく〝ただやりたいからやるだけ〟という動機なき容赦なき暴力を振るう男に便乗する輩と同乗する目に遭う女の一部始終。柳楽優弥のキレっぷり、菅田将暉の>>続きを読む

SCOOP!(2016年製作の映画)

3.5

『SCOOP!』まずタイトルまでを僅か数カットで魅せる大根演出に唸る。最悪…が最高!に変わる瞬間、花火作戦の一部始終が面白い。静とチャラ源のコンビは「そして父になる」のパパ同士と思えない。所詮パパラッ>>続きを読む

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

3.6

『イレブン・ミニッツ』映画監督、女優、アザ男、バイク便、屋台の男、救命士、カップル、老画家、強盗、修道尼、犬を散歩させる女、の17時からの11分間。ジェット機の飛行音が不穏に響く中で別々の状況下に置か>>続きを読む

モヒカン故郷に帰る(2016年製作の映画)

3.6

『モヒカン故郷に帰る』癌闘病と親孝行が主軸のストーリーながら、登場人物のキャラと面白エピソードにより、刺激されるは涙腺よりも口角筋。あったかさがじんわりと届く監督の人柄が醸し出された独特な感覚の作風は>>続きを読む

アスファルト(2015年製作の映画)

3.6

『アスファルト』青年と女優、車椅子の男と夜勤の看護婦、米国人宇宙飛行士と独居する老女という3組の男と女。不意なきっかけから繋がって徐々に距離感を縮めていく。曇天の空模様、コンクリートの団地、古びたエレ>>続きを読む

ふきげんな過去(2016年製作の映画)

3.6

『ふきげんな過去』平凡な日常をシュールな非日常へと転調させる台詞と仕草と構図と編集。ガールズトークとは呼べない女性同士の会話劇が続く中で、前田司郎は映像内に実験的な演出を数多く散りばめる。故に面白くな>>続きを読む

グッバイ、サマー(2015年製作の映画)

3.7

『グッバイ、サマー』あったかハンドメイドな甘酸っぱい青春ロードムービー。冒険に出る14歳コンビが乗る移動手段は自分たちで作っちゃう。その装置は〝走る家〟というミシェル・ゴンドリーらしいアイデア。髪型も>>続きを読む

牡蠣工場(2015年製作の映画)

3.7

『牡蠣工場』序盤で漁り方や剥き方など養殖と工場の仕組みを教わる。次第に人物へフォーカスが当たり人柄と共に外国人労働者に対する個々の反応も炙り出す。遂には出稼ぎに来港した中国人が映画前半の仕事を学ぶ。無>>続きを読む

エヴォリューション(2015年製作の映画)

3.7

『エヴォリューション』幼少期に誰もが抱く未来への漠然とした不安の比喩か。その島では掟があり女達で少年を管理しているらしいが詳細は明かされない。ただ知ってはならないという不気味さだけが感性に訴えかけてく>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

3.8

『クリーピー 偽りの隣人』香川照之が演じる隣人の表情と言動により植え付けられた黒いモヤモヤは一家失踪の真相に近付くにつれ色濃く明瞭化して点となる。そして点と点が繋がり線となった瞬間から尋常ではない恐怖>>続きを読む

ひそひそ星(2015年製作の映画)

3.8

『ひそひそ星』監督特有の血や裸の過激さは一切なく詩人・園子温のロマンチストな一面が色濃く反映されたSF。人肌程度の温もりを醸すセピア調なモノクロが退廃したフクシマと昭和建築な宇宙船と鈴木洋子を悠然と映>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

3.9

『淵に立つ』浅野忠信が怪演する白いシャツの男はある日、赤い牙を剥いて平穏な家庭の均衡を崩した上、家族に根深い爪痕を残して姿を消す。結果、淵に立たされてしまう一家の8年を跨ぐドラマを深田晃司は確かな画角>>続きを読む

マジカル・ガール(2014年製作の映画)

3.9

『マジカル・ガール』白血病の娘の夢を叶える為に奔走する父性愛の感涙映画ではない。肩からゲロの男とデコから血の女が出逢った瞬間から転がり落ちる運命。欺瞞、強請、発砲を淡々と描く演出で静かに狂い始める人間>>続きを読む

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.0

『ヒメアノ〜ル』岡田のウブな恋愛、安藤のキモイ執着、森田のヤバイ凶行、複数の話を巧みに絡ませる吉田恵輔の名手腕。タイトルの挿入タイミングには鳥肌。サイコパスを演じる森田剛は憑依の域を越えて必然的に人を>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

4.0

『君の名は。』超絶テクな自然描写、叙情的フラッシュバック、過去作を踏襲しながら監督は3.11への希望を映画へ託してエンタメに昇華させた。誰そ彼の時に2人が出逢い、RADWIMPSが楽曲で盛り上げて、大>>続きを読む

神様メール(2015年製作の映画)

4.0

『神様メール』ホントの神は実在して自宅PCから世に負の法則を送信し続ける。そんな父に反抗した娘は俗世に降り立って幾つもの奇蹟を起こしていく。それらの奇蹟をジャコ・ヴァン・ドルマルは華麗なる映像マジック>>続きを読む

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.1

『リップヴァンウィンクルの花嫁』監督と主から端まで巧い役者陣が創り出す現代の御伽話的リアリティーに浸る3時間。アノ格好で泣きながら酒を交わすクライマックスは日本映画史に残るか。鑑賞後にリップヴァンウィ>>続きを読む

セトウツミ(2016年製作の映画)

4.2

『セトウツミ』語彙豊富なカシコの内海(池松壮亮)と難アリ家庭なオバカの瀬戸(菅田将暉)のコンビ(共に帰宅部)により川べりで繰り広げられる会話劇(ほぼ完成度の高い漫才)の全8篇(エピローグ他含む)。劇場>>続きを読む

セッション(2014年製作の映画)

4.3

『セッション』カメラテクと演技力と音で全編に渡りグイグイ引き込まれる。黒で鬼教師フレッチャーの顔と手が強調され、とてつもない緊迫感の前半。命懸けなニーマンの渾身なるスティック捌きで、とてつもない高揚感>>続きを読む

友だちのパパが好き(2015年製作の映画)

4.4

『友だちのパパが好き』山内ケンジ監督の描く狂気はホント面白い。カメラは自然な会話劇を繰り広げる少しヘンな人たちという被写体と絶妙な距離感を保ちながらやがて大事件へと導かれるカジュアルな題名とはかけ離れ>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.4

『永い言い訳』劇中の台詞〝子育てって免罪符じゃないですか。バカでクズな自分を帳消しにしてくれる。〟が本作を象徴する。己を見直すまでに要する時間を永いまま永いなりに丹念に描き、本木雅弘を憎めぬナル男に仕>>続きを読む

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

4.6

『アイアムアヒーロー』カルト的な血みどろスプラッターを日本の豪華キャストと精鋭スタッフにより世界で通用する一流のゾンビ映画として極上のエンターテイメントに成し遂げた偉業は讃えなければ。ショックシーンが>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.8

『シン・ゴジラ』まずゴジラ誕生までのミスリードで驚愕、大衆の騒乱事態と閣僚の白熱議論のミクスチャーで高揚、エヴァな字幕や劇伴に往年の楽曲使用で陶酔、ヤシオリ作戦から最期の立往生へとアドレナリンの分泌が>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.8

『この世界の片隅に』口癖が〝うちはぼーっとしとるさけぇ〟のすずさんが体験した第二次世界大戦。彼女のフィルターを通すアニメはたんぽぽと戦艦大和が同じタッチ。そんな牧歌的な日常に戦争の影が侵食する。年月表>>続きを読む