5lothさんの映画レビュー・感想・評価 - 32ページ目

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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

3.5

スイートでもビターでもユーモラスでもない男女のシーンを、あるはずのない生活を覗くようなカメラの位置から見ている時、どういう感情でいればいいのか分からなくなるが、それが稀有な体験であった。

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

2.0

展開や設定が、まんが映画みたい。複雑すぎる問題を照らすのはソーの能天気さ(聖性)ってことか。

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

自分で戸締まりをしたら出かけるでしょう。行きたいところに、新しい場所に。

君の名は以降の新海誠はかなり暴力的な作家であって、間違った願いだとしても、それを思ってしまったら、その美しさを見るためにどこ
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.5

今泉流対話篇。シグネチャーのひとつである笑っちゃうような修羅場がない代わりに、手に入れることと手放すことについての対話が綴られていく。この端正で誠実な映画の手触りは稲垣吾郎がもたらしたものに違いない。>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

3.0

い時の後には悪い時が来る。人も時代もね。ということは…。1930年代を舞台に、描いているのは完全に今のこと。ウィットを散りばめながら、真っ当な主張の映画でした。よかったです。

木枯し紋次郎 関わりござんせん(1972年製作の映画)

3.0

浮世は地獄。姉弟の絆さえも裏切らていく殺伐さの極地。玉村宿、砂塵の向こうの市原悦子の美しさ。桑畑の斬り合いがよかった。

木枯し紋次郎(1972年製作の映画)

3.0

裏切りのゲーム。紋次郎イズ・リベンジャー。殺伐とした世界観で、治安悪いなー。どこまでも孤独であろうとする魂は、高潔な意志なのか非情なのか。

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

美しい映画でした。アンドロイドが忖度なく見た営みの美しさ。その向こうに、東洋の哲学や歴史の片鱗が見えたような気がした。

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.0

子供が大人になることで、母が子供になることでのみ生まれる不可思議な交感。母と娘がどこかで共有しているものが立ち上がってくる。ほかの方の指摘もいくつか見ましたが、となりのトトロを想起させる世界観でした。

線は、僕を描く(2022年製作の映画)

4.0

薄暗い日本家屋の室内に、あるべき場面であるべき光が当たっている。それでもう傑作。水墨画と内面の表出の親和性の高さのポイントを決して外さない演出。横浜流星、清原果耶、江口洋介、三浦友和も作品のチューニン>>続きを読む

ぼくらのよあけ(2022年製作の映画)

3.5

大好きな原作の映画がちゃんとよくて嬉しい。好奇心と嘘と約束が、人間にもAIにも変化をもたらす、という小さくて壮大なお話。作中の有機コンピュータよろしく、キャラクターの関係性が有機的に機能したストーリー>>続きを読む

よだかの片想い(2022年製作の映画)

3.0

ほとんどリラックスしたムードにならないのは主人公の感じている世界の片鱗か。安易に人間の本質を言い当てない語り口は誠実だった。思考が言葉でされていて、映像は後からついてくるように見えてしまい。

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

2.0

独り言の芝居と回想の往復で進む物語は、映像的表現と相性が悪いまま押し通していて、脚本も撮影も録音もよくなかった。なんで思ったこと全部言葉にしちゃうのか。

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

2.0

ちょっとよく分かんなかったです。子どもから大人になる時に、思い出を思い出と割り切るみたいな潜在的にしているであろう選択の表象化とかかな。或いは沈みゆく日本を、その勢いがあった象徴を団地とし、過去の眩さ>>続きを読む

アテナ(2022年製作の映画)

4.0

ああ、これはすごい。世界中の分断と爆発寸前の怒りとわだかまりがこのフィルムに定着しているよう。誰もが言及している映像的テクニックも切実さを増幅している。凄まじい精度の虚無と悲しみ。

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.0

ため息と風の映画。けれどそれは大自然の中ですべてを晴らすには弱すぎる。一端の霧を晴らし、感じる幸福と絶望。

散り椿(2018年製作の映画)

2.0

この画を撮れる人もそうそういないのだろうけど、それにしても鈍重な演出。だからこそ際立ってしまう岡田准一の殺陣は聞きしに勝るすごさでした。

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.0

岡田准一と原田眞人のぼそぼそ喋りの独特の編集リズムは継続。現代ヤクザの何するか分からないヒリヒリ感恐い。中世への言及から、王殺し、忠誠心へと思い至るが、複雑なバックグラウンドの岡田、坂口のキャラクター>>続きを読む

真夏の方程式(2013年製作の映画)

4.0

この地に来て、去っていくよそ者は、従弟の少年だったのかもしれないと思った。

湯川は列車で用心棒のようにやって来て去っていくという捉え方をしてしまったんだけど、これはそういう横移動にではなく、上下動に
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.0

画面に映るパレードは通り抜けていくだけだが、しかしてそれは何処から来て何処へ行くのかを湯川先生と見つめていく映画だった。共有された西日さす光景が時に現在にも現れ、蝶のモチーフが人々の間を渡っていくこと>>続きを読む

三姉妹(2020年製作の映画)

4.0

家族は呪いであるし、子ども時代の共有された記憶による連帯はどこか救いにもなる。レイチェルの結婚のような痛々しさ。

まともな振りをして壊れている姉妹には、それぞれの内面に原因を持つが、回想シーンの、通
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.0

生きづらさと苛立ちが見たことのない表出の仕方をしている。だる絡みみたいな会話とアクション、あと、その落差の気持ちよさ、分かります。

HiGH&LOW THE WORST X(2022年製作の映画)

2.5

シリーズ通して特によかったわけでもないけど、こんなに全部のセリフが死んでることあるのか。俳優人気に媚びた展開にも白ける。無茶苦茶な奴らの話とはいえ、あまりにも喧嘩の大義がない。中本悠太はよかったです。

百花(2022年製作の映画)

3.5

記憶についてというよりも、記憶そのもののような映像だった。映像的な編集点やモチーフ、イメージの連鎖がないように見えて、ラストまで見終えた時、それらは忘れていることで繋がれていると分かる構成の美しさと残>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

2.5

命も重さも後悔も軽い行き当たりばったりの映画でしたが、馬鹿みたいで楽しかったです。テーマはアンガー・マネジメント?ヒロユキサナダかっこよかったな。

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

おとぎ話のような荒唐無稽な展開を、ダイナミズムのある語り口で描くのはジブリのよう。そこからあらゆる人たちを肯定する人間讃歌。よかったです。ポニョmeets横道世之介。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

初めて映画に映ったのは黒人のカウボーイだったという逸話になぞらえ翻案し、最初の映画のように今誰も見たことはないものはなにかと問うようなスペクタクルなエンターテイメントでした。おもしろかった。怪獣映画だ>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ホラー映画を見る時、怖いので、自分は何に恐怖を感じているかを突き詰めて考えずにいられない。「何者だ?」と聞かれた“影”がアメリカ人だと答える。格差や、葬られた歴史がそこに垣間見え、ふいに現実が反転して>>続きを読む

イントロダクション(2020年製作の映画)

3.5

久しぶりにホン・サンスの映画見たな。一見、誰にでも撮れそうな気がするのに、他の誰にも撮れない詩情、ユーモア、シュール。ある青年のスケッチをして、映っていない行間までもが見えてくるマジックまでが唯一無二>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.8

まったく予想出来なかった着地点に連れていってくれましたね。偏見や差別の中にある捩れた潜在的なレイヤーが顕在化したような恐怖。

今夜、世界からこの恋が消えても(2022年製作の映画)

3.0

記録と記憶の狭間にある感情こそが人間なのだと定義する、非常に映画的モチーフ。このモチーフこそが所謂、悲恋ものジャンルムービーが粗製濫造されるポイントなのかと。とはいえ、代わり映えはないが三木演出は一定>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.5

シーン毎のスリルはあるのだが、恐竜の存在が急変する環境問題のメタファーに矮小化されてるようで、どっちらけた。

登場した恐竜の名前を口に出して言いたくて仕方ない少年が場内にいて、バイブスよかったです。

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.5

とてもよかった。人間は間違えるということを、美しく甘美に、滑稽に、時に露悪的に描きながら、どこまでもポップだった。

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

3.8

すぐに喧嘩でガヤガヤしちゃうが、そこに映っている本物の人間の多さが映画の贅沢さ。奥行きを意識した画面も同じく。価値観は古いが、若い人間が自由に正しくあるようにという願いはいつの時もあるのだなと感動。

夜を走る(2021年製作の映画)

3.5

凄まじい閉塞感の中で、内在化していた悪(といわれる社会に迎合しない歪ななにか)が滲み出てくる恐ろしい時間だった。所謂、クライムサスペンスな導入からは全く想起出来ない着地点へ辿り着く。
自分は変わってな
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