ねじさんの映画レビュー・感想・評価

ねじ

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オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.2

オテサーネク、安井金比羅宮にあるあれみたいと思った。日本ってたくさんの念が集まるとそれが物体化(具現化)するみたいな考えがある気がするんだけど、オテサーネクはたくさんの人の欲望の化身なのかなと思った>>続きを読む

八つ墓村(1977年製作の映画)

4.3

鬱屈とした日本の村、家の閉鎖感、それが岡山の山奥と、鍾乳洞の湿気とともに見事に表されていたと思う。わたしはこの村的な話が好き。作品全体の気持ち悪い閉塞感も好き。津山三十人殺しがよぎった。個人の物語の>>続きを読む

20世紀少年<第2章> 最後の希望(2008年製作の映画)

3.4

全体としては1より好きかも。チープさが空虚さを演じている。全部お遊戯みたいなかんじが、それでいいと思う。コロナ禍を見たわたしたちは、この映画が大袈裟だとか馬鹿にできないだろう。そういえば今万博が進め>>続きを読む

20世紀少年 <第1章> 終わりの始まり(2008年製作の映画)

3.3

前半部むちゃくちゃ好き。急に年が進んでしまってから、ひとつの映画の中に断絶が生まれてしまったように感じて、また後半部からの描き方も前半部の余韻めいたみたいなものがなくなってしまって、違う物語を見てい>>続きを読む

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

3.4

おもしろい。けど画面的にグッとくる部分があまりなかった。人は死んだ後に夢をみるのかな。死んでいるときも現実に魂として留まって、同じ場所で延々と記憶を繰り返すならとても悲しいと思う。ベティは自分の苦し>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.4

まともな人は大丈夫じゃない、あるいは狂っている。どうしても精神障害当事者として観てしまうけど。間宮に対する人々の接し方。間宮がどこか抜けていて何も覚えてなくて引っかからない様子から、子どもに対するよ>>続きを読む

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録(1999年製作の映画)

4.0

形のないものたちが物語していると感じた。あと主人公はウテナではなくアンシーだったと、映画で初めて気づいた。形のないものを求める心、名前のついてないものを認めようとすること、それが革命だとわたしは思う>>続きを読む

裏窓(1954年製作の映画)

4.0

ただの観察者笑に徹している主人公が最後に見られる側へと反転するような見せ方がおもしろい。見る者は同時に見られる者でもあるということを忘れてしまうような構成。しかし、観察者でしか存在できない主人公も少>>続きを読む

燃えあがる女性記者たち(2021年製作の映画)

4.0

日本は清潔で安全だとわたしたちは思ってるけど、清潔で安全なものに覆われて見えなくなってるだけだと思う。彼女たちはひとつのメディアとして、他のメディアとも国とも違う視点を持てる。この映画は変遷を描いて>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.5

わたしはまだ天使かもしれなかった。
歴史を作るために踏み出せないから、女の人の言葉が身体で分からないんだと思う。

魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

4.2

この映画は、世界とわたしを中和させてくれた。わたしは純粋にひとりになれる。現実の感覚を失って、映画の感覚に住んでいたからわたしの身体は現実になかった。とてもよかった。現実から離れたくて仕方がなかった>>続きを読む

ブレードランナー(1982年製作の映画)

3.9

清潔と技術の発展が必ずしも両立していないところがよかった。普通に考えたらそれが普通かもしれない。技術の発展の先にきれいな地球があるわけない。人工知能と人間以外の生物が鳥しか出てこなかった(気がする)>>続きを読む

薔薇の名前(1986年製作の映画)

3.8

強烈に設定された枠の中で、はみ出しているようには見せないウィリアム、枠からはみ出すことを恐れないアドソ。詩学をおじいちゃんが必死に守ってるのがおもしろい。読むことは革命であることを必死に体現している>>続きを読む

アイランド(2005年製作の映画)

2.9

んー……同じテーマだったらわたしを離さないでの方が絶対おもしろい。比べる対象が映画じゃなくて申し訳ないけど。絶対悪ってのがわたし的にはあんまりリアルじゃない

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)

3.3

この人の顔好きだなと思ってたら死んだ。見せてくれる映画だし、設定がおもしろいところもあるけど、それ以上のおもしろさはない。最後までプリコグに自由はなかったし。

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.7

いいところも悪いところもあるといったかんじ。しかしわたしはいいところをいいと大きく叫びたい。
その上で、やはり一番気になったのはアースラの扱い方。作中でアースラの声を聞こうとしたものはいなかった
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東京戦争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語(1970年製作の映画)

3.4

武満徹の音楽がとてもいい。ぼんやりとして際立った不思議な存在感。映像に溶け込まずに音楽として独立してるみたいで好き。
映像で自慰をするというのはなんとも……作品で自慰をするのか、作品の中で作品自身
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トレインスポッティング(1996年製作の映画)

3.5

結局大人になってしまう大人たちに手を延ばしながらたくさんの作品を消費している気がする。加速がなければ、誇大な自分と対峙しなければならなくなる。それが嫌というよりも苦しいから加速する。わたしもそうして>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

3.1

わたしとしては、とてもショックな作品だった。知っている人が何人か観に行って、よかったとか、そんなに怖くないよと言っていたのを見て行ったのだが、わたしとその人たちとの住んでいる世界が違ったのだというこ>>続きを読む

人間の証明(1977年製作の映画)

3.3

戦争の残り火がある。それぞれの過去に、今の姿では想像できないような過去があって、そこに戦争が色濃く残っている。だから今でも戦争の匂いが引き起こされてしまう。
強姦のシーンがある。見ててとても悲しく
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.7

スケボーがいつでも帰ることの出来る場所として機能しているのがよかった。かつては公園がコミュニティとして機能していたけれど、その公園もなくなり、コミュニティの場が消えたことで仲間も離れていった、けれど>>続きを読む

キルトに綴る愛(1995年製作の映画)

4.7

よかった。キルトに何人もの生きていた物語が込められていて、本来それらは個人のものだけど、偶然集まった人たちで一つの作品を織りなすことで、それぞれの物語が重なり合う色味を見せてくれる。キルトという仕事>>続きを読む

骨噛み(2021年製作の映画)

3.9

言葉をまだたくさんは知らないし、世界のことも狭く小さくしか知らない。けれど子どもは世界の外に心を持っていて、言葉に押し込められないようなありあまる風景や感情を、どこか世界の外に持っているのだと思う。>>続きを読む

幾多の北(2021年製作の映画)

3.7

人生は進んでいく、旅のようだとわたしたちはなぜか思っている。どうして進んでいると思えるのか。
わたしは旅をしながら停滞するということが、よく分かるように思う。今のわたしがまさにそうだから。ありとあ
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未来を花束にして(2015年製作の映画)

5.0

全部初めて知った。歴史的に結果は分かっているのにすごくドキドキしたし、声を上げて泣いてしまった。
主人公は工場長にずっとレイプされ続けてたんだと分かってつらかった。別の子がレイプされてるのを見たと
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

綺麗すぎる気もした。でも、そもそも難民を取り上げる日本の映画がごくわずかなので、綺麗すぎるのもあっていいかなと思ったけどどうだろう。現実はもっと酷いんだろう。出てくる日本人があまりに善人すぎるとも思>>続きを読む

審判(1975年製作の映画)

3.3

釘によって新しい言葉を産む。言葉によらない言葉。寺山はどこまでも詩人だったのだと思う。たくさんの言葉は、言葉では収まりきらない。その感覚はとてもわかる。
映画がひとつの共同体となる。集合的無意識の
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ローラ(1974年製作の映画)

4.0

大阪でパフォーマンス上映を観る。映画が拡張された作品だった。まさに上映中に拡張された。スクリーンの女が客席に向かって語りかけたとき、わたしは客席を見回さずにはいられなかった。そのとき、映画はまさに客>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2(1989年製作の映画)

3.5

2015年は80年ノスタルジアを売ってるのか笑 服は今っぽい。もし本当に2015年に車が空を飛んでたとしたら、だめな乗り物が増えてた……。行ったり来たりしすぎておもろい。

夏時間(2019年製作の映画)

4.3

今もわたしの眼にたくさんの色が残っている。たくさんの食べものも。食べものはその固有名詞だけで色を表すようだ、それほどにわたしたち命にとってみずみずしい。きゅうり、ぶどう、トマト。きれいで豊かな庭だっ>>続きを読む

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

3.2

性の香りが部屋中に充満して息が吸えないような、吸った空気が湿っていてじとじとしているような。乾いている夏の空気の中で、彼女たちの部屋だけが湿度が高いように見えた。「女の匂い」と言うべきものが香ってく>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

4.0

七森は名前を見つけられたのだろうか。わたしはずっと名前がなかったから、名前を獲得したと思った時は孤独でなくなった。この映画ではまだ七森は孤独のままだ。名前が与えられてほしかったように思った。もしかし>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.6

映画のシーンがカラーで、ベルファストがモノクロだから、どちらが映画なのか分からないみたい。ベルファストが映画で、わたしは映画内の世界に生きていたとしたら。夢と希望ばかりの映画の世界。ベルファストは、>>続きを読む

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